ピエロの夢
ありがとうございます。
夢を見た。
僕は夢の中で、夢と気付けないタイプだ。
だから夢の中で起きることは現実のものだとしか考えられない。
小学校2年生の時の話だ。僕には年の離れた兄がいた。
兄がオカルトなど怖い話に興味を持っていたのが僕の運の尽きだった。
当時、深夜にたまたま放送していたスティーブン・〇ングのITを兄が録画した。
それを僕は見せられた。
内容はある地域に住み続ける化け物の話だ。
その化け物は子供が一番怖がるものに変身して襲うというものだ。
化け物の普段の姿はピエロだった。ただそれがとてつもなく怖かった。
ピエロが怖かった。
子どもというものは発想が豊かというか、
その映画を見てから悪夢を見るようになった。
小学校の時、僕の学校では集団下校を義務付けられていた。
教室でクラスごとにさようならをした後、全校児童がグラウンドに集まって再度さようならをして、
地区ごとに固まって下校するというシステムになっていた。
夢の中で僕はいつもグラウンドに立っていた。
周りには友達もいた。
代表の先生が全校児童の前に立ち、さようならと号令をかける。
すると全児童も頭を下げて、さようならと言う。
ここからが悪夢だ。
僕が頭を上げると、それまで周りにいた友達、児童も先生もいなくなっているのだ。
そして全校児童の前で号令をした先生がITのピエロに代わっているのだ。
ピエロは笑って僕に手を振る。
最初にピエロに会った時、僕はかなり焦った。
怖いものが自分を追ってくるのだから。
僕は走った。
恐怖から逃げ切りたい一心だったと思う。
ピエロは周りを確認するように歩いていたから、僕は無事に家まで逃げ切れた。
鍵を開けて家の中に入り、鍵をかけて心拍数を整えて、落ち着きを取り戻すと僕は夢から覚める。
目覚める時はいつも汗だらけだった。
次の日
ピエロはスキップで追いかけてきた。
歩きより速いが引き離して逃げることができた。
しかしピエロが僕を狙っているということがわかってしまい辛かった。
どうやら僕の帰り道を覚えていくようだ。
まだ僕の家はバレていない。
正直すごいストレスだった。
次の日
ピエロは片手に包丁を持っていた。
早歩きで僕を追いかける。
声をあげて追いかけてくる。
夢の中では僕の息遣いとピエロの笑い声しかない。
次の日
ピエロはとうとう走って追いかけてきた。
笑い声をあげ、包丁を振り回してくる。
僕は全力で逃げる。
背負っているランドセルが跳ねる。
家はバレたくなかったので住宅地に入ってピエロをまいてから
家へ帰った。
夢の中はピエロと僕しかいない。
次の日
さようならと頭を下げた瞬間から嫌な予感がした。
いつもは僕が頭を上げて始まるのに、頭を下げた瞬間からピエロが追いかけてきた。
泣きそうだった。
僕は正門から出ることを諦めた。
フェンスを越えて学校を出ることにした。
ピエロの足は速くなっていくから、ランドセルを掴まれた。
ランドセルを投げつけて、家へ急いで帰った。
次の日
怖かった。いつも通りランドセルを背負っているが、
前回ランドセルの中身から僕の家の情報を盗まれたかもしれないからだ。
始まるのが嫌だった。ピエロに捕まえられたらどうなるかわからない。
僕はまだ全校児童や友達、先生がいるうちに抜け出して家へ帰った。
ピエロが追ってくることはなかったが、家に入ってから夢が覚めるのが遅かった。
目が覚めた。
おそらく午前6時ごろ。
いつも通りの目覚めだった。
体が汗ばんでいる。
ベッドの上で目を開けるとすぐ横の窓に目がいく。
カーテンを閉めていなかったガラスの窓に何か見える。
それが何か理解した時、僕は意識を失った。
ピエロが顔を張り付けて僕を見て笑っていた。
これ以降ピエロの夢を見なくなったが、いまだに連続して見る夢は恐怖でしかない。
結局、最後に見たのは夢なのか、現実なのかがわからない。
当時の自分に恐怖を植え込んだ兄は両親にこっぴどく怒られていた。
そんなピエロの夢の話。
ありがとうございます。