れぃす
文を書き慣れていないため拙いです。
ご了承ください。
ああ何か悪いことしたっけ。
スタートラインを眺めるユーノエは足が震えている。
この一連の流れは、もはやルーティンである。
ユーノエはマラソンが嫌いだった。
それは人生にしばしば例えられる。
ただでさえ嫌いなものを人生に重ねられるのは屈辱だ。
マラソンがいやだ。
いつも思う。何度繰り返しても思い続ける自信があった。
あんなのは運命の強制力が働いている。
人類を破滅に導く陰謀論であるとさえ考えてしまう。
ユーノエは走る前はいつも空想した。
本来この時間の私はゆっくり読書でもしている。刺繍をするのもいい。買い物めぐりも。
今からちょっと時間が消し飛んでさえしてくれれば楽なのに。
マラソン後にいる自分が羨ましくてしょうがない。
未来や終わりに思考を引き裂けるのは人間だけだ。
だから胸を張って言う。
私は人間に許された尊い行為をしている。
はやく楽になりたい。
もがいてもがいてその先にあるものに価値はあるのだろうか。
苦しみの対価が終わりだとするならばそもそも始まらなければいい。
いつも通りの愚痴。
今回も違うのは周りの人達くらいだ。
雨天中止を期待して上を見る。
雨は降りそうもない。
ていうか絶対に降らない。
風よ吹け。悪魔よ来い。どうか悪魔よ儀式を解約してくれ。
風も悪魔も来ない。
今まで1度もなかったことにはならない。
ああ準備体操の時間だ。
代表者が前に出て体操をする。
それに倣ってユーノエも体操する。
体の感覚はブシャブシャ。
実感が湧く。
これからしんどい。
これはそのための願掛け。
ユーノエの視線にある景色が変わる。
男子がスタートラインに立った。
どうでもいい。
人の頑張る姿はユーノエを複雑にする。
ゴールは皆に用意されているのだから気張らずやらせてほしい。
これはユーノエの常套句だ。
男子は走っていく。
顔に笑いを浮かべていた。
信じられない。
ああいう人がマラソン練習とかでも頑張っちゃうんだよなあ。
ユーノエはそんな男子を羨ましくもあった。
男の姿は走り出してから少ししてユーノエのいる位置からは見えなくなった。
まあ戻ってくる時には歪んだ顔をしている。
謎の強がりを発揮するユーノエ。
男子の次はいよいよユーノエの番だ。
スタートラインにいよいよ立つ。
もしかしたらマラソンはそんなに嫌いじゃないのかも。
スタート前にそう思うこともいつも通りだった。
ユーノエは出発の何週間も前の夜から世界を嫌ったりもする。
でもそれは心の何処かで期待している部分があるのだとも思う。
拙い言葉で上手く自分の頭をまとめようとする。
始まれば考えごとする余裕はない。
集中してしまう。
これまでのことも忘れてただひたすら進む。
それは終わりの寸前でも変わらない。
終わってから後でたっぷり愚痴る。
いつもの流れだ。
頭の中の雑念が取り去られる。
彼女を一瞬の沈黙が包む。
ありがとうございます。
励みになります。