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魔法使いの英雄彈〜二人が英雄になるまで〜  作者: 猫田ねここ
第1章 出会い
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第1章 4 【魔道書】

魔道書


「こんちわー」


「おう、ハル。久しぶりだな」


ハルは王都の表通りのある書店に来ていた。


「そうですね。一か月ぶり位ですかねー?」


「もう、そんなになるか」


「はい。それで、今日は新しい魔道書が入った、という噂を聞いてきたんですが…。もう、ないですかね?」


「いんや、まだ売れてねえ」


「え、珍しいですね」


魔道書とは魔法について書かれた本のことである。

内容は様々だが、多くは魔法の呪文について書かれている。


魔道書は書く人も少なく、また、新しい魔法を生み出そうとする人も少ないので、大変貴重なのである。また、そのため、新しい魔道書が、出ることは滅多にないのである。


だから、ハルはもうすでに新しい魔道書は売れてしまっているだろう、と思って来たのだが、拍子抜けてしまった。


「なんで、まだ売れてないんですか?

もしかして、ガセネタだったとか…?」


「いや、ハルの情報は合ってるよ。ただなぁ、その本ちょっとだけ問題があってな。まあ、こっからは実物を見てもらったほうがはやいな」


そう言って、店主は立ち上がると、店の奥へ入っていった。


数分ほどすると、店主は一冊の分厚い本を持って戻ってきた。


「ほい、これが、お目当の本だ」


それは、少し紫色のかかった色の本で表紙には金色の文字で題名が書かれていた。だが、題名の文字はハルの知らない文字で読み取ることができなかった。


ハルは、店主から本を受け取ると、パラパラとページをめくって見た。


「……。なんですかこれ」


「まあ、それがその本がいつまで経っても売れない理由だな」


「いやいや、この文字はなんですか!?これじゃあ暗号じゃないですか!」


「うん、まぁ、そういうこっちゃ。その本、王宮の解読士が、総出で解読にあたったそうだが、誰一人として解読出来んかったそうだ」


「そんな話聞いたことないですよ!?王宮の解読士がダメだっただなんて…」


「あと、ハル。値札見てみろ」


ハルは裏に貼ってある値札を見てみた。


「いやいやいや、高すぎでしょう!?」


「そう、それがこの本が売れないもう一つの理由だ。暗号しか書かれていないのに、値段が高いんだよ」


「ええー…」


なんと普通の魔道書が、2000コルくらいするのに対して、この魔道書は、5000コルもするのである。一般市民の一人暮らしのものだったら、1年位は暮らしていける額である。


「まあ、ハルみたいにこの魔道書を買いたいと名乗り出る人は何人もいたんだが、何せ中身が中身だろ?買いに来た人全員、本開いてから、買うのをやめてったぜ」


「う〜ん…」


「まあ、こんな暗号本買うバカなんている訳が…」


「よし、買いましょう!」


「こ、ここにいたーー!!」


ハルが店主を見ると、店主は口をあんぐりと開けていた。ハルはこの店主との付き合いは長いが、こんな顔をした店主は初めて見た。


「お、おい!?いいのかよ?5000コルもするんだぜ!?」


「でも今お金貯めてて、結構貯まってるんで、大丈夫ですねー」


「なんでそんな金持ってんだよ!?」


「いやー。なんか、最上級生になった途端、魔人討伐にかり出されるようになりましてね。その時に、すんごい額のお金をもらえるんですよー」


「…そうなのか。まあ、魔人討伐は危険だ、って聞くしな。ハルも気をつけろよ」


魔人討伐とは、各地の村や町を襲っている魔人たちを倒すことである。第二次魔道戦争後、魔人が各地の村や町を襲ってその場所を占拠するという出来事が多々起こっていた。


それをハルたちレイナルン魔道学園の上級生やその他の優れた魔法使いが、魔人と戦い、魔人たちの動きを抑えているのであった。


「ありがとうございます。それで、話を戻しますが、魔道書を買いたいんですが?」


「あぁ、すまんすまん。でも、本当にいいんだな?」


「はい、まあ頑張って読んでみますよー」


「そうか。読めたら、それは大ニュースになるがな」


そして、店主はハルから魔道書を受け取ると、値札を外し、ハルに渡した。


「4800コルになります。200コルはまけといてやるよ。ただし、また本買いに来いよ!」


「勿論です!ありがとうございます!」


ハルは魔道書を受け取り店を出た。そして、早速読みたくなったので、研磨が終わるまでの時間を潰すためにも、図書館へ行くことにした。

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