✒ 首長海竜を解体する
──*──*──*── 新居
マオ
「 ──ただいま、セロ! 」
オレは長屋の戸を乱暴に開けると中へ入った。
居間にはセロが居て、囲炉裏の前で読書をしていた。
セロフィート
「 お帰りなさい、マオ 」
セロはオレの方を見る事もしないで、オレを迎え入れてくれる。
オレは居間に上がるとセロから本を取り上げた!
マオ
「 ──セロ!
ちゃんとオレを見て言えよぉ!! 」
セロフィート
「 マオ、本を返してください 」
マオ
「 セロ!
今は本なんか良いんだよ!
大変な事が起きたんだ!
大事件だよ、大事件!! 」
セロフィート
「 何が起きました? 」
マオ
「 キノコン── 」
マオキノの分身体
「 はいですエリ 」
セロフィート
「 マオキノはどうしました? 」
マオ
「 マオキノは離れの小島に海賊退治に行ってるよ!
そんな事よりさ、首長海竜の子供だよ!! 」
セロフィート
「 見れば分かります。
本を返してください 」
マオ
「 本なんか後だ!!
首長海竜の家族か仲間が海賊に襲われたらしくて、殺されてたんだ!!
“ 絶滅した ” って、セロが言ってただろ?
何でこんな島国の海に首長海竜が海賊に襲われてるんだよ!? 」
セロフィート
「 ワタシが知るわけないでしょう。
絶滅を逃れて生き長らえていたのではないです?
海底は未知の領域ですからね 」
マオ
「 セロ、この首長海竜を〈 創造主の館 〉の中で保護してくれよ。
仲間や家族が居なくて可哀想だけどさ……、セロなら出来るだろ? 」
セロフィート
「 はいはい。
その首長海竜に関しては、ワタシが責任を持ち保護しましょう 」
マオ
「 セロぉ!
有り難な! 」
オレは首長海竜が生き長らえる事になったのが嬉しくて、セロに抱き付いた!
セロフィート
「 キノコン、捕らえたと言う海賊はどうしました? 」
マオキノの分身体
「 セノコンとセノコンの分身体に渡しましたエリ 」
セロフィート
「 宜しい。
──首長海竜の死骸はどうしました? 」
マオキノの分身体
「 解体所へ運び込んでますエリ 」
セロフィート
「 見てみましょう。
マオ、離れてください 」
マオ
「 う、うん…… 」
セロフィート
「 キノコン、お前は此処で待っていなさい。
子供には見せない方が良いです 」
マオキノの分身体
「 はいですエリ。
此処で待ってますエリ 」
セロが解体所へ行くらしいから、オレも着いて行く事にした。
セロと一緒に長屋を出て解体所へ向かった。
──*──*──*── 解体所
解体所の中へ入るとキノコンが居た。
マオキノの分身体かも知れない。
セロフィート
「 これが海賊に狩られた首長海竜ですね。
あまり大きくないのを見ると子供ですね 」
マオ
「 子供?
じゃあ、此方の2匹も? 」
セロフィート
「 そうでしょうね。
生き長らえていた首長海竜の子供達が何等かの理由で親や仲間の群れからはぐれたのでしょう 」
マオ
「 家族や仲間を探して海を泳いでる所を海賊に襲われた──って感じかな? 」
セロフィート
「 海流に流されたのかも知れませんね 」
マオ
「 海流?
海の中だろ。
流れは穏やかなんじゃないのかよ? 」
セロフィート
「 場所によって違います。
体が大きく体重もある大人の首長海竜なら兎も角、未だ子供です。
海流に飲まれても抜け出す程の力はないでしょう。
不幸な事故の末の結末でしょう 」
マオ
「 海賊に襲われなかったら家族や仲間の元に帰れたかも知れないのにな…… 」
セロフィート
「 それは難しいでしょう。
大人の首長海竜ですら海流には近付きません。
海流に飲まれた子供を追う事は先ずしません。
仮に追ったとしても海流に飲まれている子供を助ける術はないです。
海流は複雑に絡み合ってますから何処へ流されるか分かりませんし、気付かぬ内に発生し、消える場合もあります。
子供が海流に飲まれた事に気付けない場合もあります 」
マオ
「 そんな…… 」
セロフィート
「 海の中も危険です。
天敵だけに気を付けて入れば良いわけではないです。
時として自然も牙を向きます 」
マオ
「 ……………… 」
セロフィート
「 マオ、3体の死骸を解体してください 」
マオ
「 え?
解体!?
