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鳴らせ青春ハンドベル!〜女子高ベル部の放課後はいつもドタバタ〜  作者: 阪井秋


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5/5

高音はかわいい、低音は筋トレ 〜ハンドベル部・春の勧誘〜

◆春、勧誘日


体育館では、部活紹介のために各部が準備をしていた。

桜ヶ丘ハンドベル部のブースには、

きらきらした目でベルを見つめる新入生が集まっている。


「これ触ってもいいんですか?」

「すごい…金色で綺麗…!」


詩織は静かに笑う。

(未だ知らないわね……高音の裏に潜む“真の重量”を……)



◆まずは高音で安心させる


「じゃあ、まずはこの子から体験してみましょう」

日奈子が差し出したのは、高音域の小さなベル。


チリーン──


「わぁっ…軽い!」「かわいい音!」

「これなら私でもできそう!」


新入生たちの顔が一気に緩む。


詩織はニコニコしながら心の中で思った。

(高音だけなら、誰でも“優雅な楽器”って勘違いするのよね……)



◆そこで先輩たちの“本気”登場


「じゃあ次、うちの部の“本気”も見せておくね」


瑠衣がニヤッと笑い、

机の下からどーんと低音ベルのケースを取り出した。


新入生:「……でかっ」

新入生:「えっ、まさかそれ…」


瑠衣は低音Gを片手で持ち上げ、

ゴンッ!! と軽く振って見せた。


チロォォン……

(重低音すぎて、音が腹に響く)


新入生:「!?!?!?」

新入生:「片手で振ってる!!!」

新入生:「あれ何キロ!?」


理央が追加で巨大ベルを二本持ち、軽々フォーインハンド。

「これまだ軽い方ですよ〜」


新入生:「軽い…?何の基準……?」


詩織がさりげなく補足する。

「うちは“文化部だけど筋肉も鍛えられる部活”だから」


新入生:「体育会系じゃないですか!!!」



◆現実を学ぶ新入生


「ベルって全部そんなに重いんですか?」

震え声の新入生の質問に、真雪が静かに答える。


「高音 → かわいい

 中音 → そこそこ重い

 低音 → 心してかかれ」


「説明が雑なのに妙に説得力ある!!」


日奈子がフォローするように優しく笑う。

「最初は高音から始めるから安心してね〜。

 低音は筋トレ部の資格が取れてからね〜」


新入生:「資格って何!?」



◆それでも響く一音


「じゃあ最後に、高音で簡単なフレーズを合わせてみようか!」

詩織が手を振る。


チリーン──


新入生たちの不安混じりの一音は、

春の体育館にふわっと広がった。


「今のすごく綺麗だったよ」

詩織の言葉に、新入生の表情がぱっと明るくなる。


「重いし怖いし体育会系だけど……」

「でも……楽しいかも……!」

「わかる!! さっき鳴らした音、ちょっとクセになる!」



◆そして勧誘成功へ


片付けながら瑠衣がぼそっと言う。

「高音で安心→低音でビビらせる→最後に綺麗な音で締める……

 勧誘の黄金パターンっすね」


真雪が冷静に返す。

「心理的ジェットコースターと言います」


詩織は笑って言った。

「大丈夫。今日来た子たち、きっと続くわ。

 音を鳴らして“楽しい”と思える子は、強いから」


その言葉に、新入生たちが遠くからまたベルをのぞいていた。



ナレーション:

こうして、桜ヶ丘ハンドベル部の春が始まる。

可愛い高音と、重たい低音。

優雅な見た目と、体育会系の実態。


すべてひっくるめて──

今日も青春が、チリーンと鳴り響く。


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