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178.オムライス

 あくる日ログインすると、居るのはカーチだけだった。


 何しろ今日はド平日なのだから仕方ない。寧ろ自分は個人営業で今日が休みなのでいつもより早くログインしただけの事だ。


 やはり皆それぞれに現実(リアル)があるので、ログイン時間をぴったり合わせるというのは中々に難しい所。


 例えばカーチなら割りと早い夕方位から、夕飯で一回抜けて、また再開って言う事が多い。テレビなんかで言うゴールデンタイムにゲームしている感じか?


 カヴァリーは完全日曜休みの勤め人で、夕と言うよりは夜からログインが多い。ちなみに土日は割りと早くからいる。


 ビエーラは時間に都合がつきやすいようで、結構マチマチ、時折カーチを任せるのもその為だ。


 ライダーマスクは夜型で、カヴァリーに近いのかもしれない。


 それだけログイン時間がずれているのに、旅や探索が出来るのか?と思うところだが、ゲームの世界は現実の三倍時間の流れ方が遅い?いや早い?


 まぁ、現実時間で2時間しか会っていなくても、中では6時間だ。仮に6時間移動し続けたらどこまで行ける?


 って言うか、6時間移動に費やすだけの体力と言うか心が保たないだろう。


 つまり、移動して休んで、狩りなんかを楽しんでの繰り返しで成り立っているという事だ。


 そして今日も他のメンバーが集まるまで、さて何をしようかと言う所。


 「カーチは何してたんだ?」


 「モグラちゃんとモーちゃんと一緒に昨日の部屋見てた。ドローンの武器で使いたいのあるかなとか」


 「ほう!それは興味深いな。モーちゃんに昨日のロケットランチャーを搭載しようと思うんだけど、どうだ?」


 「モーちゃん!昨日のミサイルだって!使う?」


 相変わらず喋る機能のない筈のモーちゃんに話しかけ、ちゃんと意思疎通を図れるカーチ。


 しかし、モーちゃんの排土板の振り方を察するに、かなり興奮しているようなので、多分積載することになるだろう。


 さて、どの部分に装備するか、それが問題だ。


 モーちゃんを観察しながら、カーチを飽きさせないように世間話でも思ったが、何も思いつかない。


 カーチは割りとこちらが沈黙していても何も言わないのだが、一度気になるとソワソワしてくる・


 「カーチは何か食べたい物とかないのか?」


 「え?どうしたの?急に!」


 「いやさ、昨日のアヒージョとか結構大人味だったろ?いつも適当に好きなもの作っちまうが、あまり好みを聞いてなかったなと思ってな」


 「私タコ好きだよ!魚も好き!貝も好き!」


 「へ~最近じゃ魚とか貝とか食べづらいから鮨以外は嫌いって奴もいる位なのに偉いな」


 「そうかな?この前、鯛の煮た奴食べたよ」


 「そりゃ豪勢だな!何かいい事でもあったのか?」


 「ちが~う。ボウハテイで釣れただけ~」


 「は~なる程な。じゃあ、カーチがいるときは魚がいいのか」


 「ん~家で食べる魚の方が多分美味しいと思う。ゲームの魚はそこまでじゃない」


 「コイツは一本取られたな!じゃあ、逆に肉とかのほうがいいか。ハンバーグとか」


 「ハンバーグは好き!でも昨日食べたばっかりだった」


 「なる程。カーチは結構ちゃんとしたもの食べてるんだな。ゲームの魚もまぁまぁだと思うが、それだけ舌が肥えてるってのは、両親の食育がいいお陰だ」


 「そうなのかな?田舎だから何でも新鮮なだけだと思う。あっ!あれ食べたい!オムライス」


 「オムライスって、あの卵の中にケチャップライスの入ったアレか?」


 「うん、フワトロ卵?のやつ前に見たけど、ママのは薄焼き卵だから」


 「あ~ベーシックなやつな。アレはアレで好きだけどな。でもフワトロ卵のオムライスか~まだこのゲームでケチャップは見た事無いからな~」


 「そうだよねぇ」


 「ケチャップ味じゃなくて良ければ作れるぞ?アリェカロの乳製品は【帝国】なら幾らでも買える物だしな」


 「ホントに?え~食べたい!」


 と、ちょっとした世間話からオムライスを作る事になってしまったので、早速作っていく。


 まずはチキンライスだが、ケチャップがないのでトマトチキンライスにする!


 それは何かと問われれば、正直説明のしようもない。


 鶏肉とみじん切りの玉ねぎを炒め、カットしたトマトとニンニクを入れる。


 トマトが崩れてきたらコンソメ風スープストックを混ぜて、完全に煮詰めて塩コショウで味を調えて、完成。


 お次はソースだが、折角だしホワイトソースにしよう。


 まずは弱火でバターと玉ねぎを炒めて、小麦粉ならぬ【帝国】特産氷麦粉を混ぜてさらに焦がさないように炒めていく。


 香ばしい匂いが立ったら、ミルクを入れて焦げないように注意しながら弱火で温め、折角だからチーズも混ぜて溶かしておこう、最後に塩コショウで味を調えて、ちょっと置いておく。


 最後に肝となるふわとろオムレツだ。


 コレはもう、卵をふんだんに使い、そこに牛乳を足しておく。


 あとはとにかくフライパンの上で、フワフワにし、固まってきた所を巻いて成形する。


 ちなみに多分カーチの母親が、フワフワに出来ないのはこの成形が難しいからだろう。その場合はラップか何かに一回出して、成形した状態でフライパンに戻してもいい。


 いい感じになった所で、チキンライスの周りにホワイトソースをたっぷりと回し、上にオムレツを乗せて、カーチの目の前でオムレツを切ると、丁度いい加減のフワトロオムライスになった。


 「こ、これが伝説のフワトロオムライス……」


 「いつ伝説になったか知らんが、まあ食べてみてくれ」


 カーチが、卵とチキンライスとホワイトソースを一緒にスプーンで掬い一口食べる。


 「と、都会の味がする……」


 都会の味って、なんだろうな?と思っていると、いつの間にかビエーラもログインしていて、


 「私の分はどこなの?」


 何か、凄い圧を感じるのだが?


 

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― 新着の感想 ―
[一言] カーチや、お母さんの堅焼きオムライスは大人になったら大事な思い出になりますよ。 けど、確かにフワトロなオムライスは外食しなかった頃は夢なオムライスでしたわ(笑) 始めて食べた時は凄い感動しま…
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