解体してどうするんだよ? 」
セロフィート
「 供養です。
彼等の死を無駄にしてはいけません。
使える部分は活用して弔います 」
マオ
「 …………オレ、首長海竜の解体なんてした事ないんだけど! 」
セロフィート
「 ワタシが教えます。
一緒に解体しましょう。
キノコン、お前はマオの補佐をしなさい 」
マオキノの分身体
「 はいですエリ 」
セロフィート
「 練習として2体の首長海竜の死骸を解体しましょう。
マオ、準備してください 」
マオ
「 う、うん…。
分かったよ 」
オレはセロと一緒に首長海竜の死体を解体する事になった。
武器で傷付けられた場所がないのは、キノコンが “ キノコンじる ” を皮膚へ塗り込んでくれたからみたいだ。
解体所が血で汚れていないのは、血が流れ出る傷口を塞いでくれたからなんだな。
セロは着ている羽織を脱ぐと、キノコンに手渡している。
解体する時に邪魔になる着物の袖を汚れないように長い白布で結んでいる。
オレも着物の袖が邪魔にならないように長い白布で結ぶ。
セロフィート
「 マオ、準備は出来ました? 」
マオ
「 バッチリだよ! 」
セロフィート
「 では始めましょう 」
セロは解体用の刃物を持つと、首長海竜の体に刃物を入れると器用に捌き始めた。
オレもセロのやり方を見ながら、マオキノの分身体に補佐してもらいながら見よう見真似で捌き始めた。
セロフィート
「 初めてにしては上出来です。
最後の1体はマオが解体してください 」
マオ
「 分かった。
キノコン、頼むな? 」
マオキノの分身体
「 お任せくださいエリ 」
セロフィート
「 ワタシは肉の下処理をします。
解体は任せました 」
マオ
「 おう、任された! 」
オレがマオキノの分身体と最後の首長海竜の解体を始めると、セロは首長海竜から取れた肉の下処理を始めた。
セロ──、首長海竜の解体だけじゃなくて下処理まで出来るのかよ。
凄いな……。
小さな首長海竜の死体は解体し易かったけど、大きい死体は解体し難い。
セロなら1人で簡単に解体出来るんだろうけど、オレはマオキノの分身体に手伝ってもらっているにも関わらず苦労している。
セロは肉の下処理を終えたらしく、皮に付いている余分な肉を削ぎ落としているみたいだ。
セロ、慣れてる手付きで手早いな。
マオキノの分身体
「 マオ様、此処に刃先を入れてくださいエリ 」
マオ
「 分かった 」
マオキノの分身体
「 刃先を入れたら、刃先を骨の上に当てて── 」
マオキノの分身体から丁寧なナビゲートしてもらいながら、時間も掛けつつ何とか首長海竜の解体を終える事が出来た。
マオ
「 ──はぁ…はぁ…はぁ……。
こんなに疲れる解体は初めてかも知れないな… 」
マオキノの分身体
「 マオ様、セロ様に肉の下処理をしていただいてくださいエリ 」
マオ
「 そうだな…。
セロ、肉の下処理を頼むよ 」
セロフィート
「 はいはい。
苦労したようですね。
数をこなせば馴れて疲れなくなります 」
セロに首長海竜の肉を渡したオレは、桶の中に入れられている皮と別の桶に入れられている削ぎ落とされた肉が目に入った。
セロフィート
「 キノコン、皮に付いている余分な肉を削ぎ落としなさい 」
マオキノの分身体
「 はいですエリ 」
マオキノの分身体は解体用の刃物を持つと、器用に動かして皮に付いている余分な肉を削ぎ落とし始めた。
簡単そうに見えるけど、セロがオレに “ させない ” って事は、補佐なく1人で解体が出来ないオレには “ 難しい作業 ” って判断されたんだろう。
少しだけ寂しいな。
マオキノの分身体もセロ並みに作業が手早くて上手い。
自信無くしちゃいそうになるんだけど!!
マオキノの分身体
「 ふぅ──、終わりましたエリ。
セロ様、皮と身を分け終わりましたエリ 」
セロフィート
「 宜しい。
流石、ワタシのキノコンです。
綺麗に分けれましたね。
偉いです 」
マオキノの分身体
「 お褒めくださり有り難う御座いますエリ♥️
マオキノも喜びますエリ! 」
マオキノの分身体はセロに向かってビシッと敬礼をする。
キノコンって敬礼するのが好きなんだな…。
セロフィート
「 臓物,脳ミソ,目玉…等はキノコン達で、お食べなさい。
開拓作業を頑張るお前達への御褒美です 」
マオキノの分身体
「 エリぃ~~~♥️♥️♥️
有り難う御座いますエリ!!
皆喜びますエリ! 」
セロフィート
「 皮は素材庫へ運び保存するように。
骨は加工庫,下処理が済んだ肉は肉用の冷蔵室へ運ぶように 」
マオキノの分身体
「 了解致しましたエリ! 」
セロフィート
「 マオ、今夜の夕食は削ぎ落とし肉を使った料理にしましょう 」
マオ
「 え゛?!
首長海竜の肉を食べるのか? 」
セロフィート
「 捨てては弔いになりません。
美味しくいただいて供養しましょう 」
マオ
「 …………抑食べれるのかよ?? 」
不安を抱きつつ、オレはセロと一緒に長屋へ戻る事になった。
首長海竜の削ぎ落としが入った小さな桶をセロが持って、沢山入った桶をオレが持って運ぶ事になった。
普通はだよ「 反対だろ! 」って言う所だけど、セロに言っても “ 無駄 ” って事を知ってるから、言わないんだ。
セロの御機嫌を損ねたくないしな!
忘れてだけど、セロに本を返さないとだよな。




