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追放(する側)勇者  作者: 睦月色
9/21

2人目(5)

鍛冶屋の真似事でもしているのか、リズムや強さ、角度を変えて素材を叩くジャン。


中には強く叩きすぎたのか、割れたり欠けたりするものもあった。


その結果を書き留めると、今度は素材同士をぶつけ合い始める。


まぁ、これなら少しは安全だろうか、うるさいけど。


しかし、そんな風に気を抜いていたら、だ。


とある亀みたいな魔獣の甲羅と、狼型の魔獣の牙をぶつけた時である。


牙が、ささくれだった甲羅に突き刺さると、軽い発光を発生させた。


と、同時に甲羅が破裂し、物凄い勢いで破片が飛んでくる。


俺はすんでのところで回避できたが、荷台や荷物には破片が突き刺さっていた。


「お前、何してんの!?」

「硬度試験だけど?」

「だけど? じゃない。って、お前、血だらけじゃねぇか!」


爆心地に居たのだから当たり前だ。


「予想してなかった結果だけど、至近距離でもこのくらいのダメージかー。ちょっと期待外れかなー」


回復魔法を自分にかけながら、また実験結果を書き留めている。


ちなみに攻撃魔法のみならず、そういった僧侶のような魔法も使えるのは、あまり多くはない。


この部隊でいうと、リック、ジャン、そして一応俺。


八分の三もいるとありがたみが薄れるけれど、戦略の幅も広がっているのは間違いない。


「何をしたらあんな爆発するみたいなことが起こるんだよ……」

「多分だけど、このケルベロスの牙がトリプルヒットするみたい。で、甲羅の衝撃吸収が追い付かなくなって一気にパーンってなったんじゃないかな?」

「ジャン、モウイチド」


と話し入ってきたのは、武闘家のクンである。


手の上に甲羅の破片をこんもり乗せて、巨体を丸めてジャンにお願いしている。


まさか、向かってくる破片を全部受け止めたっていうのか?


とんでもない反射神経だ。


クンは異民族の出で、言葉が少し怪しいが、知能はもっと怪しい。


何でも、狂戦士の加護を受けている家系らしく、理性と引き換えに強靭な力を手に入れているらしい。


そんなクンは、荷台の上で筋トレをひたすら行っていた。


格闘技やトレーニングに関してはスッと理解してくれるので、たまにコイツわざと馬鹿なふりをしているんじゃないだろうか? と疑っていたりもする、


「もう一度って、今の?」

「ソウ」

「やめとけやめとけ、荷物も危ないしジャンもまた怪我するだろ?」

「ダメ?」

「ダメ!」

「まぁ、素材ももう無いし、仕方ないね」

「ザンネン」


俺、クン、リックとジャン。


この四人が男メンバーで、宿屋では固まって寝ることも多い。


ある程度気ごころが知れた仲ではあるものの、何を考えているのかは誰一人として分からない。


「パァーーーーー!」


角笛の音が聞こえる。


敵襲だ。


「二人とも、備えろ!」


荷台から飛び降りて、音の方向を見る。


土煙を上げて、魔族の集団がこちらへ向かってきていた。


接敵はもう間もなくだろう。


「クンは前線へ、リッターと、リアと、一緒に、戦う! 分かった?」

「ワカッタ」


本当に分かったか分からないけれど、リアなりリッターなりがどうにかしてくれるだろう。


合流さえしてくれれば。


「ジャン、今のうちから数を減らすぞ!」

「いつでもいけるよ!」

「よし、合わせてくれ! 増加魔法!」


ジャンの目の前に、魔力で出来た透明な膜が張られる。


「極大雷鳴魔法!」


間髪入れずに、ジャンの唱えた魔法が膜を通り、巨大な稲妻が敵の集団へ飛んでいった。


これでどれだけ生き残るだろうか、後詰の後衛も動いているはずだし、俺も前線へ駆けていく。


ここまでご覧いただきありがとうございます。

よろしければ、評価、ブクマ、レビューなどなさっていただきますと、大変励みになりますので何卒宜しくお願い致します。

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