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22 アルバム

さつき先生との邂逅後は、特に大きな問題無く家に辿り着いた。着いて行かなかったせいでクロが拗ねて歩かなくなった事件はあったけど、撫でていたらそのうち落ち着いたのかピョンと腕から飛び降りて尻尾フリフリしながら機嫌良く歩き始めたので大丈夫だろう。


「お家久しぶりだな〜」

「まだ数ヶ月ですよ?」

「それでも、りっちゃん家に居る時間が心地よくて長く住んでいる感じになっちゃうんだよー」


すでに数年住んでいるのでは無いかと疑うくらいに馴染んでいる。りっちゃんの居ない生活が考えられないくらいには自分の時間に溶け込んでいた。


「大先輩は、全く……」

「えっと〜アルバムアルバム〜」


電気は通ってる。ちゃんと電気料金払っているようだ。いつでも戻って来られるようにはしているのだろう。たまには部屋に空気を入れたり掃除したりした方がいいなー

休みの日にでも来てやろーっと。


「あった。これこれ」

「あっ赤ん坊の大先輩ですか?」

「そうだね〜」


写真が好きなのか、割と写真が残っている。デジタルデータばかりではなく印刷して残してくれているのは助かる。

幼稚園の運動会や日常の一ページなど多数の写真があるけれど、どれを見ても自分の過去である感覚がない。


こんなことあったっけ? としきりに首を傾げてしまう。


それは、小学校に上がってからも変わらない。

写真の中に俊樹がしきりに写るようになるが、こんなことやったっけ? という感じである。

時折、「ああ。あの時の!」 と思い出すこともあるが、それは、痛烈な印象がある物ばかりでりっちゃんが覚えていたことも多かった。

ペラペラとページを捲り、自分の記憶力がかなり悪いのだと理解した。何となくこんなことあったなぁ〜と思うこともあれば、まるで記憶してないことまである。

暗記物に弱いなぁ〜なんて思っていたけど、僕って相当酷かったんだなぁ。


「大先輩。なんで覚えてないことばかりなんですか……」

「なんでだろうね〜そもそも、いつ撮ったのか分からない写真もたくさんあるよー?」


りっちゃんと川でびしょ濡れになった写真を手に取る。

この周囲に人は居なかったはずで、いつの間に撮ったのかまるで分からない。正面から撮られてピースしていることから誰かが居たのだろうけど、んー?


「覚えてる?」

「覚えてますよ。ですけど、本当にいつ撮ったんですかね?」


この後に家へと突撃して一緒にお風呂に入って洗いっこしたのはよく覚えている。りっちゃんがかなり恥ずかしそうにしていたなぁ。

どうせ濡れているんだから早く入らないと風邪をひくって言うのに後でいい。後でいいと遠慮してたもの。


まぁ、無理矢理服を脱いで放り込んだんだけどね。

懐かしいや。


「まさか、覚えてます?」

「もちろんだよ。隅から隅まで綺麗に洗ったもんね」

「もうお嫁に行けません!!!!」

「ほんの数年前じゃない〜気にしない。気にしない」

「理摩は気にしますよ!?」


互いに見合ったのだからノーカンではなかろうか?

りっちゃんだって僕の体触り回ってたわけだし。りっちゃんがお嫁に行けないならば、僕はお婿に行けないね。


「あれ? それだと僕は誰と結婚すれば?」

「結婚願望あるんですか!?」

「なんで驚くのさぁ〜僕だってそのくらいあるよ〜子供作って一緒に未確認生物探すんだ!!」

「絶対に止めてください。それだけは絶対に駄目です!!」


全力で止められた〜

僕の自由なのに、なんでだろう。悲しいよぉ〜

りっちゃんと結婚。なんてことになったら教育方針で大喧嘩しそうだな〜

でも、それはそれで楽しそう。笑いながら喧嘩するような夫婦になるのもいいかもしれない。杏さんに恋しているはずなのに、りっちゃんとの未来が楽しそうだと思える僕って軟派なんだろうなー

俊樹に言ったら呆れられそう。それとも、りっちゃんとの進展を応援されるのかな?


それはそれで複雑だなぁ。


「まあいいか。とりあえず、よく分からないってことだけ分かったし」

「色々と問題がある気がしますけど……」

「写真問題なんて気にしても仕方ないよぉ〜それよりも、帰ろっか。眠くなってきちゃった。クロなんて丸くなってるしさ」

「そうですね。疲れました」


アルバムをなおして帰路につく。

僕って本当に何者なんだろうなぁ。

いつか、その答えが分かる時が来るのかな?

未来を夢想しながら、夜の街をりっちゃんと行く。明日は明日の風が吹くだろう。


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