✒ ゾンビング祭り 4
──*──*──*── 2ヵ月後
マオキノとセノコンが首長海竜のオリィを連れて離れ小島へ行った日から早くも2ヵ月が経っていた。
マオキノとセノコンが帰って来るのは10ヵ月後になるかな。
実はこの2ヵ月の間に新聞の原形とも言える1枚新聞の瓦版が発刊された。
時事性や速報性の高い出来事を扱った印刷物だ。
町で暮らしている平民達なら未だしも、町以外で暮らしている平民達は読み書きが出来ない。
セロは読み書き,算盤の出来ない平民が多い集落,部落,村落,里へ〈 器人形 〉達を向かわせて、寺子屋を開校させた。
老若男女問わず、無料で読み書き,算盤を学ばせているらしい。
そんな中でセロは〈 器人形 〉に瓦版屋を作らせて、平民達へ瓦版を広めた。
瓦版に書かれる内容は何れも旬な出来事みたいだから、瓦版を読む為に寺子屋を訪れては読み書き,算盤を学ぶ大人も増えているようで、大繁盛らしい。
寺子屋の読み書きにも瓦版が使われたりしているみたいだ。
因みに瓦版の旬な情報源は情報通のミニキノコン達から提供されている。
里の寺子屋でも読み書きの授業に瓦版が使われていて、声に出して読む機会もある。
そんな訳で──、寺子屋で瓦版の内容を読んでいたお蔭で(?)、台圀にゾンビが発生している事を知ったんだ。
ゾンビって言えば、歩き回る死体の事だ。
死んだ筈の屍が何故か動き回って、血肉を求めて人間を襲う怪物の一種だ。
≪ 大陸 ≫に依ってアンデッド,グール,ホーグド,デッド,ゴープスとか別の名前で呼ばれているけど、対して違いは無い。
首を斬り落として、胴体と頭を離してしまえばゾンビは動かなくなるし、燃え易いから火魔法で灰にしてしまえば良い。
そんなゾンビが台圀の遠方にある町で爆発的に増殖していて大変な事態となっているらしい。
ミニキノコンは一体何処まで情報収集に行ってるんだよ……。
何が原因で発生したのか知らないけど、増殖した大量のゾンビに町が襲われているなんて、ゾッとすな……。
オレもゾンビを相手にして戦った事が過去にあったけど、酷い目に遭ったからなぁ……。
やたら走るし、ジャンプするし、筋肉ムキムキなゾンビに追い掛けられて散々だったから、ゾンビなんかには関わりたくないんだよなぁ~~~。
此方に来なきゃ良いんだけど……。
瓦版には御丁寧に地図の絵が描かれていて、何処の町で【 ゾンビ大量発生事件 】が起きているのか分かるようになっている。
地図を見る限り、山脈を挟んだ向こう側だから、この里からは遠い場所にある町だと分かった。
取り敢えず、この里は大丈夫そうだな。
まさか、山脈を3つも越えて此処迄は来ないだろう。
だけど、油断は禁物だ!
何てったって疲れ知らずなゾンビだからな!
自宅へ帰ったらセロに相談しないとだ!
──*──*──*── 自宅
オレは瓦版を持って、セロが待っている自宅へ帰宅した。
マオ
「 セロっ──!
大事件だよ!!
瓦版を見てくれよ!! 」
居間で読書に耽って本の虫になっているセロにピラピラの瓦版を見せる。
セロフィート
「 マオ…。
読書の邪魔をしないでください 」
マオ
「 散々読書してるだろ~~。
良いから、オレの話を聞けよ!! 」
セロフィート
「 …………………………どうしました? 」
マオ
「 間を空け過ぎだからな!
今日の瓦版の内容が大事件なんだよ! 」
セロフィート
「 はあ……瓦版です?
そう言えば寺子屋の授業に使われているのでしたね。
それがどうしました? 」
マオ
「 セロ~~!
瓦版を広めたのはセロだろ~~。
瓦版に興味無さ過ぎやしないか? 」
セロフィート
「 ワタシの勝手です 」
マオ
「 それより──、ほら此処の記事だよ!
ゾンビが大量発生してて大変みたいなんだよ!! 」
セロフィート
「 ははぁ……。
確かにゾンビの事が書かれてますね 」
マオ
「 反応薄っ!
ゾンビだぞ!
走って、ジャンプして、ゴツ盛り筋肉ムキムキで血肉を喰らうあのゾンビだぞ!!
