第1章 14【ダイクロイックアイ】
ダイクロイックアイ
救護室は緊迫した空気がピリピリとしていた。
その空気の原因は先程目覚めたばかりのあの少女だった。
少女はベッドの上で上体だけを起こし、小さな動きでも見逃すまいと、救護室にいる教師たちをじっと睨みつけていた。
教師たちは傷を見せてくれない少女にすっかり困っていた。
と、その時複数の足音が聞こえ、救護室の扉が開けられた。
入ってきたのはエサルとハル、そして…
「…クレト!!」
「お姉ちゃん!!」
最後にクレトが救護室へ入ってきた途端、少女とクレトは互いの名前を確認するように呼んだ。
そして、クレトが真っ先に少女の腕の中に飛び込んだ。
泣きながら何度も、お姉ちゃん、と言い続けているクレトの頭を少女は優しく撫でていた。その少女の顔は先ほどとは打って変わって、とても優しい表情をしていた。
だが、少女はすぐにその表情を消すと、エサルに向かい合った。
「…先程は疑ったりして申し訳ありませんでした」
少女は軽く頭を下げた。
「信用してもらえて光栄だわ」
と、エサルが苦笑しながら言う。
「さてと、感動の再会のところ悪いけれど、幾つか聞きたいことがたくさんあるわ」
「はい、わかっています。私が答えられることならば、お答えしましょう」
と、少女が顔をあげてしっかりとそういった。
その時、ハルはようやく少女の顔をしっかりと見ることができた。
少女の顔は思っていた通り、整っており、最初見た時はハルは自分と同じ年くらいかと思っていたが、目を開けるとハルより少し幼く見えた。
そして、少女の銀髪が少女の整った顔をより際立たせていた。
だが、それより目を引いたのは少女の目だった。
「ダイクロイック…アイ?」
ハルは思わず呟いていた。
ハルの声を聞いた少女は少し驚いたようにハルを見た。
「よく知っていますね」
「…」
だが、ハルは何も返事を返すことができなかった。ハルの目は少女の目に釘付けになっていた。
それもそのはず、少女の目は美しいアイスブルーと、キラキラ光るイエローのダイクロイックアイだったのだ。
ハルはダイクロイックアイすら見たことがなく、こんなにも綺麗な目を見たことがなかった。
「えっと…、そんなに見られても困るのですが…?」
「え、わ、ごめんなさい!」
いつの間にかハルは少女の目をじーっと見つめてしまっていた。
「そんな、青春的なやり取りはいいから…。それよりあなたの傷を見せてくれないかしら?」
そんな2人を見て、エサルが呆れてそう言った。
「よし、入っていいわよ」
中からエサルの声が聞こえたので、ハルとクレトは中へ入っていった。
クレトは中に入るなりすぐさま少女のところへ向かっていった。
「お姉ちゃん、大丈夫?痛くない?」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
少女の包帯は取られていた。なぜもう包帯が巻かれていないのか、ハルは不思議に思ったが、取り敢えずは何も言わないでおいた。
「クレトには悪いけれど、少し席を外してくれない?」
その途端、クレトの目が大きく開いた。
「どうして!?」
「今からお姉ちゃんと大事なお話をするの。終わったら読んであげるから、ね?」
「うー」
クレトは不満顔で部屋を出て行こうとしない。
すると、エサルは少女の方を向くと、まるで、どうにかしなさい、とでも言うように顎をしゃくった。
「…クレト?お姉ちゃんもこの方とお話しをしたいの。それまで待っててくれる?」
少女は初めて優しげな笑みを浮かべ、そう言った。クレトは、少女の笑みを見て安心したのか、素直に頷いた。
「…うん。わかった!」
そして、クレトは部屋をを出て行ってくれた。
「ええと、俺もここにいていいですか?」
「ええ、いいわ」
そして、エサルは少女に向き合って言った。
「あなたには悪いけれど、私もまだ、あなたを全面的には信用していないの。だから、さすがに2人きりで話そうとは思わないわ。だから、ハルも一緒だけれど、いいわね?」
「はい。それでお願いします」
少女は素直に受け入れた。
そして、ハルとエサルは少女と向き合う形で椅子に座った。
「では、まず自己紹介から。私は…」
と、エサルが名前を言う前に少女が口を挟んだ。
「エサル・ミラハーズ様、ですよね?」
「…、ええ。なぜ知っているの?」
「この国の貴族の名前は全て頭に入っています。それに、あなたの噂はよくお聞きするので」
エサルは珍しく驚いた顔をしていた。でも、それはハルも同じだった。
「エサル師って貴族なんですか!?初耳ですよ」
「ええ、そうよ。まぁ、私自身がミラハーズの名前で呼ばれるのが嫌いなのよ」
貴族は名前以外に苗字を名乗ることができるのだ。もちろん、ハルは平民なので名前しかない。苗字を名乗ることができるのは貴族と王族だけなのだ。
「ほら、私はもういいからあなたも自己紹介」
「あっ、はい。俺はハルと言います。よろしく」
「はい。たしか、この学園の首席の方ですよね?」
「知っているんですか!?わぁ、うれし…」
「あなたの名前、あと年齢も聞いていいかしら?」
と、ハルが言い終わる前にエサルが口を挟んだ。
ハルは失礼ながらも、不満顔でエサルを見てみるが、エサルは完全無視だった。
「はい」
そして少女はそう返事をすると、ハルとエサルの顔を見ながら答えた。
「私の名前は、アリス。歳は14です。私とクレトを助けていただきありがとうございました」
ダイクロイックアイ、分からなかったら検索してみてください!
(説明、面倒くて、完全丸投げですm(_ _)m)
でも、綺麗なんでぜひ、調べてみてください( ´ ▽ ` )ノ




