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航海

作者: 哀原 暖鼠

祖父には申し訳ないことをした。小さな事でいうと、半ば奪うように貰ったパーカーのシャープペンとボールポイントペンの一式のうち、ボールペンを手放してしまった。大きな事は、私が高校に入学する前の約束を破ってしまい、先日、とうとうその高校を卒業してしまった。今は大学の合否発表をただ待つばかりである。その大学も約束の内容に反するところを選んだ。選べなかった。反省をしているし、これが充分であることはないが、申し訳なさも抱いている。大成することは全くなかった。しかし、後悔はしていない。得難きものを数多く得た。



未だ恋愛というものについてだけは全く分からないが、中学生の私が想像していた私以上に、以下になったことは事実である。上記のそのボールペンで書いている文章を見る。この直前にとある本を読んだ。素晴らしい一を書ける人間は素晴らしい字が書けるそうだ。私は自分の字が好きであるが、このボールペンに0.7mmのジェストだとその限りではない。しかし、これを機に一を練習しようと思う。一一一一一一一一一一一一一一一一あいうええお。画面では同一だが、確かに書けた。



ペンの見た目のデザインは申し分ない。性能は、私の文房具理論からするとイマイチであるがら構わない。唯一譲れない要素はシャープペンとセットであったことだ。少なからず後悔しているものの、その存在を私は嫌う。



私小説の構えであるが、心情変化を書き出すことができない。失格である。書いている最中にも私の心情は変わり続け、私の未来は毎秒造り変えられているが、これは私の中にしかない。書き出すことが本懐であるという悩みは忘れてしまおう。つまり、私小説などではなく、散文なのだ。大学の合否を待つ身と書いたが嘘半分だ。中期やら後期に向けて勉強する必要がある。しかし、ここにそのボールペンで書き殴っている。ああ、約束とはいかに。彼は死んでいる。

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