第1章 7 【薔薇の少女】
薔薇の少女
「おい!?大丈夫か!?」
ハルはそう少女に向かってそう叫んでいた。
と、その時少女の白いマントがゴソゴソと動いて中から男の子がで出てきた。
恐らく8歳くらいだろう。こげ茶の髪を短く切り揃えた可愛らしい男の子だった。
服は上下共に真っ白なTシャツとズボンを履いていた。
「……!うわぁぁ!お前どっから出てきた!?」
その男の子はしばらくぼーっとしたように辺りを見回していた。どうやら、先程まで眠らされていたのか、気を失っていたのか状況が分かっていないようだった。多分銀仮面が地面に倒れた衝撃で気がついたのだろう。
と、男の子がようやく銀仮面に気がついた。
その途端、男の子の顔色が、さっと真っ青になった。
「お姉ちゃん…!」
男の子はそれだけ呟くと、慌てて銀仮面のマントを引っぺがし始めた。
「おい!お前何やってるんだ!?」
「見てわかるでしょ?お姉ちゃん、傷負ってるの!早く手当てしなきゃ…!」
ハルは男の子が言っていることが、血だまりのことだと気付くと一緒になってマントを引っぺがし始めた。
そして、
「つっ!」
ハルは思わず目を背けた。銀仮面の調度お腹のところに酷い傷をあったのだ。
恐らく剣で斬られたのだろう。今でも血が流れ続けたいた。
それを見ると、ハルは慌てて銀仮面の仮面を外し、呼吸を確認しようとした。
「……!嘘だろ!」
そこにはハルと同年代か、少し年下くらいの整った顔立ちの少女がいた。マントを剥がした時は気づかなかったが、少女の髪は銀髪で腰くらいまであり、長く美しかった。
「い、いや、まあなんとなくそんな気はしてたけど!声も高かったし!?」
と、ハルは珍しく動揺して、ブツブツと呟いていたが、少女の顔色が真っ白なことに気がつくと、慌てて呼吸を確認した。
「…!よし、呼吸はあるぞ。あとはその傷だ!」
「お兄ちゃん、治癒魔法使える!?」
「少しならな!」
と、ハルはそう答えると、少女の傷の上に手をかざし魔法を、詠唱した。
「大地よ、この者に癒しを!」
と、ハルの手が淡い緑色に輝きまた、それに反応するように少女の傷口も淡い緑色の光に包まれた。
そして、だんだんと確かに少女の傷口が塞がっていった。
しかし、
「どういうことだこれ!?」
なんと少女の傷口は塞がりきる、と思った瞬間魔法に逆らうように段々と傷口が開いていったのだ。
そして遂には少女の傷は元の状態に戻り緑色の光さえ消えてしまった。
「お兄ちゃん!これどういうこと!?」
「分からない!けど、これは俺じゃ手に負えない!」
「…そんな!誰かお姉ちゃんの傷治せる人はいないの!?」
ハルは必死になって頭をフル回転させた。
「………!理事長だ。エサル師ならどうにかしてくれるかもしれない」
レイナルン魔道学園の理事長エサルは35歳という歳でなんと、この国で3つの指に入るほどの魔法の使い手いわれていた。そして、この国に10人しかいないAランクの魔法使いであった。
ハルは急いで少女のマントを破り、包帯代わりにすると、少女の傷口にまいた。
「今からレイナルン魔道学園へ行く!お前はどうする!?」
「ぼくも行くよ!多分事情を説明しなきゃならないし!」
「そうか、じゃあ悪いがこの子と俺の荷物持ってくれ!」
ハルはそう言うと少女を抱きかかえあげた。すると、少女の体から何かが落ちて、きん、と音を立てた。
それは綺麗な微かに青色がかかった、クリスタルのような剣だった。少し細身のその剣の柄と鞘には美しい薔薇の装飾が施してあった。
恐らくこの少女のものだろう。
「悪いがこの剣も持ってくれ!」
そう言うと男の子はすぐさま剣を拾い、もう行ける、と言うように大きく頷いた。
ハルはそれを見ると頷き返し、ハルと男の子はレイナルン魔道学園へ向かって走って行った。




