好きなお菓子はカルカンです! って言ったらキャットフード愛好家なヤベー奴だと思われるってマジですか?
カルカン、おいしいですよね。
独特の口当たりとほのかな甘さで、子供のころからよく食べていました。
……そんな話をしてドン引きされたのは大学生になったときか社会人になってからか、もはや覚えていません。
前後の記憶が薄れてもなお、「こいつ何言ってんだ」という周囲の視線だけは強烈に印象に残っています。
カルカンと言うと一般的には、キャットフードの商品名を指すようです。
猫まっしぐら、CMでもお馴染みですね。
ですが、私にとってカルカンは和菓子の一種なのです。
漢字では軽羹と書きまして、米粉と山芋に砂糖を加えて蒸しあげた、白くてふんわりもっちりしたお菓子。
白ウイロウをもう少しスポンジ状にしたもの、と言えば知らない人でも想像しやすいかもしれません。
竿状で売られており、切り分けて頂きます。羊羹と同じですね。
ほんのり甘い上品な味わいで、薄めの煎茶に合う感じ。
甘味がケンカしないので、饅頭の皮に使ったカルカン饅頭も人気ですね。
私の地元ではカルカンと羊羹、それに小豆色をしたコレ菓子(高麗菓子)を合わせた3本セットが手土産として定番の一つになっています。
白黒赤で色どり見栄えもステキ。
特に子供時代の思い出としては、その3種を作る際に発生する端切れを詰め込んだお得袋が印象的でした。
病弱な子で病院にかかることが多かったのですが、そのたびにかかりつけ病院の近くにあった和菓子屋でお得袋を買ってもらい、ちょっとずつ食べてくのが楽しみだったのです。
形はバラバラでお世辞にも奇麗なものではありませんが、美味しいのならそれでよし。
ビニール袋に詰め込んだだけの梱包で変に湿気ていたり乾燥していたりすることもありますが、軽く霧吹きしてからオーブントースターで焼いて食べる一工夫も子供心に訴えるワクワク感がありました。
カルカンやコレ菓子はまだしも、羊羹を焼いて食べるのはちょっと変かもしれません。でも本当においしいのでお勧めです。
普通の羊羹の半分くらいの薄さにしないと、中心まで温まらずに残念なことになるかもしれない点だけはご注意を。
さて、ここまで良い面ばかり書いてきましたが、カルカンが好きではないという人もちょくちょくいるようです。
話を聞くと、食感が苦手という意見がほとんど。薄味+スポンジ食感なので、直感的に食べ物ではないと認識してしまうのかもしれません。
食文化というのは不思議なもので、ある程度の年齢までに食べ慣れた味覚が許容範囲になり、そこから逸脱したものは中々受け入れることができないという話を聞きますね。
なお子供のころ飲めなかったブラックコーヒーを大人になって好むようになったとかは、食文化から来る許容範囲が広がったわけではなく、苦みへの感受性が老化で鈍ったからだとか。つらい。
苦手な人、食べ慣れない人がいるため、帰省してたんでお土産です!というシーンで職場に持っていくには躊躇する面もあったりするカルカン。
カルカン初体験者はどういう感想を持つのか? という長年の疑問もあったりします。
誰か初挑戦する人が出てこないかな……。
というわけで、貴方も試しに食べてみてはどうですか?
おいしいですよ、カルカン。
好き嫌いが別れるモノは、無責任に不特定多数へ勧めるに限る。