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20 一番の好き

もぐもぐとご飯を食べ、クロにチューブ(猫用ご飯)を与えてから着替えて外に出る準備をする。

散歩するつもりのないクロは近くをウロウロしながら顔を洗ったり体を舐めたりしている。行くつもりがあるのなら、にゃーにゃー言いながら外に向かって行くので分かりやすい。


「りっちゃーん」

「なんでしょうか?」

「ちょっと出かけてくるねー」

「また散歩ですか。全く、飽きませんね」

「ううん。実家に帰ろうかと思って」


「なんでですか!!」


扉越しで話していたのに、唐突な大声と共に飛び出してきた。

クロを抱き上げた姿勢で固まってしまう。凄い感情が剥き出しのりっちゃんに驚いてしまった。怒らせるようなことかな?


「ご飯出さなかったからですか!?」

「食べたよー」

「部屋に戻ったからですか!?」

「部屋が好きなのはいつものことでしょ?」

「理摩に魅力が無いですか!?」

「りっちゃんは可愛いから魅力はたっぷりだよ〜よしよし」

「あぅ」


頭を撫でれば、冷静さを取り戻したようで下を向いてあぅあぅ言っている。

一体なんでこんなに怒っているのだろう?

ただ、アルバムを見るために帰るだけなのになぁ。


「大先輩」

「?」

「理摩のこと、嫌いですか?」

「えっ? 大好きだよ?」

「臆面もなく言うの止めてください」

「ひどーい」


聞いてきといてなんなんだろうなぁ。

クロに賛同を求めようと顔を覗き込んだら前足であっちいけさせてしまった。腕の中からピョンと飛び降りて、りっちゃんの味方をするように横に並ぶ。


あれあれ〜僕が悪役なのかなぁ?


「大先輩が一番好きなのは誰ですか?」

「好きか〜」


好きと言われると何人かの顔が浮かんでくる。

だけど、その中で一番を選べと言われると難しい。


心臓がドキドキして、恋なんだと自信を持って言えるのは杏さんだろうけど、恋しているから好きなのかは分からない。


綺麗だなと心の底から思えるのは寒奈さんである。だけど、一番かと問われたら首を傾げるだろう。話していて楽しいのだけれど、何か違う気がする。


もっとも気楽なのは俊樹なんだろうけど、多分質問の意図とはかけ離れているだろうなと思える。好きは好きなんだけどなぁ。それを口にすると本人嫌そうにするからなぁ。


なら、りっちゃん?

もちろん感謝はしている。単身赴任で飛び回るせいでクロと寂しい生活を強いられるはずが、家に住まわせてもらってご飯を用意してくれるのだ。毎日毎日感謝はしているし、大好きであることには変わりがない。だけど、一番なのだろうか?

感謝していることと一番であることはイコールではない。


難しい問題だ。頭から煙が出てきそうなほど考えても答えが出てこない。


「もういいですよ」

「いいの?」

「一番は居ない。それでいいですよ。はぁ」

「そっか〜それでいいならいいや」


恋人にするとしたらきっと杏さんなんだろうけど、一緒に歩いている姿を想像出来ないんだよなぁ。

その理由は、きっと僕が一番好きだと思えないからなんだろうなぁ。もっともっと多くのことを知らないとね!


「それじゃあ、僕は行くよ?」

「理摩も行きます」

「クロは〜?」

「にゃー」


部屋に戻っていくりっちゃん。足元をクルクル回りながら鳴き声を上げるクロ。

答えは決まっているようなので、クロを抱き上げて着替えるりっちゃんを待つ。

早く出てこないかなー


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