10.拾ってきたボディと基地
「は~んなる程な~霊子から素材を作り出す技術を使って、目に見えない微小レベルでハニカム構造の装甲板を作ったと!普通なら、ハニカム構造の品ってのは複雑でコストもかかるもんだが、それを低コストで大量生産してたってんなら昔の人間ってのは凄いもんだな~」
「ハイ 記録 デハ ソノヨウデス シカシ 欠点 モ 多ク」
「そりゃハニカム構造の弱点といえば、相場が決まってる。まず破損した場合の修復難易度、側面剛性の不安、高温耐性も考えにゃならんし、何より他の部品との締結性が悪いから、複雑な物が作れねぇ」
「ソノ 通リ デス」
何か、親方と鉄人でやたらと盛り上がってる。
カーチは温かいココアを飲んだあと、現実の方でそろそろ夜になるので、ログアウトした。
自分は拾ってきたボディを確認しながら、新ボディ案を考えていたのだが、記憶を幾らか取り戻した鉄人は、親方の好奇心の的になってしまった。
「今の話を聞いていると、新ボディも消耗品と割り切った方が良さそうだな」
「おう、素材と技術は相当なもんだが、ずっと直して使えるって意味じゃ、突貫で作ったお前のボディの方が長持ちしそうだな」
「まあ、デコイ用ボディだしな。逆に本体用に使われてた素材や、技術なんかはどこに行けば手に入るんだ?」
「不明 デス ガ 配属 サレテイタ 基地 ノ 記録 ガ アリマシタ」
「おっ!じゃあそこに行けば、もっと色んな素材の情報があるのか?おい!クラーヴン!こうしちゃいられんぞ!俺も手伝ってやるからすぐにコイツのボディ作ってやって、その基地とやら見て来い!」
「まあ、落ち着け親方!そりゃ急いで作りはするが、結局このボディは真っ直ぐ走る機能しか付いてねぇんだよ。コイツの任務が何やら施設破壊だってんだし、武装は付けてやらにゃいかんだろ」
「お、おう……そうだな。杭打ち機と釘射出機は流用するにしても、曲がれねぇってんじゃなぁ」
「それは、それこそ地面に杭を打ち込んで回転しながら曲がればいいだろ。どうやら雪上戦を予定してたのか、足には短いスキー板が付いてるし、問題は推進装置だ」
「どう問題なんだ?」
「ボディを一個解体して確認してるんだが、どうやらエネルギーを風精に変化して、ホバー移動してたらしい、ちなみにジャンプも可能だ」
「何だ凄いじゃねぇか!何も問題なさそうだぞ?」
「いや、この推力だと相当なスピードが出ちまう。速度調節機能が付いてねぇんだこのボディ」
「な!そりゃ、どうすんだ?」
「だから問題だって言ってるんだろう?毎回止まる度にパラシュート開くわけにもいかないしな……」
「アレはどうだ?前後に推進装置を付けて止まる時は逆風で止まるってのは!」
「それだとON、OFFしかないし、止まりたい所で止めれないだろ」
「じゃあ、スキー板をもう少し改造してブレーキが利くようにするか?」
「角度を変えたりすればそれも可能だろうが、もっと壊れやすくなっちまうぞ。只でさえ拾ってきた分しか代えが無いのに」
「じゃあ、やっぱり推進装置については、今まで通り雪に杭挿して移動しかないんじゃないか?」
「その基地ってのは近いのか?」
「現在 ノ 地形情報 ガ ナイタメ 直線距離 ニ ナリマスガ 今 ノ スピード デ 十日以上 カカル ト 予想 サレマス」
「直線距離で10日とか、森の合間縫っていったら何日かかるかって話だぞ」
「だな~誰かにソリでも出してもらって、現地に行ってからゆっくり進むしかないか?」
「ホバー装置 ハ ソノママ ニ 推進装置 ノミ ファン構造 ト スレバ 現状 ヨリ 速度上昇 ガ 見込メマス」
「……なる程な!今の推進装置は爆発的に空気を押し出して、一気に最高速に達しちまうが、電気制御のファン構造にすればスピード調整は可能か。何でか知らんが電流や電圧は調整できるんだもんな!」
「ようし!じゃあ早速製作に取り掛かろうぜ!」
「アト 武装 ニ 関シテ デスガ 射撃命中精度 ガ 向上 シマシタ 武装 ノ ヴァージョンアップ モ オ願イシマス」
「マジか!いざって時のブレーキ用にパイルバンカーもネイラーもそのままにする気だったんだが、射撃武器の搭載も必要になるのか」
「どうするんだ?」
「どうするって言われてもな。こりゃ一回ちゃんと計画し直さなきゃ、ならないだろ」
「ううむ、大昔の技術に興味はあるが、確かにやらにゃならん事も山積みみたいだな。よし!一旦酒にしよう!」
「全く、じゃあ何か酒のアテに作ってくるから、他にも情報が残ってないか、聞いててくれ」
「おう!頼むぜ!」
言うなりどこからともなく取り出した、透明な酒をあおり始める親方。
【帝国】で一番安価で簡単に手に入るものといえば、やっぱりジャガイモだろう。
酒飲みに凝った物を作ってもしょうがない、まずは洗って芽だけとって、程よいサイズにカットして油で揚げる。
そう、定番のフライドポテトだ。
あとは、皮を剥いて茹でておいたジャガイモから粗熱をとって、水を加え塩と片栗粉を少々。
中にチーズを入れた状態で丸く扁平に形成し、焼くだけ。
いわゆる芋もちってやつだ。
ちなみに【帝国】のチーズはアリェカロって言う毛長の牛っぽい動物の乳で作られてるので、ちょっとコクや風味が独特だが、まあそう悪いもんでもない。
親方の酒は強すぎるので、自分用の酒を取り出して、鉄人から情報を引き出す作業に加わる。




