第1章 22 【Aクラス】
Aクラス
「えっと、私、なんか変なこと言ったんだよね!?ごめんなさい!」
アリスは4人が何故驚いたのか分からなかったが、急いで頭を下げる。
それからアリスは恐る恐る顔を上げてみるが、4人はアリスの顔をぽけっと見ているだけであった。
アリスがさすがに不審に思い始めると、ようやくルミスが口を開いた。
「アリスは、知らないですの?」
「? 知らないって?」
アリスは本当に分からなかったので、キョトンと小首を傾げる。
「えっと、この学園は、B、C、Dクラスはランダムに生徒が振り分けられているけど、Aクラスだけはちょっと違うですの」
ルミスが苦笑しながら言った。
そのルミスの言葉の続きをシャルロットが引き継いだ。
「Aクラスはね、学年の上位25人前後で構成された選抜メンバーのエリートクラスなのかな」
「え、でも、ミィリアもルミスもAクラスなんだし、そんなに驚くことないんじゃ?」
アリスは恐る恐る聞いた。
だが、それを聞いた4人は全力でかぶりを振った。とくに落ち着きのないシーナなんてクビが落ちそうなくらいブンブンと首を横に振っていた。
「そうだけど。けどけど!アリスは編入生だよね?この時期に編入するのは、あり得ないことだから、編入試験も厳しいんだよ!」
シーナが勢い込んで言う。
「今まで編入してきた人いるけれど、最初からA クラス入った人いないかな!?」
シャルロットも、身を乗り出して言う。
「それに2年も飛び級なんて。前代未聞よ。私たちはてっきり同い年かと…」
ミィリアはアリスの顔をまじまじと見ながら言った。
「へ、そうなの!?」
4人の話を聞いて、アリスは素っ頓狂な声を上げてしまった。
と、それを聞いた4人は
「ぷ、あはははははー!」
と、一斉に笑い出した。あまりにもアリスの反応が面白すぎたのだ。
「え、ちょっと、そんなに笑わなくても!」
アリスは初めのうちはオロオロとしていたが、しまいにはみんなと一緒に笑い出した。
アリス達の笑いが収まるまでに5分程の時間を有した。
「さて、まだまだこれからたくさんしたいですの。アリス、今日用事とかありますの?」
「えっと、あとお風呂入るだけ」
アリスはちらりと準備しっぱなしのお風呂用具を見る。
「それかな!!」
と、急にシャルロットが立ちあがり叫んだ。
「どうしたのよ?」
ミィリアが驚いて聞き返した。
「お風呂で、女子トーク!どうかな!?」
シャルロットがニヤリと笑って言った。
「ちーすっ、ハル」
「よぉ、どうした?」
ハルの部屋にトムラが訪れたのはアリスと別れてから少し経った時だった。
「いや、暇なだけ。中入れてくんね?」
「お前、暇だからってくんなよ。どうぞ」
ハルもそういいながらもドアを開け、トムラを部屋の中に入れた。
トムラはハルの部屋にズカズカと入ると迷わずハルのベッドに座った。
「お前、人の部屋なのに躊躇ねえな」
「おいおい、何年の付き合いだと思ってるんだよ?」
「4年」
ハルはバッサリと答える。
「はっきり言われるとちょっと傷つくよ!?てかお前、風呂上がりか?」
「あぁ、さっき部屋の風呂はいったばかりだ」
ハルの黒髪は少し濡れていた。
「で、何の用だよ?」
ハルはベッドの近くの床に座る。
「んだよー、用がなければ来ちゃだめなのかよー」
「いや、そう言うことじゃないけど」
と、ハルはちらりと机の上に置いてある開きっぱなしの魔道書を見た。 トムラが来るまでハルはこれの解読にあたっていたのだ。
トムラはハルの視線の先に気づくと、ベットから降りて、机の上の魔道書を見た。
「って、なんだこりゃ」
トムラは魔道書を見た瞬間本を閉じた。
「読めねーだろ?」
ハルも苦笑して言う。
トムラに開いていたページを閉じられてしまったが、どっちにせよ読めていなかったので、ハルはとくに気にしなかった。
「なんで読めねーやつ買ったんだ?」
「なんとなく」
「まじかよ!?」
ハルは立ちあがり、魔道書を本棚にしまうと、床に座った。
トムラも今度はハルの横に座る。
「っと、忘れるところだった」
急にトムラが言う。
「?」
「いや、さっきロビーらへんをうろちょろしてたんだけどな」
「不審者かよ!」
ハルがその様子を想像して、吹き出す。
「うるせーな。それでな、あの銀髪ちゃん見かけたんだよ」
「銀髪ちゃんじゃなくて、アリスっていうんだよ」
「そうなのか。アリスか。へぇー」
「いいから、続き。くだらねぇー話だったら蹴るぞ?」
「お前にとっちゃ、安心する話だと思うけど?アリス、女子達と一緒にお風呂に行ってたぞ?」
「本当か!」
その瞬間ハルの顔が輝いた。ハルはアリスがその学園に馴染めるか心配していたのだ。
「しかも、楽しそうに笑いながらな。どうだ、たまには俺も役に立つだろ?」
「うん、たまにな」
「たまにか…」
「お前自分で言ったんだろ…」
そして、2人は顔を見合わせて、小さく笑った。
「まぁ、でも良かったわ。あんがと」
「どーいたしまして」
「あと、アリスAクラスに編入することになったから同じクラスだぞ」
「まじか、俺の青春キターーーーー!」
そう聞いた瞬間トムラが勢いよく立ち上がる。
「ふっ」
「鼻で笑うのやめてくんね!?」
ハルとトムラはその後少し喋ってから、トムラは自分の部屋に戻って行った。




