表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/68

14 突入作戦(オリバー視点)

「…レイが帰っていない⁈」


私オリバー・セレスは戦慄した。

知らせを受けたのは突入作戦が始まる1時間前だった。


私の様子に気付いた王太子殿下が問い質す。

私は妹がまだ帰宅していない旨を報告した。


両親が確認したところ、退学手続きを終えて学園を出てから既に5時間程経っており、思い当たる場所は探したが行方がわからないと言う。


悪い予感がして落ち着かない私に、王太子殿下は家に帰るよう勧めて下さった。


だが、思い当たるのはブロウ伯爵家のこと。

それならばこの作戦に参加した方がレイの行方に繋がるのではないか、と思った。


緊急時、私は自分の直感を信じることにしている。そのおかげで過去何度となく助かり、結果として今の職務に就いたのだから。



レイの所在不明の件について、王太子殿下が第二王子殿下へ情報を共有する。

ブロウ伯爵家が関わる件については、元婚約者とはいえレイも関係者扱いだからだ。


そして急遽クローディア公爵子息が助っ人として作戦に参加することになった。

高位の貴族子弟が現場に出るなんて聞いたことないが、彼が自ら希望したらしい。


「筆頭公爵家嫡男が怪我でもしたらどうするのか⁈」と周りが止めそうなものだが、クローディア公爵子息は優れた魔術師として有名だ。

魔術師は貴重だし大きな戦力になるので、現場としては正直有り難い。


クローディア公爵子息はブロウ伯爵邸捜査の隊に同行された。


そして予定通りに作戦は開始された。


今回の目的はブロウ伯爵家とドロール男爵家の不正行為の証拠を押さえること。

そのために事前に調査した複数の拠点を一斉に捜査する。


私が配されたのはドロール男爵家お抱えの犯罪集団のアジト。荒事が予想される突入作戦の現場だ。


「作戦開始。場にいるものを全員捕えよ」


王太子殿下の命令で各隊が状況を開始する。


王宮魔術師達が一斉に転移魔法を展開。

隊ごとに目的地へ転移する。


転移魔法は魔術とは違う古代魔法で、今は使える人が少ない貴重なものらしい。

そのため転移魔法の使い手は王宮魔術師に採用される程だ。


確かに一瞬にして現着できるのは、こちらにとって最大のアドバンテージだろう。


私達の転移先は王都郊外の空き屋敷。

書類上は巧妙に隠されているが、実質はドロール男爵家の所有物だ。


鬱蒼とした森に囲まれた古い建物で、外見は所々破損している。

日が暮れた今は、余計薄気味悪く見える。


この屋敷に見張りがいないことは視認魔術で確認済み。現在は建物2階付近に多数の人影があるとの報告だった。


隊を2つに分けて、2箇所から建物へ突入する。


建物に入ると異様な雰囲気だった。

2階からドンドンと扉や壁を叩く音、複数の人の叫ぶ声、何かが割れる音がする。


隊員同士、顔を見合わせる。

只事ではない様子に緊張が高まる。


慎重に歩を進めていたところ急に屋敷の温度が上がり、階段上から煙が伝ってきた。


「火だ」


私達は一気に階段を駆け上がる。


中からドンドンと叩かれる扉を、隊員がこちら側に開く。すると複数の男達が飛び出してきた。


一見して堅気に見えない格好の男達。

手に持つ刃物を振り回して、何かを叫びながら逃げていく。


明らかに様子がおかしい。


「1人も逃すな!」


部屋に入ると3箇所から火柱が上がり、数名の男達がうずくまって呻いている。

異様な光景に身がすくんだが、とにかく男達を捕える。


同行した魔術師が急いで消火のための魔術をかける。

ランプが割られてそこからカーテンに燃え移っていたようだ。


「セレス隊長!女の子がいます」


隊員の1人が声を上げ、急いで駆けつける。


王立学園の制服を着た女の子が床に倒れている。両手両足を縛られて、意識がない。

それは紛れもなく、行方がわからなかった妹の顔だった。


「レイ!」

お立ち寄り頂きありがとうございます。

1人視点なので情報が偏っております。全体がわかるまでは読み進めて頂けると嬉しいです。

またよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