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追放(する側)勇者  作者: 睦月色
21/21

2人目(17)

アースウォールを解除する。


こういった使い方の自由度があると、自分は土魔法向きなのだと改めて実感した。


石突きからの魔力放出を開始し、イレーツの船を加速させる。


それとともにバカでかい火球が俺たちを追い越し、敵陣へ着弾した。


リックの援護を受けて、さらに勢いを増して船ごと突っ込む。


さぁ、乱戦の始まりだ。


「ブレイブ、合わせて!」


横薙ぎの姿勢を取っているリアが俺に指示を出す。


「アースウォール!」


リアの足元に弧を描き、三度のアースウォールを放った。


盛り上がった地面はリアのグラウンドスイングでぶっ飛ばされる。


先程とは質量が桁違いの礫が一気に敵を薙ぎ払っていく。


「おまけだよ!」


途端、視界が薄暗くなる。


俺たちが合流した時に使われた船団が、再度浮き上がっていた。


いや……どれも船の形を保っていないから、船団というよりもただの木材の塊にしか見えない。


船の数にして五隻分の木材、それが一気に降り注ぎ、ドドドと地響きを立てながら敵を押しつぶしていった。


「なぁ、油って出せるのか? イレーツ?」

「まぁ、船にまつわるものだからねぇ……ただ、大量には出せそうにないよ」

「ふむ、やめておくか」

「ちょっとブレイブ、また変なことを考えているんじゃない?」


いやな顔をしながら、リアは俺に聞いてくる。変なことかどうかはともかく……。


「このまま火を点けようと思ってさ」

「やっぱり、そんな野蛮な盗賊みたいなこと考えて…………勇者がそんなことしていいの?」


苦虫を嚙み潰したような顔のリアを見るに、もしかして火攻めはこの世界では倫理的にダメなのだろうか?


「まぁ安心してくれ、視界が悪くなりそうだし、イレーツも油は出しづらいみたいだし止めることにする」

「そうして!」

「さて、お二人さん、いちゃつくのはその辺にして、本腰入れていくよ!」

「い! いちゃ……!!」

「だってよ、リア。このままもう一発グラウンドスイングだ」

「あーもう! 分かったよ!」


やけっぱちのように放った木片を含んだグラウンドスイングを、敵の本陣は見えない壁できっちりと防いでしまう。


あれを完璧に防ぐとはね……雑魚をあらかた片付けられて良かった。これで本陣に集中できる。


ふと、リックの方を見てみると、一人で敵の遠距離攻撃をさばいていた。


おそらく、こっちに飛んでくる攻撃も迎撃してくれているのだろう。


改めて規格外の男だと感心した。


「行こう、リックが頑張ってくれてる。とっとと片付けないと、後で何をされるか分からない」

「確かに、あの生臭坊主なら金でも要求してきそうだ」


イレーツが俺の右横に並んで歩みを同じくする。


「お金だけだったらいいんだけど」


反対側の左に、リアも追い付く。


さあ、いろいろとやってきたが、これからが本番だ。


戦力は兵隊全部合わせたって、きっとアイツの方が強い。

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