第1章 3 【両手剣】
両手剣
150年前、第一次魔道戦争が起こった。それは、人間と、魔人(魔法に長けている、悪魔の姿をした魔族)との戦いだった。
そのとき、人間は魔法使いを集め、戦ったが、全く勝負にならず、国の約三分の一の領土を奪われてしまった。この出来事によって、各地に魔人に対抗するため、魔法使いを育てる魔道学園が出来た。
そして、50年前、再び魔人がせめてきて、第二次魔道戦争が起こった。第一次魔道戦争のときより、魔法使いの質が上がっており、魔人と互角に渡り合うことができた。
だが、それでも魔人を退けることはできたが、かつての領土を奪い返すことは叶わなかった。
そこで、王都に造られたのがレイナルン魔道学園である。この学園は魔法使いの中でも優れた魔法使いの精鋭部隊を作ることを目標とした学園でこの国の王が、直々に命じて作らせた学園である。
だが、その分レイナルン魔道学園の入学試験は、最難関と言われており、魔導はもちろん、剣術、技巧においても、優れた成績のものしか入学することが出来ない。
だから、レイナルン魔道学園を卒業したものは、堂々と一流の魔法使いと名乗ることが出来るのである。
また、卒業前の魔法試験に合格すると、生徒はAランクの資格を得ることが出来るのである。
そんなレイナルン魔道学園の最上級生にして、首席のハルが、王都に出ると、どうなるかというと、
「はー。やっぱ王都は賑やかだなぁー」
と、ハルはのんびりと言う。そう、何も起こらないのである。レイナルン魔道学園の制服を着ているので好奇の目は向けられるが、それだけで、特に何も起こらない。王都の大半の人はハルがレイナルン魔道学園の首席だなんて知らないのである。
「こんちわー」
「おう、坊主。また来たのか」
ハルはこの王都の一番の腕の研摩士がいる店に来ていた。
ちょっと強面の店主であったが、トムラのお墨付きの店だけあって、
ハルはこの店のことをとても気に入っていた。
ハルはトムラにこの店を紹介されて以来ハルはこの店によくきていた。
「はい。今日は研磨をお願いしたいんですけど」
「おう。りよーかい、りよーかい。んじゃ、剣を見せてくれ」
「お願いします」
春は店主に腰に下げていた真っ白な剣を鞘ごと抜くと、店主にわたした。
ちなみに、ハルが愛用している剣は、両手剣で、この店のオーダーメイドの剣である。
「随分とまた派手に使ったようだな?」
ハルから受け取った剣を鞘から抜いて、剣を確かめると、店主はそういった。
ハルの剣は二週間前に研いだのにもかかわらず、輝きを失っていた。
普通は一ヶ月に一度くらい研げばいいのだが、あまりにもペースが早かった。
「はい。この前一個下の後輩の剣術首席の奴に勝負を申し込まれましてね。少々派手使っちゃいました」
「で、勝負は負けたのか」
「いえ勝ちました」
「坊主、負けたことあるのか?」
「ないですねー」
ハルが平然とそう返す。
「…。まぁ、それはどうでもいい。ちょっと、いつもより時間がかかりそうだな。いつまでに研いで欲しい?」
「今日っすね」
またもや平然と言う。
剣は研ぐのに大体三時間くらいかかる。あまり長い時間ではないが、この店は王都一番の店である。
その分、研磨を以来に来る人は多く、今日中には研磨しなければならない剣が、この店には多くあったのだ。
「お前さん無茶言うなー。まぁ、坊主はお得意さんだ。第一優先で研いでやるよ。んじゃあ、夕方に取りに来てくれ」
「ありがとうございます!」
と、その後店主とたわいのない世間話をしてから、店を出て、ハルはもう一つの方の用事を済ませるため、次の店へ向かっていった。




