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魔法使いの英雄彈〜二人が英雄になるまで〜  作者: 猫田ねここ
第1章 出会い
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第1章 15 【龍】



「あのー、1つ質問。いいですか?」


「ええ、どうぞ」


「なんでアリスの包帯巻いてないんですか?」


それは先程からハルがずっと気になっていたことだった。


「えっと、さっき傷を見せてもらった時に治癒魔法をもう一度かけてみたの」


「!?」


「そしたら、傷が塞がっちゃった」


「昨日は全然効かなかったのに!?」


エサルは黙って頷いた。そしてアリスに視線を向けた。


「ここからはあなたが説明した方がいいわ。さっきと同じ話を」


「はい。エサル様から滅びた魔法については聞いてますよね。私の傷はその魔法によって治癒魔法が効かない状態になっていました。ですが、その魔法の効力は1日もないのです」


「だから、今日は治癒魔法が効いたと?」


「そういうことです」


そんな魔法があったことにハルは驚きだった。


「じゃぁ、本題に移って、質問をするわね?」


「はい」


「あなたは白の牙の、一員。このことはあってる?」


「はい」


救護室では、エサルのアリスへの質問が続いていた。


それらをまとめると、


・白の牙は魔法使い中心の世界を作ろ うとしている


・白の牙は現在、タイリという名前の 男が1人まとめ上げている


・各地を襲っては子供をさらっているのはある実験をするため


・白の牙はいくつかの隊に分かれて行動している


・現在の人数は500人ほど


ということだった。


「ありがとう。それじゃあ、もう少し詳しく聞いていくわね」


エサルはものすごい速さでメモを取りながら、質問していた。


「まずは、白の牙のリーダー、タイリについて聞かせて」


「タイリ様は白の牙の二代目のリーダーです。タイリ様は主に実験の方に参加しています」


「実験とは?」


「それは…。ちょっと説明が難しいです。説明よりも、見てもらったほうがいいでしょう」


ハルとエサルはアリスの言葉の意味が分からなくて、揃って首を傾げた。


「私の腕を少し見てもらっててもいいですか?」


アリスは2人にそう言うと、右の服の袖を肩のところまでめくった。すると、アリスの白い肌があらわになった。


アリスは右手に左手をつ、と沿わせると、聞いたことのない呪文を詠唱した。


「われに眠りし、龍よ。我との契約に沿い、我に力を与えたまえ…」


アリスがそう唱えた途端、アリスの右手が青白く輝いた。


いや、違った。アリスが呪文を唱えた途端、アリスの右手に見たこともない、細かな紋章が浮かび上がった。

それは文字とも魔法陣とも言えない不思議なモノだった。


その紋章自身が青白く光っているのだ。


と、ハルとエサルがその光に見とれていると、急激にアリスの右手に魔力が高まった。それも、尋常ではないくらいの魔力だった。


この魔力を使って攻撃されたら、ハルですら防げないであろう。


ハルがそう考えたその時、急にその魔力が消えた。と、同時にアリスの右手からも紋章が消えていた。


ハルはこの現象が、何か全く分からなくてエサルの方をうかがった。


そのエサルは、


顔に驚愕の表情を浮かべていた。


「あ、アリス…。あなたは…?」


アリスは自分の右手を自分のものでは無いように、自分の右手を少し動かしていた。


「私は、実験の成功作なんです」


アリスは目を伏せてそう言った。


「でも、それで生きていられるはずがない…!」


「ええ、普通だったらそうでしょう。現に今までに私しか生き残っていないそうです」


ハルは2人の話に全くついていけず、混乱していた。だが、2人が何か重大な話をしていることだけは分かっていた。


「あなたは…人間なの?」


「…人間だけれども、一番人間から遠い存在、でしょうか」


そのあたりでハルの我慢が切れて、二人の話に割ってはいった。


「すいません、俺にも分かるように話して欲しいです」


ハルがそう言うと、一気に疲れたような顔をしたエサルが説明してくれた。


「つまり、アリスは龍の血を飲んだのよ。それによってアリスは龍と融合、簡単に言うと、龍の血が流れている人間、半龍と言えるかしら」


「正確には飲まされた、ですけどね」


と、アリスが苦笑しながら言う。だが、アリスの目は暗く陰った目であった。


ハルはさすがにそれだけの説明では全く理解できなかった。


エサルはそれを察したのか、ハルに向き合って言った。


「ハルは龍についてどのくらいの知識がある?」


「えっと…、龍は太古の生き物で現在は絶滅されたとされている生き物で、確か…。ものすごい魔力をおり、知能や自我もあって、昔は神と崇められていたとか」


ハルはなんとなくの記憶を辿って答えた。


「まあ、普通はそのくらいの知識だわ。龍の血はね、神聖なもので人間じゃあ手に入れることのできないくらいの魔力を蓄えているの。だから、昔から龍の血を使って、龍と人間の融合の実験は多く行われてきたわ」


ハルもそんなような話を本で読んだことがあったような気がした。


「だけれども、今ではその実験は禁止されているわ」


「…?なぜですか?」


「…龍の血は魔力そのものといってもいいくらいのものなの。そんな龍の血を人間が飲んだらどうなると思う?」


エサルは誰に尋ねるわけでもなく、尋ねていた。だが、その瞬間ハルは背すじが凍るような錯覚を覚えた。


「龍の血を飲んだ人たちは…







一人残らず死んだのよ」




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