脳ミソ大好物の── 」
セロフィート
「 キノコンも血肉と脳ミソが大好物ですけど? 」
マオ
「 そ、それは…………確かにそうなんだけど……。
キノコンは意思の疎通が出来るし、セロに絶体絶命服従だから、見境なく人間を襲ったり喰べたりしないだろ!
でも、ゾンビは違うじゃないかよ!! 」
セロフィート
「 マオ、ゾンビを倒した事があるでしょう?
取り乱し過ぎますよ。
燃やして消し炭にしてしまえば良いでしょうに 」
マオ
「 そりゃ……まぁ、確かに…その通りだけど…… 」
セロフィート
「 一体ゾンビの何処に取り乱す程の要素があります? 」
マオ
「 …………山脈が3つもあるけど、それを越えて里に来やしないかって……。
ゾンビだって山越えするだろ? 」
セロフィート
「 確かにゾンビも山越えはします。
1度死んだ屍ですから疲れませんし、時間は掛かるでしょうけど 」
マオ
「 だろぉ!
何が原因でゾンビが発生したのか分からないけどさ、爆発的に増殖してるみたいだし、用心に越した事はないと思うんだよ!
山には動物や獣だって居るし、ゾンビに噛みつかれでもしたら…… 」
セロフィート
「 ゾンビになって里を目指して来るかも知れない──ですか? 」
マオ
「 そうだよ! 」
セロフィート
「 はいはい。
マオの心配性さん。
戦闘用〈 器人形 〉を100体程、山脈に向かわせます。
〈 器人形 〉はゾンビに噛まれる心配も無いですし、ゾンビやゾンビに噛まれた動物や獣を始末してくれます 」
マオ
「 有り難な、セロ! 」
セロフィート
「 死骸はキノコンに片付けさせましょう。
ゾンビを喰べてもキノコンなら平気です 」
マオ
「 セロぉ~~~(////)
流石はオレだけのセロだよ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
これでマオの憂いは晴れました? 」
マオ
「 うん……そうだな…。
多少の不安は解消されたよ 」
セロフィート
「 それは良かったです 」
マオ
「 なぁ、セロ… 」
セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 ゾンビが大量発生した原因だけどさ…… 」
セロフィート
「 はい? 」
マオ
「 セロが実験してる品種改良したり、遺伝子組み換えした食物が原因じゃないよな?? 」
セロフィート
「 否定は出来ません。
どのような影響を人体に及ぼすのか分かりませんし。
仮にワタシの実験した食物がゾンビ発生の原因だと言うなら、これ程面白い実験結果はないですね。
食物の中にある “ 何 ” が健全な人体へ悪影響を与え、人間をゾンビへ変化させたのか──、興味があります。
ゾンビを確保して隅々まで調べる必要があります 」
マオ
「 とんでもない迷惑千万な実験結果だな 」
セロフィート
「 とは言え、本当にワタシの生み出した食物がゾンビ発生の原因なのかを調べる為には、生け捕りにしたゾンビは必須です。
マオ── 」
マオ
「 何だよ? 」
セロフィート
「 折角ですし、ゾンビが大量発生している町へ行ってみましょう 」
マオ
「 嫌だよ!!
オレはゾンビにはウンザリしてるんだ!
もう、ゾンビには関わりたくない!!
全身に蕁麻疹が出る! 」
セロフィート
「 蕁麻疹なんて出ません。
マオが言い出した事です。
早速、旅支度をして明日の朝、里を立ちましょう 」
マオ
「 ちょっ──勝手に決めるなよ!! 」
セロフィート
「 里の事はキノコン達と戦闘用〈 器人形 〉達に任せれば良いです。
旅行気分で行きましょう♪ 」
マオ
「 …………マジかよ…。
何で態々此方からゾンビが増殖してる町へ行かなきゃならないんだよぉ~~~~。
余計な事、言わなきゃ良かった… 」
セロフィート
「 “ 口は災いの元 ” ですね♪ 」
マオ
「 本当だよ…… 」
ゾンビの事が書かれてある瓦版をセロに見せた所為で、とんでもない事に発展しちゃったな。
セロの所為──みたいな言い方をしなきゃ良かった……。
あんな腐りかけた状態の屍をまた相手にしないといけないなんてなぁ……最悪だよ…。
オレの大馬鹿者ぉ!!




