40 学園にて
「アレキサンドライト・セレス君、今日は出席してくれてありがとう。君の晴れ姿を見ることができて、私も嬉しく思う」
「学園長先生、こちらこそ貴重な機会を頂き、ありがとうございます」
学園の卒業式当日、私はまず学園長先生にご挨拶した。なんでも私の飛び級試験の結果が歴代でも高位だったので、卒業式で表彰されることになったらしい。
今までの表彰者は学園の卒業生代表になるような方々だったらしく、私のように退学してから式だけに呼ばれるのは初めてとのこと。
「君が学期を満了せず、退学という形で卒業した理由について心を痛めていたが……今は幸せそうで安心したよ」
ブロウ元伯爵子息との婚約破棄を理由に早期退学した私を、先生方は心配して下さっていた。
それが今「幸せそう」と評されるのは……学園長先生にも誤解されて心苦しいが、それも致し方ないと思う。
なにせ私の隣には『氷の公爵様』ことユリウス・クローディア公爵子息が付き添って下さっている。
今日の私は、青地に銀糸の模様が美しいワンピースに身を包んでいる。青は彼の瞳の色と同じなので、見る人の誤解を招く状況だ。
私は結局「婚約者のフリを継続する」以上の打開策を提示できないまま、今日を迎えてしまった。
「ご、ご心配をおかけ致しました」
私は内心の焦りを隠して、淑女の仮面を被る。
「ユリウス・クローディア君も大変優秀だし、2人の将来がとても楽しみだよ」
「学園長先生の御期待に添える様に努力致します」
ユリウス様がサラッと答えて、私の肩に手を当てる。これで誤解されない方が難しい。
「レイ、そろそろ控え室に行く時間だ」
「はい」
「学園長先生、それでは失礼致します」
ユリウス様と2人で学園長室から退出すると、シルフィーユ様とリブウェル公爵子息が廊下の端で待っていた。
「セレス嬢、ユリウス、ご機嫌よう」
「シルフィーユ、ロバート、待ち伏せか?」
「貴方達を早く見たくて、迎えに来ちゃった。セレス嬢、そのワンピース良く似合っているわ」
「シルフィーユ様こそ、とても素敵です!赤色が良く映えてお美しいです」
私は目を輝かせる。
リブウェル公爵子息の瞳の赤色と同色のワンピースを華麗に着こなすシルフィーユ様はとても素敵だった。まさに『学園の花』!
このお姿を直に見ることができて良かった!
今日来た甲斐がありました。
リブウェル公爵子息はシルフィーユ様をエスコートするため卒業式に参列するとのこと。
その後はライオール殿下の側近として、卒業パーティーに参加するらしい。
シルフィーユ様の姿に目を輝かせる私を、ユリウス様がぐいっと引き寄せる。
「そろそろ控え室に行く時間だろう」
ユリウス様が不機嫌そうに言う。
「そうだね。殿下も到着される頃だし移動しよう」
リブウェル公爵子息が優しく言った。
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1人視点なので情報が偏っております。全体がわかるまでは読み進めて頂けると嬉しいです。
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