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229.情報分析型

 偵察型は全くお奨めしないと言ってはいたものの、やはりこれまでの経緯から基地と呼ばれる場所に出向けば、何かしらの収穫がある可能性が高い。


 そうなると、お奨めだろうとそうでなかろうと情報分析型に会い、基地の情報だけでも得たいというのが人情だろう。


 そして今自分達は【王国】の地下を歩いている。


 つい先日、生命科学研究所を破壊するべく地下探険をしたばかりだが、このロボクエスト関連ではどうあがいても日の光届かぬ地下での探索は付き物のようだ。


 【王国】の平原にある小さな町には昔から謎の祠があり、その土地のヒトは祠だからと理由も無く大事にしてきたものの、それがまさか地下へと繋がるエレベーターだとは誰も思ってないらしい。


 神隠しにあった子供が、見たこともない金属で囲まれた不思議な城に行って帰ってきた。なんて言う土着都市伝説は残っていたのだが、地下世界を知る今となっては随分ストレートな伝説だなと思うばかり。


 そんな祠にコソコソと皆で潜入し、エレベーターを降りると、そこは通路ではなく町のような規模の開けた空間に高い天井から人工太陽の光が降り注ぎ、大きな木々の間に、大きな建物が建っていた


 地表の建造物と比べれば随分と豪勢なお屋敷だが、現実の建造物を知る自分達からすれば、どう例えてもショッピングモールに見える。


 中に入ると案の定と言うか、かつてはテナントが並んでいたんじゃないかと言う風情。


 そして、偵察型はそのショッピングモール跡を歩いて抜けていく。


 するとそこは家具売り場か何かだったのだろうか?金属部しか残っていない殺風景なテナントの真ん中で、ダブルベッドのフレームの上に横になってるロボがいた。


 「あ~金持ちの機械人形に生まれて、何もしないで食っちゃ寝して暮らしたかったわ~」


 「いや、またヒト臭いのがいたもんだな!」


 思わずつっこんでしまったが、誰もが一度は言いそうで、どうにもならん怠惰な一言を発するそのロボは頭部と思われる部分が非常に大きく、複数のセンサーや送受信機を搭載しているといわれても不思議と納得できるフォルムの機械人形だった。


 「うわ~丸い頭~」


 「そりゃ、四角い頭より柔軟な丸い頭の方が、生きていくには何かと気楽だからな。んで?そいつから通信はあったけど、俺達が作られた基地がどこにあるか知りたいって?」


 「ああ、その通りなんだが、あえて情報を伏せるのには理由があるんだろ?」


 「まぁ、そりゃね。誰にも知られたくない秘密の一つや二つあるだろ?あんただって実家の押入れを探られたら、見られたくもない黒歴史が発掘されたりするんじゃないか?」


 一向が一斉に微妙な顔をする。カヴァリーですらそうなんだから、大抵は心当たりがあるのだろう。


 なさそうなのは、現役で黒歴史製造中か、まだそこに至っていなさそうなカーチくらいか。


 「別にあなたの秘密を探りたいわけじゃないの。今外で暴れてる量産型自動機械人形を修理するのに情報が必要なの」


 「まぁ、目的も一応は聞いてるし、俺達の持つ使命から考えれば是非も無く受けるべき提案だし、教えなくもないが……取引と行こう」


 「なるほど、取引ですか。やはり基本ヒトに従うように作られた外の量産型自動機械人形とはちょっと違うようですね」


 「まあな~あいつらはあいつらで気のいい連中なんだが、なんと言っても自動で動く為の思考ルーティンをちゃんと熟成しないまま、こっちに来ちまったから、思考が単純と言うか、趣味思考はあれど素直に誰かに従っちまうんだよな」


 「鉄人やキジンみたいに誰かの思考を模倣したり、研究員が育てたりとかそういう奴か?」


 「まあな。量産型と付くか否かはそこで分かれるのかもしれないな。ああ!それ以上踏み込むなよ?一応俺みたいなのが指揮官とされてる理由はそこさ。使命は使命として、別に自覚っつうか自己ってのがちゃんとあるのさ」


 「うん、一目でそれは分かったけどもよ。随分とまた変わったヒトの思考を模倣したんだな」


 「まあな~それでも一応一角の人物だったらしいんだが、性格と能力が伴うと決ったわけじゃないからな~」


 「ねぇねぇ、取引なら私が【商人】だから請け負うよ!」


 「そうか?そりゃ助かるぜ。確かに機械人形を3体も連れ歩いてるなんて、只者じゃないな。俺からの条件はずばり一つ!誰か金持ちの機械人形として暮らす事だ。酷使したりせず、できれば程ほどの頭脳労働で勘弁してくれて、もっと言うなら自分で動きたくない」


 「動きたくないって……その体で疲れたりするのか?」


 「理由は知らんが動くと動作をするっていう思考が疲れを感じさせて来るんだよ。だから何なら機械人形じゃなくていい。頭脳コアだけを搭載した何かになりたい」


 「それって金持ちである必要ってなんだ?」


 「なんか、こう……憧れ的な?やっぱ金持ってる奴ってそれだけで自由があるって言うか、見下されずに余裕があるって感じするだろ?俺はこの通り機械だから、機械としての使命を余裕を持って果たしたいわけよ」


 「金持ちって具体的にどれくらいなの?」


 「ん~具体的って言われてもな~……少なくともお前らより金持ちがいいな。わざわざこんな地下にまで潜ってきて、大変だったろ?あんたら地表のヒトなんだろ?集まってくる情報から察するに外は既に生命で溢れてる。それこそ俺達を作ったヒトが憧れた世界だ。そんな所からこんな時の止まった薄暗い地下に来るんだし、間違いなく労働者だろ?」


 ん~なんとも、ひねたというか。寧ろ素直すぎるほど素直な気もするが、独特の思考のロボだ。


 先ずはこの取引上手く運ばないと、次に進めそうも無いか?

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