✒ 変異植物の暴走 2
セロフィート
「 花壇…です? 」
マオ
「 そうなんだ。
皆で花壇を作って、花を育てようって話になってさ。
子供でも簡単に世話が出来る手間の掛からない植物はないかな?
セロは詳しいだろ 」
セロフィート
「 タンポポで良いのではないです? 」
マオ
「 タンポポって…。
そんな道端に咲いてるありふれた花じゃなくてさぁ… 」
セロフィート
「 ナズナします? 」
マオ
「 ナズナでもなくて! 」
セロフィート
「 蓮華はどうです? 」
マオ
「 いや、蓮華も……綺麗だけど…… 」
セロフィート
「 シロツメ草は── 」
マオ
「 セロ!
態と言ってないか? 」
セロフィート
「 分かりました? 」
マオ
「 オレは真剣に聞いてんの! 」
セロフィート
「 スミレ,ビオラ,パンジーなら、どうです? 」
マオ
「 スミレ,ビオラ,パンジー? 」
セロフィート
「 ビオラやパンジーは色も模様も異なります。
花が咲く迄が楽しいですよ。
スミレはビオラより小花で薄い紫色 ~ 濃い紫色を楽しめます 」
マオ
「 スミレも道端に咲いてるじゃないかよ… 」
セロフィート
「 ビオラもパンジーもスミレ科の花です。
実験に使っていた種が余っているので── 」
マオ
「 一寸待てよ!
実験って何の実験だよ?
変な実験じゃないよな?? 」
セロフィート
「 マオ、酷いです。
変な実験なんてしてません。
植物の品種改良をしていただけです 」
マオ
「 品種改良??
ヤバい植物でも生み出そうとしてたって事かよ? 」
セロフィート
「 違います。
病気に強く、気温や温度の変化にも強く、綺麗な花を長く咲かせられるような花を作っていました。
病気に弱く、気温や温度の変化に敏感で枯れてしまう花が多かったですし、花の色も増やしたかったので 」
マオ
「 ………………肉食植物とか作ってたんじゃないんだ? 」
セロフィート
「 マオ、そんな危ない花を安心して見れます?
キノコン達が花壇で育てている花は全て、ワタシが自ら品種改良をした花ばかりです。
綺麗でしょう? 」
マオ
「 そうだったのか?!
知らなかったよ… 」
セロフィート
「 食用に改良してますから、料理にも安心して使えます。
変な実験ではないでしょう? 」
マオ
「 た、確かにな…。
そう言えば、パンや薬膳料理にも花が使われてる時があるもんな… 」
セロフィート
「 ワタシは安心,安全な品種改良をしていました。
ビオラとパンジーの種は、品種改良に使わなかった分です。
至って普通の安全な種です 」
マオ
「 それなら……使っても良いかな?
本当だよな?
後で──、“ 渡した種を間違えてました ” なんて事は無いよな? 」
セロフィート
「 マオ──、ワタシがそんな見え透いたポカをすると思います?
確信犯なら初めから違う種を渡してます 」
マオ
「 セロぉ!! 」
セロフィート
「 マオだけのセロフィートを信じてください。
至って普通の何の変哲もない唯のビオラとパンジーの種です。
安心してください 」
マオ
「 ………………信じても良いかな?(////)
子供達に危害が及ばないなら良いよ… 」
セロフィート
「 種を用意しときますね。
花壇は作ってます? 」
マオ
「 未だだよ。
必要な材料を調達する所から始めないといけないんだ 」
セロフィート
「 それなら花壇の世話をしているキノコンに手伝わせましょう。
ノウハウを知っているキノコンが入れば安心でしょう 」
マオ
「 セロ!
有り難な!(////)」
セロフィート
「 マオの為です。
誰よりも愛しいワタシだけのマオ──。
素敵な花壇を作れると良いですね 」
マオ
「 うん…(////)
セロ……今夜だけど──、久し振りに『 いいこと 』しないか? 」
セロフィート
「 マオの甘えん坊さん♪
『 いいこと 』は今度にしましょう 」
マオ
「 えぇ~~~~。
何でだよぉ… 」
セロフィート
「 ふふふ… 」
セロは微笑んでるだけで、結局『 いいこと 』をしてくれない理由を教えてくれなかった。
──*──*──*── 1ヵ月後
──*──*──*── 寺子屋
──*──*──*── 花壇
セロに紹介されたキノコンに花壇作りを教えてもらって、花壇に種を植えてた日から1ヵ月が経った。
花壇にはスミレ,ビオラ,パンジーの芽が出でいる。
……………1ヵ月で芽が出るなんて、おかしい!!
明らかに唯の種じゃなかった!!
セロを信じたオレの馬鹿ぁぁぁぁ!!
帰ったらセロを問い詰めないといけないな!!
