55 告白2
「俺はレイが好きだ。ずっと一緒にいてほしい」
私は言葉を失う。
「レイは俺のことをどう思う?」
「……」
どう答えたらいい?
自分の気持ちを素直に言うことはできない。
その先にある現実を、無視なんてできないのだから。
「レイが家のことを考えているのはわかる。けれど、今はレイ自身の気持ちを聞かせてほしい」
頬に手が当てられる。
彼の長い指が、私の下唇をそっとなぞる。
身体が動かない。
前にも同じことがあった。
あれは、セレス領の夜の森でのことだった。
アイスブルーの瞳がとても近い。
誤魔化すべきなのに、誤魔化したくないと思ってしまう。
素直に気持ちを言ったとして、その先なんてないのに……。
「……私はユリウス様の側にいるのが好きです」
私は目を伏せた。
彼の瞳を見ていると、自分の気持ちを全て伝えてしまいそうだった。
それは、ゆくゆくは彼を困らせる状況にさせることに成りかねない。
ああ、でも、口にした言葉で、自分の思いが具現化してしまった。
これからは嫌でも彼を意識してしまう。
私は彼を直視できないが、彼が私を見ていることはわかる。
視線が真っ直ぐに注がれるから。
「嬉しい」
ユリウス様の声がして、額に何が触れる。彼が顔を寄せているようだ。
私の方は顔が熱い。私は更に至近距離になった彼の顔を見られない。
彼が私から離れる。
私はやっと彼を見れた。
「レイが俺の容姿ごと好きなら、この姿も悪くないと思える」
初めて見る笑顔だった。
こんな風にも笑える人なんだ。
だからこそ、私はこんなにも胸が苦しい。
「ユリウス様……ですが私は」
「分かっている。俺達は家の事を抜きにして将来を考えられない。君はセレス伯爵家を、俺はクローディア公爵家を」
そう、身分の差はどうしても埋まらない。
私は彼に相応しい立場ではない。
「だから考えてほしい。俺と一緒にクローディア公爵家に来る未来を」
言葉にされると、現実の重さに怖気付きそうだった。
「返事は、次に会う時でいいから」
お立ち寄り頂きありがとうございます。
また、ここまでお付き合い下さりとても嬉しいです。
明日明後日で完結する予定です。最後まで見届けて下さると幸いです。




