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202.人員配置

 「じゃあ、生物兵器の危険度も分った所で、実際の作戦を立てていこうと思うんだけど、まず一番大事なのが立地だよね?その生命科学研究所ってのはどこにあるの?」


 何だかんだ、結局隊長が仕切り始めた。それなら最初からやってくれりゃあいいのに……。


 「場所はかつて世界樹がそこにあったとされる伝説の地に生命科学研究所は作られました」


 「……あそこはもう穴しかないよ?」


 「生物兵器の分体が活動していると言う事は、今もあると推測されます」


 隊長が首をかしげる所に、ブラックフェニックスが話を引き取る。


 「多分穴の横道から繋がってるんだろ?確かに地下文明に近い雰囲気の通路だった記憶がある。何でそんな所に作ったのかは謎だが」


 「当時世界樹の遺産である地下資源を利用して生活していた為、その根が張り巡らされていた空洞を利用し施設化したのです」


 「つまり、穴を掘って居住空間を確保したわけじゃなく、元々あった穴を利用して生活できるようにした訳か……」


 「ああ!宝樹達がお互いの確認しあってるって言う大空洞か!え?じゃあ、皆が生活している地下全体に文明が広がってたって事?」


 やっとピンと来たのか、隊長が声を上げるもこっちは何もピンと来てない。


 「空洞が大陸中に張り巡らされていいるのは当時から調べられていましたが、全てを賄えるほどの資源は無かった為、いくつかの拠点を設けていました。最大は世界樹跡であり、その他は地表の爆心地から出来るだけ離れた場所を選択していました」


 「つまりそれが【帝国】や【馬国】の地下基地って訳か、地表に出る施設も存在してたって事は、辺境からなら外に出る事も可能だったと……」


 「その通りです。それでも地表で生活する事を望む者は海上に向かったとされています」


 「兎にも角にも世界樹跡に向うしかないな。そもそもキジンもその辺で見つかってるんだから、結構な所まで進めたんだろ?」


 「残念ながら目標地点に到達したものの、バックアップを失った事で、その後の詳細地点がわからず、ひたすら戦い続けて力尽きた」


 キジンの答えを聞く限り、やはりキジンは戦闘特化だったようだ。生物兵器にその気があったかどうか分らないが、先に鉄人を潰したお陰で生命科学研究所は潰れず、今も地下で生きながらえていると言う事なのだろ。


 「まっ!それなら今回は何とかなるんじゃないの?だってそこら中に生物兵器の分体ってのがいるわけじゃないんでしょ?」


 「はい、現在であれば生命科学研究所の破壊は容易であると思われます」


 「じゃあ、問題はどうやって鉄人とキジンを現地に届けるかって事になるな?」


 「うっし!それじゃあ探索チームを作って生命科学研究所へのルートを確保しつつ、多分現地はゾンビだらけだから、その辺の排除をするって感じかな?自分は忙しいからバックアップに回る。【教国】に物資の集積所を作って生産職を集めておけば、探索もサクサク進むでしょ?」


 さっさと方針と自分の役割を決めてしまう隊長だが、今回は探索に参加しない方針らしい。そうなると誰を連れて行けばいいんだ?


 そこで、突然会議室の扉が開かれる。


 「話は聞いたぜ!」


 現れたのは5人の男女、完全に色分けをされている事から一見ヒーロープレイヤーにも見えなくもないが、このゲーム内では有名人と言って差し支えないトップクラン『騎士団』の幹部達だ。


 「会議の参加は自由だが、入ってくるなら入ってくるで、扉閉めてもらっていいか?」


 「だから最初から勝手に入ればいいって言ったんだが……」


 ブラックフェニックスがボソッと文句を言っているが、そういえばブラックフェニックスも普段は『騎士団』のクランホームにいたのだった。


 その後普通に入ってきて、適当な空間に居場所をみつけ落ち着いた様子だ。


 「じゃあ、続きを始めるとするか、それで探索チームだが……」


 「いや、待て!折角ここぞと言う所まで待ってたのに、普通に進めるのか?」


 「ん?遅刻とかじゃないのか?別にその辺は細かいこと言わないから、普通に参加してくれ」


 「いや、違う!俺達も地下にあった文明の探索をずっとしてたんだよ!だから地下探索には慣れてる。是非探索チームに入れてくれ」


 「いいんじゃない?実力も申し分ないし、それでどこの基地を探索してたの?」


 「邪天使が発生した大穴だ。ボスを倒し終わったからこそ、裏ボスがいるかもと思って、ずっと探索していたんだ」


 「……思いっきり現地じゃないか。それで?生命科学研究所はあった?」


 「???何のことだ?」


 「外で聞いてたんじゃないの?」


 「その生命科学研究所が目的地だって事は分ってるが、俺達が探索したのは【教国】の大穴……」


 「だからそこが現地だっての!よし!作戦は生命科学研究所の場所を把握してる鉄人を筆頭にして、騎士団に案内をさせよう。もしかしたら地下内部の構造だって変わってる可能性だってあるし、更に護衛として、自信がある連中を連れて行けばいい。と言う事で、鉄人とキジンの因縁に決着をつけるために、いざ大空洞へ!」


 「なぁ、報酬はどうするんだ?」


 隊長の掛け声に会議は終わりとばかりの空気が流れたが、肝心の報酬が決まってない。


 自分は鉄人を預かってる身だから構わないが、他のメンツはそりゃ報酬も必要だろう。

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