塩キャラメル
「しょっぱい…。」塩キャラメルを食べていた中村 りんはそう呟いた。
れんと食べていた頃は、おいしかったのになぁ…。
れんとは、私の大好きな人。
1ヶ月前までは、毎日一緒にいた。
だけど、れんはお父さんの会社の転勤で学校を引っ越してしまった。
れんがいなくなるのは、悲しかったけど…中学生の私達にはどうする事も出来なかった。
れんとの出会いは、小学生の頃。
学校から帰ろうとしていたけど、道を迷ってしまって泣いていた時に、れんが話しかけてくれた。
今でも覚えてるよ。
『どうしたの…?』
「…あのね、帰る道が分からないの。どうしよ…。」
『これ、あげるよ。だから、元気出して。』
そう言って渡されたのは、塩キャラメル。
「ありがとう。」
初めて食べた塩キャラメルは、甘くておいしかった。
その後、無事私は家に帰れたのだった。
それから、れんとは仲が良くなりいつも一緒にいた。
お互いの友達も一緒に、遊んだ事もある。
れんと恋人になったのは、中学1年生の時。
放課後の教室で、塩キャラメルを渡されて告白された。
その時食べた塩キャラメルは、今まで食べた以上に甘かったのを覚えている。
「れん、会いたいよ…。」
今までの事を思い出していたら、泣けてきた。
ただでさえしょっぱい塩キャラメルが、更にしょっぱくなった。
いつか、れんとまた会えたら2人で塩キャラメルを食べたい…と泣きながら思っていた。