だけど、春を待たずに芽が出た事を子供達は喜んでいる。
嬉しそうに花壇を見ていて花が咲く日を楽しみにしている。
…………いや、でも、問い質す必要はあるだろ??
折角の芽を引っこ抜くなんて酷い事はしたくないからな。
1番大事なのは、花が咲くのを楽しみにしている子供達の “ 害にならないか ” って事を確認をする事だ。
セロが持っていた花の種だし、セロに聞けば良いよな?
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 寺子屋
──*──*──*── 花壇
マオ
「 ──で?
どうなんだよ、セロ。
種を蒔いて1ヵ月で芽が出るなんて変だろ?
全然、普通の種じゃないじゃんかよ! 」
セロフィート
「 種は間違いなく普通の種です。
これは花壇に使用した土の影響が大きいです 」
マオ
「 種が原因じゃないのか? 」
セロフィート
「 違います。
マオに疑われるなんて……、悲しいです。
何故、最後までワタシを信じてくれません? 」
マオ
「 前科が有り過ぎるだろ…。
前科まみれが何言ってんだ…。
それで──、子供達への害は? 」
セロフィート
「 今の所は無いです」
マオ
「 今の所は?
どゆことだよ 」
セロフィート
「 土を変えなければ良いです。
この土はキノコン達が育てている花壇用に改良した土です。
本来ならば普通の土を使うべきでしたけど、ウッカリさんなキノコンも居ます。
使用する土を間違えたようです 」
マオ
「 『 土を変えない 』って事は花を別の場所に植え替えたりしなければ良いって事か? 」
セロフィート
「 そうです。
植物も生き物です。
土が変わってしまうと吃驚して枯れてしまいます 」
マオ
「 枯れる… 」
セロフィート
「 花が咲いて、萎んで散る迄は別の場所へ植え替えないように注意してください。
植え替えたい時には必ず、キノコンに頼ってください。
キノコンが土を調整してくれます 」
マオ
「 そうなんだ?
取り敢えず、キノコンに頼めば間違いないんだな? 」
セロフィート
「 そうです 」
マオ
「 分かったよ。
有り難な、セロ。
セロに聞いて良かったよ 」
セロフィート
「 何時でもワタシを頼ってください。
マオだけのセロフィートを… 」
マオ
「 うん(////)」
──*──*──*── 2週間後
──*──*──*── 寺子屋
──*──*──*── 花壇
花壇に蒔いていたスミレ,ビオラ,パンジーの花が綺麗に咲いた日から1週間後、花壇は酷く荒らされていた。
動物に荒らされた感じはしない。
土に残った足跡── 靴跡……じゃなくて草鞋跡かな? ──を見ると、どうやら人間が付けた跡みたいだ。
花壇は滅茶苦茶に踏みにじられていて、綺麗に咲いていたスミレ,ビオラ,パンジーは見る影もないぐらいに踏み付けられていたり、引き抜かれていたりして散々な状態となっていた。
子供達は花壇を荒らされてショックを受けたのか、ワンワンと声を上げて泣いている。
一体何処の誰が何の目的で、こんな酷い事をしてくれたんだろうな?
こんな事を許したらいけない!!
犯人を見付け出して、花壇を滅茶苦茶にした落とし前を付けさせないとだ!!
花壇の様子を態々見に来てくれたキノコンも涙を流して悲しんでいる。
キノコンがブチギレて暴走事件を起こす前に、事態を収拾させないといけない。
セロに相談しないとだ!!
マオ
「 キノコン!
先ずはセロに知らせるからな!
セロから指示が出る迄は何もしないでくれよ? 」
キノコン
「 ………………エリぃ~~~~。
こんなの……酷いですエリぃ~~~。
こんなの……あんまりですエリぃ~~~。
こんなの……こんなのぉ~~~~ 」
マオ
「 キノコン…………許せない気持ちはオレも同じだよ!
皆も悔しんでるよ!
だけど──、先ずは事を起こす前にセロへ相談しよう!!
何をするにも先ずはセロに許しをもらわないと──だろ? 」
キノコン
「 ~~~~っ──、はい…ですエリぃ~~~~ 」
ヤバいぞぉ~~~~、キノコンの笠の色が変わってるぅ!!
鮮やかで美味しそうなオレンジ色だった笠の色が黒く変色している……。
拙いぞ──、キノコンが……ヤバいぐらい…怒ってるぅ!!
マオ
「 ──キノコン!
今直ぐ、セロの所に行こう!!
怒りを爆発させるのは──、セロに許可を貰ってからだぞ? 」
キノコン
「 マオ様ぁ~~~~ 」
オレは寺子屋を休ませてもらう事にして、泣き止まないキノコンを引き摺って自宅へ戻ったんだ。




