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魔法使いの英雄彈〜二人が英雄になるまで〜  作者: 猫田ねここ
第1章 出会い
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第1章 26 【予兆】

予兆


「えっと、今日からこのクラスに編入してきた、アリスと言います。よろしくお願いします!」


アリスはAクラスのクラスメートに自己紹介するとぺこりと頭を下げた。


その途端、パチパチと拍手が起こる。

生徒は好奇の目でアリスを見ていた。


「えっと、聞いての通りだが、今日からクラスメートになったアリスだ。えーと、アリスの席は…、ハルの隣か」


Aクラスの担任のカムハ師がアリスのことを、紹介する。


「ちょおっと待ったあーー!」


「…なんだ、トムラ」


カムハが呆れたように言う。またか…、という落胆が見え見えだった。


「席替え希望をしまーす!」


「却下しまーす!」


「なんですとぉこのやろぉ!!??」


「お前、何度目だこのやろ!」


カムハに一喝されてトムラはしぶしぶ引き下がった。


「では、分からないことがあったらクラスメートに聞くんだぞ」


「はい、ありがとうございます」


アリスは笑顔で頷くと、自分の席に座った。そこは窓際の一番後ろの席だった。


「先生ー、1時間目はアリスの質問タイムにーーーー」


「それでは授業始めるぞー。教科書開けー」


「せんせーーーー!!!」


そんなこんなで楽しい楽しい授業が始まったのであった。




そして、昼休み


「ふわぁーー。疲れたーー」


アリスは食堂の机に突っ伏していた。

ちなみにハルやトムラ。そして、ルミスもミィリアも一緒に食べにきている。


「な、なんか適当に昼飯頼んでこよっか?」


「ありがとー、ハル」


「あっ、じゃ、俺のも!」


「私のもですの」


「それなら私も」


それに乗っかる、トムラ、ルミス、ミィリアの3人。


「そんな持てねえよ!?」


と言いつつもハルは全員分の昼食を頼みに行ってくれた。


「大丈夫?」


ミィリアが心配そうにアリスの顔を覗き込む。


「うんー。でも、初めての体験だから疲れたー」


「まぁ、慣れですの。あんまり疲れているようでしたら午後の授業休んだらどうですの?」


ルミスも心配顔で聞く。


「うーん、でもね。授業はとっても楽しいから休みたくないの。それに昼食を食べたら多分回復するー」


「それマジ!?」


「まじまじー」


アリスがトムラの口調を真似して言ってみる。


「か、かわいい」


「どこぞの誰かさんとは大違いですの」


「んだよ!なんか文句あんのか!」


「何もですの」


ルミスはプイッとそっぽを向く。


そのタイミングでハルが戻ってきた。


「よっしゃー、全員辛口カレィだ!」


「マジで!」


ハル以外のメンバーが揃って叫ぶ。


これはハルが悪戯心でやったものだったが、案外ミィリアは辛いものが好きで、アリスは最初は怖がっていたが、一口食べると大丈夫だったようで普通に食べだした。


そして、ハルの悪戯の被害を受けたのは…


「ーー!何これ!辛いですの!?」


「てんめぇ!覚えてろよ!」


ルミスとトムラであった。


「お前らってなんか似てるよなー」


ハルが笑いながらいう。


「だ、誰がこんなやつと!」


そう言う2人の声は揃っていた。


それを聞いてアリスもミィリアも笑い出した。


昼休みの時間は飛ぶように過ぎていった。




「ただいまー」


アリスはそう言うと自分の部屋に入った。


午後の授業も終わり、シーナとシャルロットの3人で夕食&お風呂でエンジョイした後、自分の部屋に戻ってきた。


どうやらミィリアとルミスは忙しいみたいだったので3人も無理に夕食に誘わなかった。


アリスは制服を脱ぐと、ラフな服に着替え、ベッドに横になった。


「楽しかったなー。そうだ、今度の休日装備買いに行かなきゃー」


この学園では剣術と魔道の授業だけは、着替えることになっており、みんなそれぞれの装備を身につけるのであった。


今日は剣術の授業はあったが、アリスは装備を、まだ買っていないので授業は見学となり、つまらなかったのだ。


なので、装備を買うお金は学園側から貰ったので早速今週の休日に装備を買いに行くことになった。


それもハルと一緒に。


ハルは今日の朝の約束、剣を取りに行くのを兼ねて、休日一緒に出かけるときに装備を選びに行こう、と言ってくれたのであった。


アリスはそのことを思い出すと、にやけてしまった。アリスはとても嬉しかったのだ。


「きゃー、我ながら今の私の顔気持ち悪いー」


アリスは散々ベッドで悶えると、ベッドから立ち上がった。


と、その時


右手が疼いた。まるで、火に焼かれているように。剣で切られているように。骨がおられるように。


熱く、冷たく、疼く。

疼く、疼くーーーーーーーーー


「っ!くあぁっ!」


アリスは堪えきれずに声を上げる。


慌てて右腕を押さえるが痛みは消えない。アリスは痛みで朦朧とした意識の中右手を見ると、


右手には龍化したときのあの、青色の紋が浮かび上がっていた。それも、いつも自分の意思で龍化している時よりも多くの紋が。


「っつ!また…!どうし、って!うっつ…」


その時、先程とは比べ物にならないくらいの痛みが右手を貫いた。その途端アリスはふらりと倒れ、アリスの意識は暗闇へ引きずりこまれていった。




それは





まだ、この楽しい学園生活の終わりの予兆に過ぎなかった。







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