異次元4
夜、好子が寝た頃
蕾芽:はあー、もう帰れんかもな
小雪:そんなことないって
蕾芽:小雪さんはいつもそうやって言うけど、何も変わらないじゃん
小雪:そうだけど、でも希望を持たなきゃ
蕾芽:もういいよ、オレここに住む。学校もないし、働くよ
小雪:蕾芽くん、考え直しなさいよ。そんなことするよりも、元の世界に戻る方法を
蕾芽:あのなー、何度同じことをやっても無理なもんは無理なんだよ、何も変わりゃしねえ。だから新しいこと始めないと。オレはもう大人と言ってもいい年齢だ、自分のことぐらい何とかできる
小雪:そう。何とかできるならしてみなさい。でもあなたは、まだまだ子供だからできないことも多いわよ?
蕾芽:は?17年も生きてきたんだぞ?ま、あんたには分かんないよ。異次元に飛ばされて家族を失った人の気持ちなんてさ。幸せ者は違うよ
小雪:バカっ!さっきから何甘えてるの?ちょっと一発叩かせなさいっ
蕾芽:うわっ、何だよ
小雪が蕾芽に殴りかかろうとした時、外出中の闇翦が帰ってきた
闇翦:おい、何してんだっ
闇翦が二人を止めた
小雪:私だっていつも蕾芽くんたちのこと考えてるんだよ。どうしらいいか、何をしてあげれるか。それに、家族を失った人だったらここにもいるよ
闇翦:ん?オレ?
小雪:闇翦は本当の家族を知らないまま大人になろうとしてるの。一度も親の顔を見たことないのよ?それが何年も続いて。夜中に闇翦がこっそり泣いてるのも知ってるし
闇翦:いつの話しだよ
小雪:いいのっ。蕾芽くんは本当の家族がいるのよ?異次元に飛ばされたぐらいであなたは、大事な家族を捨てるの?帰る方法を探さないっていうのは捨てるのと一緒だよっ?
蕾芽:そう、だよね。小雪さん、ごめん。オレ、本当は帰りたい。でもどうしたらいいかわからなくて、それでこんなことを。
蕾芽が小雪の前に正座して言った
蕾芽:オレを叩いてください
小雪:もう後ろ向きなこと言わないって約束する?
蕾芽:はい
小雪:じゃあ行くわよ?
小雪が立ち上がり、腕を大きく広げた
蕾芽:んっ、あれ?
顔にいい匂いとやわらかいのを感じ、目の前は真っ暗。小雪は、蕾芽を叩かず抱きしめた。そして頭をなでる
小雪:蕾芽くんはいい子だから分かってくれると思ってたよ?だから抱きしめたの。もう私が怒るような態度とっちゃダメよ?
蕾芽:はい、ごめんなさい。何だかすっきりした気分。さっきは怒りや不安でいっぱいで、絶望しかなかったのに
小雪:それは、絶対に帰るんだっていう希望が持てたからよ。闇翦も、本当の家族に会うっていう希望を持ってるから泣かなくなったんだよね
蕾芽:そうなの?
闇翦:あぁ。絶望より、希望だ
小雪:悩みを抱えてるのは一人だけじゃないから、みんなで解決しよう。
蕾芽:うん、よーし今から帰る方法を
小雪:今からは無理でしょ、明日にしなさい
蕾芽:はい、じゃあ明日
次の日
蕾芽:帰るにはどうしたらいいかー。あー、分かんないー
小雪:手がかりもないし、困ったね
闇翦:好子の体に帰るボタンがあったりして
小雪:そんなのあるわけないでしょ、真面目に考えなさい
闇翦:でも蕾芽が
蕾芽:好子、背中とかにボタンない?
当然見つからず、またいつものように帰る方法も見つからなかった
蕾芽:ま、焦らずゆっくりと考えよう
闇翦:そうしろ。でも、年が明けるまでには帰してあげたいな
蕾芽:きっと帰れる。オレも好子も、元の世界に
次の日、次の日と時が過ぎて行った
小雪:ねー、蕾芽くーん、買い物行ってくれるー?
蕾芽:うん、いいよ。好子も行くぞ
蕾芽と好子が買い物へ行った
蕾芽:買うものはー
好子:あ、お姉さんだ
そう言いながら好子が走って行った
蕾芽:あ、こら好子っ
好子が行ったとこには桜がいた
桜:あら蕾芽くん
蕾芽:桜さん。好子すごいな、よく桜さんだって分かったね
桜:闇翦は一緒じゃないの?
蕾芽:いや、いませんけど
桜:そうなの。私が買い物来るといつも闇翦に会うからさ
蕾芽:そうですかー
好子:お父さん、お菓子買うー
蕾芽:ダメ、小雪に怒られるよ?
桜と立ち話をし、買い物を終えて帰った
蕾芽:あー、何だか疲れた
小雪:大丈夫?ご飯食べて
蕾芽:いいやー、寝たい
小雪:え?蕾芽くん?あ、体熱いじゃん
蕾芽が体調をくずした。小雪がすぐに布団を敷く
蕾芽:すいません、寝ますわ
そのまま朝まで寝た




