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超能力支援委員会

作者: 雨汰

プロローグ


 あの日の空はどこまでも高くて、青かった。昨日まで続いた梅雨の長雨が嘘のように晴れ渡り、校庭に大きく口を開けていた水たまりも今はなくなりそうな勢いだ。昨日までのじめじめした空気はどこえやらという御様子。梅雨明け直後ということで、快晴なのにじめじめはまだ残っていて、文字通りの茹だるような暑さを体感していた。後で知ったが、その日は町の最高気温を大幅に更新したそうだ。

 長々と天気の話題を引っ張るのも限界が近い。要は何が言いたいかって言うと、『あの日』はとてつもなく暑くて、嫌になったってことだ。


 今から述べることは全て、あの日に起こったことであり、事実と異なる点は少ししかない。


 とにかくあの日はおかしかった、朝学校に行こうと自転車をこいでいると、タイヤがパンクした。それもちょうど家と駅の真ん中で。最高気温の中、命からがら自転車を押しながら駅まで行くと、前の前の駅で熱中症で倒れた人がいるとかで電車は遅延していて間に合った。一時限目の授業で宿題のノートを忘れたことに気づいたが、先生の子供が熱を出したとかでその日の授業は自習になった。昼休みに購買のパンを買いに行ったが行列がすごくて買えなかった。教室に帰ると、顔色の悪い友達が早退するからとおにぎりをくれた。そんなプラスともマイナスともつかない出来事があり、さすがに違和感を感じていた午後の日本史の授業中。一匹の犬が校庭に入ってきたのが教室から見えた。


   雪のように白い犬だった。


 高校生にもなって校庭に犬が入ってきて騒ぐような人間はいなかったのか、それともその犬に気付いたのが自分ひとりだけだったのかはわからないが、その犬で教室が沸くようなことはなかった。

 

「見つけた。」


 耳元よりももっと近くで声が聞こえた気がした。そしてそれはその白い犬が言った気がしたんだ。



 


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