プロローグ
初めて書いた小説なので、読みづらい部分やわかりづらい表現が多いと思いますが、ぜひ読んでいってください。
白金のブーツが、少年の腹に突き刺さる。少年は枯葉のように宙を舞い、地面に叩きつけられた。呻きながらもなんとか立ち上がり、少年は再び白金の騎士に果物ナイフを向ける。
轟々と燃え盛る、元はのどかな村だった場所。その炎に包まれた村の中心の広場で、汚れ一つない白金の鎧を着た騎士と、血と泥にまみれた少年が対峙している。
騎士は顔まで白金に守られ、兜の隙間から覗く目は悲しみとも哀れみとも取れる、複雑な物だった。対して少年の目は、まだ七、八歳の幼い顔つきとは似つかわしくない、ただただ憤怒の色だけを放っていた。
無言の対峙が数刻続いた後、重々しく白金の騎士が口を開いた。
「・・・少年よ、私に刃を向けるということが、どれだけのことかわかっているのか?」
騎士の問いに、少年は何も答えない。代わりに、震える切っ先だけを騎士に向け続けた。騎士の白金の鎧と少年が持つ果物ナイフの刃が、激しく燃え盛る炎を照らし返し、赤く染まっていた。
少年の無言と引かない刃に、騎士は溜息をつき、少年へ歩き出した。
「ふむ、その心意気だけは認めよう。だが、勇気と無謀というのは、天と地ほどの差があるのだ。」
騎士が近づくほど、少年の息が荒くなっていく。そして互いの距離が一メートルほどになった時、少年が力強く地を蹴った。
「うあああああああああああっ!」
腹の底から叫びながら、渾身の一突きを騎士に繰り出す。この一瞬だけ、ナイフは白金に輝いた。しかし、その切っ先が届く前に、騎士の拳が少年の横っ面を捉えた。
「・・・・・・っ!?」
声を上げることも出来ず、少年が吹き飛ばされる。仰向けに倒れた少年の視点は定まらず、呼吸もままならない。立ち上がろうにも体全体に力をこめることが出来ず、薄れゆく意識を必死につなぎとめることしかできなかった。
「もし生きていることがあったら、また来るがいい。いつでもお前の復讐を受けよう。お前の分だけではない。この村の全ての恨み、私が背負っていこう。だが、いつか・・・待っている、待っているぞ・・・」
やっとのことで顔を上げた先で、赤いマントが翻ってた。そのマントに縫いこまれた羽の生えた獅子の紋章を、しっかりと脳裏に刻み付ける。マントが炎の中に消えていくのを見届けて、少年が上げていた顔が、ドサリと地面に落ちた。