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魔法使いの英雄彈〜二人が英雄になるまで〜  作者: 猫田ねここ
第1章 出会い
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第1章 13【目覚め】

目覚め


「どうやら、あの少女が目覚めない限り、謎は解けないみたいね…」


「そうですね…」


クレトは泣き疲れて、ハルの膝の上で眠っていた。


ハルもエサルもクレトの話を聞いて、とても疲れた顔をしていた。


「でも、一体、白の牙は何をしたいのかしら?」


「分かりません。でも、各地から子供だけを集めていたっていうのが気になります」


「そうね…」


そして、ハルとエサルは同時にため息をついた。後は少女が目覚めるのを待つことしかできなかった。


「ハル、1つ聞くけれど。あの子をどうするべきかしら?」


「はい?」


「つまり、衛兵に引き渡すかどうかってことよ」


「あ…」


衛兵に引き渡せば、正式に罪人として処罰されるだろう。


だが、彼女は白の牙の一員だ。恐らく死罪は免れないであろう。


「どちらにせよ、話を聞いてみない限りわからないと思います」


「そうよね…。ありがとう」


エサルはこめかみを手でほぐしながらそう答えた。


エサルは実力はあるが、理事長にしてはまだまだ若い。エサルにとっては、このことは荷が重いだろう。


と、その時パタパタと廊下を走る音が聞こえたかと思うと、理事長室が開けられた。


「理事長!少女が、目覚めました。至急きてください!」


と、そこにはユイ師が立っていた。いつもは整えてある髪が少し乱れていた。


「わかったわ。すぐ行く。彼女のそばには誰か付いてる?」


「はい。カムハ師が!」


「ありがとう。あなた達はここで待ってなさい。すぐ呼ぶわ」


エサルはハルにそう言うと、理事長室を出て行った。


「おい、起きろー、クレトー」


ハルはエサルが行ってしまってから、やる事が無くなったので取り敢えずクレトを起こすことにした。


「…うー…」


「クーレートー」


「…ふわぁー。はるー?おはよう…」


クレトは眠いようで瞼を擦っていた。


「取り敢えずちょっとそこの洗面所で顔を洗ってこい。使い方はわかるよな?」


「うーん…」


クレトは寝ぼけ眼でトコトコと洗面所に向かっていった。


〜待つこと1分〜


「おはよう、ハル。ぼく寝ちゃったんだ」


「おう、おはよう」


クレトは随分すっきりした顔で、洗面所から出てきた。こげ茶色の前髪に少し水滴がついていた。榛色の目をパチパチとさせている。


「どうしたのー?ハル」


「お姉ちゃん、が目覚めたぞ?」


ハルが笑いながらそう言う。


「本当!?今すぐ会いに行こうよ!」


クレトの顔がパァっと輝いた。


「今はまだ。エサル師が行ってる。でも、すぐ呼びに来るって言ってたから、もう少しだけ待ってろ?」


「うん!」


クレトは頷いたが、落ち着かないようで椅子の上で足をパタパタさせていた。


なんだか、ハルも落ち着かない気分になり、2人して何度も理事長室のドアを振り返っては見ていた。


〜待つこと15分〜


ようやく理事長室のドアをが開けられた。


そこにはエサルが立っていた。


「あの少女のは?」


「大丈夫よ。それより、2人とも来てくれない?あの子が傷を見せてくれないのよ…」


エサルが困ったようにこめかみをおさえる。


「それはどういうことですか?」


「相手はクレトを出さない限り、信用しないって言っているのよ…」


「まじすか…」


「そういうことだから、クレトも来てくれるかしら?」


エサルがクレトにそう言うと、クレトは大きく頷いた。


「もちろん!!」


「それじゃあ行きましょう。」


そうして3人は救護室へ向かっていった。

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