First...
「じゅんぺぇぇぇっ!!」
オレが教室に入るなり、怒っている少女が1人。
「まったく!遅いじゃないの!」
「いやぁ、悪ィ悪ィ」
「何が『悪ィ』よっ!一体何回遅刻してんのよっ!」
この少女は河本雪華。
オレの幼なじみであり、クラス委員である。
栗色のミディアムヘアを、背中に流している。
それによく見れば、けっこう可愛い顔してるし?
黙ってれば男の1人や2人、寄ってくるだろうに。
ただ、ユキカは、とても言葉遣いが悪い。
それに、めちゃくちゃツンツンした性格だし。
ま、一部のマニアっぽい奴らは『ツンデレ』と呼んでるらしーが。
ついでに言うと、オレに対しては特にすげぇ態度悪いし...
「とにかくっ、明日から遅刻しないでよっ!」
ボヤッとしていたら、
耳をつんざくようなほど大きな声が響いた。
「はいはい...」
「返事は1回!」
「はいよっ...はぁ」
ユキカは、スタスタと自分の席へ戻った。
ユキカにだけはかなわねぇな。
つくづく、弱いオレが我ながら情けない。
キーンコーンカーンコーン...
1校時始まりのチャイム。
それと同時に教室に入ってきた担任。
『1校時はLHRか...』
そう重い、オレは窓辺に目をやる。