「神様ってやつは暇なのさ」
神様ってやつは暇なのさ。
私たちがスローライフゲームをやる感覚で世界を作り、生物を作り、指導者となる者に知恵を授け、そこからの発展を眺めているんだ。
どう進化し、どう発展し、どう社会を作り、どう世界が構築されていくのか。
神様ってやつはそれを見て楽しんでいるのさ。
そんなことを彼女は言った。
口元は笑っている。
けれど眼からはとめどなく涙が溢れている。
上手くいかない家庭環境、上手くいかない学校生活、上手くいかない人間関係、上手くいかない自分のコントロール。
その全ては暇つぶしでこの世界を作った神様の所為なのだと、彼女は声を大にして言う。
僕は何も言葉を返すことが出来ない。
平凡だけど関係は悪くない家庭環境、特に秀でてるわけでもないけどそこそこ楽しめてる学校生活、カースト的には下の方だけど別に誰とも関係が悪いわけではない人間関係、自分の感情に振り回されずある程度コントロールも出来ている。
良くも悪くも平凡。
でも彼女にとっては平凡はいくら手を伸ばしても届かないものであり、対極のもの。
僕は何も言葉を返すことが出来ない。
何を言っても彼女は受け入れられないし、傷つけてしまうと分かっているから。
彼女はポケットから何かを取り出す。
チキチキチキ、と音が鳴る。
それはカッター。
何の変哲もない文房具。
彼女の手首に無数の傷をつけた鋭利な刃物。
彼女は伸ばした刃を首に押し付け、
──待っ
いつもそこで目が覚める。
何年経ってもあの頃の夢を見る。
全てが嫌になって人生を捨てようとした彼女と、何も出来なかった僕。
仕事に向かう前にコンビニに寄る。
いつものルーティン。
店員さんに声をかける。
購入するのは決まってホットコーヒー。
愛想のない店員さんはいつものようにカップを渡してきて金額を言う。
僕はお金を支払い、カップを受け取る。
「いってらっしゃい」
店員さんは小声で言う。
彼女の首と手首は、春夏秋冬隠されている。
出だしの文章が浮かんだのでそれで詩を書こうと思って書いてたら、いつの間にか詩とは言えない何かになったので掌編小説ということにしました←




