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⭕ 寄り道の代償 1


──*──*──*── 里の出入り口


 野次馬のひとだかりを掻き分けてなにが起きてるのか覗いたオレの視界に入ったのは────。


マオ

「 モキチ!?

  モキチ、どうしたんだよ!

  なにがあったんだよ、モキチぃ~~~!! 」


 地面には血を流して倒れているモキチの身体からだが横たわっていた。

 モキチだけじゃない。

 モキチ意外にも子供が3人、怪我をして血を流している状態で倒れている。

 怪我──って言うより、激しい暴力を振るわれたあとのようにも見える。

 全身に痣が出来ていて、4人の顔はパンパンにれていていた(いた)しい。


マオ

「 酷いじゃないか!

  子供にこんな事──。

  アンタ達、なにを突っ立てんだよ!!

  コイツをセロとオレの長屋に運べぇ!! 」


 オレは野次馬をしている里人達へ叫ぶ。

 声を張り上げたオレに驚いたのか、野次馬達が蜘蛛の子を散らすようにちり(ぢり)に去って行く。


マオ

「 はぁ!?

  なんみんな離れてくんだよ!! 」


 里の出入り口から野次馬の里人達は誰1人もなくなって、地面に倒れている4人の子供とオレしかなくなった。


マオ

「 怪我をしてる子供達を置きっぱでなくなるとか、なんて冷たい里人達なんだよ!!

  有り得ないだろぉ!! 」


 予想外に薄情過ぎる里人達へ苛立ちながら、オレは1人で4人の子供を()()へ運ぶ事になった。

 まぁ、人間をめたオレには力があるから1度に4人の子供を運ぶぐらいなんわけないんだけどな!!

 セロに鍛えられてるから、どうって事ない重さだ。











──*──*──*── 新居


 ()()に到着したオレは、鍵が壊れたままの戸を開けて中へ入った。

 帰宅をするとマオキノがオリィと遊んでいた。


マオキノ

「 マオ様、お帰りなさいませエリ 」


オリィ

「 クゥ~~ 」


マオ

「 ただいま、マオキノ,オリィ。

  マオキノ、悪いんだけど敷布団を4枚出して居間リビングに敷いてくれないか? 」


マオキノ

「 分かりましたエリ。

  オリィ、温泉に入ってるエリ 」


オリィ

「 ククゥ~~ 」


 オリィはマオキノの言葉に素直に従うと1人で洗面脱衣室へ向かって移動するとドアの絵に入って行った。


マオ

「 偉いなぁ、オリィ。

  マオキノの言葉が分かるんだな 」


マオキノ

「 オリィは予想以上にお利口さんですエリ 」


 マオキノが出して床に敷いてくれた敷布団の上に怪我をした4人を丁寧に下ろして寝かせる。


マオキノ

「 マオ様、この子達はどうされましたエリ? 」


 マオキノはオレが頼まなくても凝縮した “ キノコンじる ” を子供達に塗ってくれる。


マオ

がとな、マオキノ。

  オレもなにが遭ったのかは知らないんだ。

  里の出入り口にひとだかりが出来ていたから見に行ったんだ。

  そしたらモキチ達が酷い状態で地面に倒れてたんだよ!!

  セロとオレの長屋に運ぶように声を掛けたけど、みんな助けるどころか立ち去って行ってさ──。

  オレが1人で運んでたって訳だよ。

  全く──、重傷な子供に手も差し伸べないで立ち去るなんて薄情なヤツだよ!! 」


マオキノ

「 マオ様、この子達は一部の里人達から集団フルボッコの刑を受けたのだと思いますエリ 」


マオ

「 は?

  集団フルボッコの刑??

  なんだよ、それ… 」


マオキノ

「 集団リンチですエリ。

  立ち去ったのは、から子供達を助ける気がなかったからですエリ。

  殺すつもりで袋叩きしたと思われますエリ 」


マオ

「 …………なんでだよ……。

  モキチ達が一体なにをしたって言うんだよ?

  こんな子供が大人達に殺されるような事をしたって言うのかよ!? 」


マオキノ

「 経緯が分からないので、あくまでも推測になりますエリ。

  この痛め付けられ方を見ると、“ 殺意も込められていた ” と判断が出来ますエリ 」


マオ

「 そんな……。

  原因はなんだよ…。

  誰が袋叩きにしたんだよ!!

  マオキノ、複数犯の仕業なんだよな? 」


マオキノ

「 間違いないですエリ。

  マオ様、この子達を集団リンチしたやからを探し出す気ですかエリ? 」


マオ

「 当たり前だろ!!

  モキチはセロとオレに親切にしてくれたんだ。

  モキチ達を助けたいし、犯人達を捕まえて謝罪をさせたいんだ!! 」


マオキノ

「 マオ様──、独断で動くのはくないですエリ。

  先ずはセロ様に御相談される事ですエリ。

  犯人探しや原因や経緯は〈 うつわ()にん(ニン)ぎょう() 〉達が探ってくれますエリ。

  お任せしましょうエリ 」


マオ

「 マオキノ…。

  ………………モキチ達は助かるのか? 」


マオキノ

「 キノコンじるで怪我は治せますエリ。

  失っている意識は取り戻せませんエリ 」


マオ

「 今は “ 気絶してる ” って事か? 」


マオキノ

「 この子は既に呼吸がまってますエリ。

  この子も呼吸がよわ(よわ)しくなってますエリ。

  この子は気を失っていますエリ 」


マオ

「 マオキノ、モキチはどうなんだ?

  気絶してるだけだよな? 」


マオキノ

「 頭の打ち所が悪かったみたいですエリ。

  即死……してますエリ 」


マオ

「 そ……即死……。

  マオキノ……冗談だろ?

  モキチが “ 死んでる ” って──言うのかよ?! 」


マオキノ

「 マオ様……事実ですエリ。

  マオ様が駆け着けた時には亡くなってましたエリ 」


マオ

「 えぇっ……!?

  そんな…………そんな……モキチ…… 」


マオキノ

「 死亡者は2名ですエリ。

  昼過ぎには1名増えて3名になりますエリ 」


マオ

「 ……………………許せない…………こんなの……許せないっ!!

  許して堪るかよっ!! 」


 オレは硬直して動かないモキチの身体からだを抱きしめた。

 冷たい…………。

 モキチが……なにしたって言うんだよ…。

 オレ──、絶対に許さないからな!!

 モキチを死なせたヤツはオレがじき(じき)に手を下してやるんだ!!

 モキチや子供達は復讐なんて望まないかも知れない。

 けど、これは復讐なんかじゃなくて、“ 制裁 ” っていう名の “ 正義の鉄槌 ” だからな!!

◎ 訂正しました。

  何等分けないんだけどな ─→ 何等わけないんだけどな

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