姉同士のケンカ
釵惠:・・・
今日は、なぜか釵惠に元気がない
蕾芽:釵惠ネェちゃん、どうかした?
釵惠:何でもないヨ
そう言って、釵惠は そっぽ向いた
婀弥なら何か知ってるかも
蕾芽:婀弥ネェちゃん
婀弥:ん?
蕾芽:釵惠ネェちゃん元気がないんだけど、何か知らない?
婀弥:さぁね
婀弥は左肩をさすりながら、その一言だけ言って立ち去った
蕾芽:なるほど、おネェたちケンカしてるな
釵惠に元気がない時、婀弥は いつもなら心配するが今日は違う。ほっとけばいいみたいな態度だった。
釵惠のとこに行って聞いてみよう
蕾芽:さ・・・。んー?
釵惠:ぐすっ、うっ、ずずっ
釵惠が泣いている
蕾芽:おい、どうした?何があった
釵惠:いや、べつに何も
蕾芽:はぁ、何もなくて泣くやつがいるかよ?言ってごらん、どうしたの?
釵惠の涙の理由は、大事にしていた鏡が割れてしまったらしいのだ。床に置いたままにしていたため、それをうっかり婀弥が足で踏んでしまい割れたとのこと。その鏡は、釵惠が小学生の時に母が買ってくれた物で、ずっと大事に使ってた、宝物ともいえる品だった。
釵惠:ぐすっ、あの野郎、お母さんが買ってくれた鏡を壊したのヨ。許さない
蕾芽:そうか、それは悲しいね。大事にしていた物が踏まれて壊されちゃね
釵惠:鏡なんて また買ってもらえばいいって言われたけど、そういう問題じゃないっつーの
蕾芽:うんうん。長いこと使ぉうてたから、その鏡にも思い出が詰まってんねんな
釵惠:それをあいつは、バキッて
釵惠は さらに悔し涙を流す
釵惠:蕾芽、先に言っとくけど、婀弥と仲直りなんて無理だからネ。させようとしなくていいから
蕾芽:そう?けど、やつも悪いと思ってるんじゃないのか?
釵惠:だとしても、私の気が済むまでは余計なことせんといてや?
蕾芽:はい
怒りモードで、目もつり上がってる釵惠には逆らえない。
蕾芽:怖い、オレも泣きそうだ。仲直りする気がないにしても、いつまでもこんなの続けてられへんし。オレには どうすることもできん。あー、本当に怖い、超怖い
婀弥が来た。冷蔵庫から湿布を取り出し、左肩に貼る。
蕾芽:何だ、痛いのか?
婀弥:釵惠に殴られたもん
蕾芽:えーっ?
婀弥:本当に痛ぇ
蕾芽:骨に異常はなさそうか?
婀弥:たぶん大丈夫。打撲 程度だと思う
蕾芽:かわいそうに
婀弥:あいつもさ、鏡を床に置いとくから悪いんだよ
蕾芽:うーん、まぁ誰が悪いってことはないけど
婀弥:私だって釵惠に傘 壊されたけど、何もしなかったし
蕾芽:でも婀弥ちゃんは その傘に何にも思い出とかないだろ?
婀弥:ないけどさ
そのまま夜になり、ご飯の時間
いつも釵惠は婀弥の隣で食べるが、今日はオレの隣で食べてた。
夜ご飯の後、婀弥が風呂へ行った。オレは勇気を出して釵惠に声をかけた
蕾芽:ネェちゃん、まだ落ち着かないか?
釵惠:うん
蕾芽:鏡 壊れちゃったこと お母さんに言ったら?
釵惠:いや、言えない
釵惠がまた泣く
蕾芽:おネェちゃん、そんなに辛いなら お母さんに言いなよ
釵惠:だって お母さんがこのこと知ったら、きっと お母さんも心 痛めるヨ
母が来た
雪蘭:釵惠、どうした?
釵惠は自分の部屋へ走って行った
蕾芽:どうしよう
雪蘭:どうかしたの?
蕾芽:そうなんだよ、したんだよ。けど、勝手に言っていいのかどうか
雪蘭:言って
オレは母に すべて話した。母は、笑いながら言った
雪蘭:なーんだ、あの子そんなことで
蕾芽:ヤバイよヤバイよ
雪蘭:でも婀弥を殴ったのはダメだよ
蕾芽:どうするよ?
雪蘭:まぁ、また話すわ
父が帰宅した
蕾芽:お父さーん、ネェちゃんたちがケンカしとるぜ
透希:なんでー?何があった?
雪蘭:昔、私が釵惠に買ってあげた鏡を婀弥が割っちゃったのよ。婀弥もわざとじゃないんだけど、釵惠は許さないの一点張りで
透希:なるほどー、釵惠の気持ち よーく分かる
雪蘭:今は、釵惠の気持ちが落ち着くのを待ったほうがいいから、そっとしとこう
蕾芽:それがいいよ
透希:うーん。オレも子供の時 似たようなことがあったんだよなー
父が何かを思い出しながら、中学ぐらいの時の自分にあったことを話す。バレンタインのチョコの話しをしている
透希:そのチョコを配ってた女の子が、何と家に来たんだよ。どうやら小雪さんの同級生だったらしく、事情を話したら家まで来てくれて、またチョコをくれたんだよ。それで、姉ちゃん ありがとう、さっきはごめんっていう感じで。
雪蘭:ステキー
透希:だから解決するには、もらった人から また同じ物をもらうのがいいんじゃないかな?ってお父さんは思うよ
蕾芽:ということは?
透希:お母さんが、また釵惠に鏡をあげる。今お母さんが持ってる鏡なら何でもいいから、すぐあげて来な
雪蘭:うん
母が鏡を持って釵惠のとこへ
雪蘭:釵惠ー、起きてる?
ベッドの上から釵惠が返事する
釵惠:うん
雪蘭:聞いたよ、鏡 割れちゃったんだって?
釵惠は また泣き出した
釵惠:ううー、ごめん お母さーん、ずっと大事にしてたのに、割れちゃったの、ぐすっ
雪蘭:もう、そんなに泣かなくていいのに。釵惠、お母さんが今 使ってる鏡あげるから
釵惠:あぁ、お母さん
雪蘭:これ使って
釵惠は母から鏡を受け取った
釵惠:ありがとう
雪蘭:前の鏡は婀弥に踏まれちゃったらしいけど、わざとじゃないってことは分かってるよね?
釵惠:うん。でも悔しくて
雪蘭:殴るのはよくないよ
釵惠:そうだネ
雪蘭:おネェちゃんに謝ってきなさい
釵惠:はい
居間へ行く
釵惠:おネェちゃん、さっきは ごめんなさいっ
婀弥:いいよ。ってか、私が悪いんだから釵惠は謝ることないよ
釵惠:いやいや、殴っちゃったから
婀弥:こんなの平気だわ、湿布なくてもいいぐらいだから、あっ痛い
蕾芽:いやー、お父さんのおかげだね
透希:オレは何もしてない
姉たちは その日に仲直りした。




