⭕ 新生活の始まり
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 台所
寝室で朝までぐっすりと眠ったマオは、浴室の温泉で朝風呂を済ませ、洗面脱衣室で普段着となる着物に着替え終えたマオは、台所へ入る。
テーブルの上には出来立ての朝食が並んでいる。
セロフィートが作って用意してくれたのだろう。
昨夜の夕食同様に薬膳料理と薬膳茶のようだ。
マオ
「 御早う、セロ! 」
セロフィート
「 御早う御座います、マオ。
寝癖、ちゃんと直ってますね 」
マオ
「 朝風呂に入ったからな!
温泉のお蔭だよ。
朝食も美味しそうだな~~♪ 」
セロフィート
「 薬膳スープに薬膳麺を付けて食べてください。
薬膳パンを使った薬膳サンドイッチです 」
マオ
「 言われないと薬膳料理なんて分からないよな。
もう麺やパンを作り始めてるのか?
昨日田圃を耕して種を蒔いてたばっかなのに…… 」
セロフィート
「 違います。
これは以前、作り置きしていた食材を使って作りました。
ワタシが特別にブレンドした薬草を練り込んで作った麺とパンです 」
マオ
「 いろんな薬草が入ってるんだな 」
セロフィート
「 野菜をペースト状にした野菜を練り込んだ麺とパンもあります。
食べてみます? 」
マオ
「 うん!
食べてみたい! 」
セロフィート
「 用意します。
薬膳スープに付けて食べてください 」
セロフィートは椅子から腰を浮かせると立ち上がり、台所に立つと野菜を練り込んで作ったパンと麺を出す。
数種類の野菜パンを丁寧に切り分け、皿の上に綺麗に盛り付ける。
数種類の麺も別の皿の上に美しく盛り付けると、テーブルの上に2枚の皿を置いた。
セロフィート
「 どうぞ、マオ。
薬膳スープはおかわりしてください 」
マオ
「 うん!
これってさ、付け麺って言うんだよな?
何で態々麺をスープに付けて食べるんだろうな?
始めからスープに付けて出せば良いのにな! 」
セロフィート
「 付け麺は嫌いです? 」
マオ
「 好きだよ。
セロがオレの為に作ってくれた付け麺だからな! 」
セロフィート
「 嬉しいです(////)」
朝からセロの笑顔が見られて嬉しい(////)
テンション上がっちゃうな~~~~♥️
──*──*──*── 居間
セロが作ってくれた朝食を食べ終えたオレは、居間の床に敷かれてホワイトタイガーの毛皮の上に寝転んでいる。
フカフカだぁ~~~♥️
セロフィート
「 マオ、ワタシは散歩に出ます。
外出する時は必ずマオキノと行動してください 」
マオ
「 セロは過保護だな~~。
マオキノに護衛されなくても強いのに! 」
セロフィート
「 マオはワタシの大切な相棒で家族です。
大切な相手を過保護に思うのは悪い事です?
ワタシは見ず知らずの里人より、マオの安全を優先します 」
マオ
「 セロ…(////)」
セロフィート
「 マオ、呉々も1人で行動しないでください。
良いですね 」
マオ
「 …………分かったよ。
マオキノに護衛してもらうから、里人に変な事するなよ? 」
セロフィート
「 変な事…です?
しないと約束しましょう。
マオだけのセロフィートを信じてください 」
マオ
「 うん……信じるよ。
オレにはセロしか居ないからな!(////)」
「 信じる 」とは言ったけど、本音は不安で仕方無い。
セロにとって人間は、掃いて捨てる程ある使い捨ての玩具でしかないからだ。
穏やかそうに見えてもセロは意外と気紛れの気分屋なんだ。
思い付きで酷い事を平然としてしまう。
だけど、そんな不安を抱いているなんてセロに勘付かれたくないから、オレは顔にも態度にも出さないように気を付けているんだ。
どうやらセロが先に外出するみたいだ。
セロは出掛ける前に、オレを抱きしめて頬に軽くチューをしてくれたぁ~~~?!
セロ──、どうしちゃったんだろうな??
いや、オレは嬉しいんだけどさ♥️
寧ろ、オレ的には頬じゃなくて口にしてほしかったよ!!
セロが出掛けた後、オレも出掛ける事にした。
防犯魔法が掛かっているから戸に鍵なんて掛ける必要がない。
抑鍵はオレが壊しちゃったままになってるしな~~~。
無断で長屋に足を踏み入れて侵入した泥棒がどうなるのかなんて、オレは一切知らない。
きっと、とんでもない目に遭う事になる──って事だけは分かるけどな。
オレが長屋を出るとマオキノが長屋の前で待機していてくれた。
もしかしてオレが出て来るのをずっと待っていてくれたのか?
マオ
「 マオキノ、何時から待っててくれたんだ? 」
マオキノ
「 セロ様が長屋を出て行かれた後ですエリ。
セロ様からマオ様の事を任されましたエリ(////)」
マオ
「 マジかよ。
待たせちゃって御免な 」
マオキノ
「 エリ?
キノコンは待つのが好きですエリ。
苦痛やストレスは感じませんエリ。
キノコンへの “ 待て ” は寧ろ御褒美ですエリ 」
マオ
「 そ、そうなんだ…。
知らなかったよ… 」
マオキノ
「 マオ様、何処へ御出掛けされますかエリ 」
マオ
「 解体所は出来てるのか? 」
マオキノ
「 既に完成してますエリ。
解体所へ行かれますかエリ 」
マオ
「 そうだな。
森で狩った獣を解体しないといけないんだ。
マオキノ、手伝ってくれるか? 」
マオキノ
「 お任せくださいませエリ!
マオ様の補佐を立派に努めさせていただきますエリ! 」
マオキノは自信満々に胸を叩いてくれた。
オレはマオキノと一緒に事実上セロが占領している敷地内にある解体所を目指して歩いた。