ラブレター
よろしくお願いします。
誰にも言わない。
誰にも言えない。
私が招いたものだから。
私は高校でもう少し早く友達をつくるべきだった。
でも悲観的には考えない。
今、私は幸せで満たされているのだから。
登校3日目の朝、ユーォは自分の下駄箱に便箋が置いてあることに気が付く。
いたって普通の便箋だった。どこの店でも買えそうなもの。
あなたのことがずっと前から気になっています。
あなたのことが知りたいです。
また送ります。
一見、気味の悪さを覚えるような文面もユーォは喜んだ。
ユーォはこれまで色恋沙汰とは無縁の人生だった。
送り主の名前は書いてないが、シャイな男子生徒がくれたラブレターだと思い込んでいた。
彼女の中のイケてる女子高生のイメージに今の自分が当てはまっていた。
明るく楽しい高校生活に一歩近づいたような気がした。
だからユーォはラブレターを大切に保管した。
ある日友達から噂話を聞いた。
ユーォの通う高校には変わった校則がいくつかある。
その中の1つに下駄箱に便箋を入れてはいけない、というものがある。
昔死んだ生徒が現役生徒の下駄箱に送り付けるものと混濁させないためと噂されていた。
校則では下駄箱から便箋を見つけ次第、速やかに処分することになっていた。
便箋を捨てないでいると便箋は送られ続け、生徒がおかしくなってしまうとのこと。
ユーォは知らなかった。
持ち歩いている最初のラブレターを確認した。
宛名が書いてないことに気付いた。
ユーォはうっかりやの男子生徒からのものだと思って気にも留めてなかった。
これまで送られてきた71通を見ても、ユーォの名も相手の名前も書いてなかった。
少し考えよう。
そもそも相手は男子なのか。
いや、死んだ生徒がラブレターの送り主とは限らないし。
シャイでうっかりやのイタズラ好きの気質もある人で。
人?
いやいやニホンゴでやりとりシタヨ。
証拠もノコッテル。
彼の手紙でおたガイたくさん知ることができた。
彼の質問には、どんなことも隠さず書いた。
彼からは友達の作り方を学んだ。
そもそもこれは恋だ。
ダレにも邪マサレてたまるモンか。
ありがとうございます。