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追放(する側)勇者  作者: 睦月色
18/21

2人目(14)

砲撃の位置を頼りに、二人との合流を目指す。


「リア、後ろはどんな感じだ?」

「んー、立て直している感じかな? 直ぐには襲ってこないと思う」

「よし、それなら俺たち二人で前線を挟み撃ちして、リック達と合流しよう」

「分かった!」


勢いそのままに、剣を持った魔族に槍を突き刺した。


リアはすぐさま剣を奪い去り、切り付け始める。


「フレイム!」


土属性が得意だが、他の属性も使えないというわけではない。


ただ、上手ではないというだけで。


とりわけフレイムに関しては、人様が見れば笑ってしまうほどだ。


本来なら火球を相手に飛ばす魔法だが、俺の場合、手からそのまま炎が噴出され、飛んでいかないのである。


リックは大笑いしたし、ジャンは手の解剖をしたがる始末。


それだけ訳の分からない現象らしい。


しかし、火炎放射器のような俺のフレイムは、こういった集団戦において最適だと思っている。


誤射の心配が少ないけれど、なかなかの範囲を攻撃できるって、この為にあると思いませんかね?


火だるまになって、もがいた敵が陣形を乱してくれるのも見過ごせない効果である。


その様子を機と見たリックとイレーツが、俺たちと合流した。


何も言わずとも意図が伝わるのは助かる。


「ブレイブ、行ったり来たり忙しそうだな」


駆け付けるやいなや、敵を殴りつけながら軽口をたたくリック。


「ああ、手伝ってくれリック」

「そんなに手強そうなのか」

「多分な。護衛の連中で奇襲を防ぎやがったし」

「ふむ、指揮官の実力はまだ分からず、か。不確定要素が多いなら万全で挑むべきだな」

「ただでさえ部隊を分けているし」

「ブレイブ、私はどうする? また船団で奇襲をかけるかい?」

「そうだな、俺が合図するまでの間で船団を準備してくれ。リアはその護衛」

「了解、リア、頼んだよ?」

「分かった!」


両手を胸の前に組み、仁王立ちするイレーツ。


何でもこの姿勢がチャージする姿勢だそうで。


さて、本陣の様子を見ると、陣形が直され、こちらへ遠距離攻撃の準備をしている。


あまり時間はなさそうだ。


「誰か、メイスとか調達できないか? 鉄杖でもいいけど。正確に言えば刃物以外」

「まったく! ブレイブといい、リックといい、行き当たりばったりすぎるでしょ!」


リアが雑にメイスをリックに投げて寄越す。


結構な勢いだから、ちょっと怖い。


行き当たりばったりの行動は、今の彼女には逆鱗らしい。


「これは、支給品より上等な品だな」

「リックのもか。俺の槍も支給品よりずっと良い。剣を三振り、槍とメイス一本ずつを用意しておこう」

「なかなかメイス持ちが居ないんだがなぁ……」


すると、俺の足元にドスドスと武器が飛んでくる。


未だお冠のリアの仕業だ。


「……仕事が早いことで。イレーツ、今で何隻だせる?」

「二隻だね」

「了解。敵の遠距離攻撃の後に、ありったけの船団で突っ込むぞ、それまで増やしておいてくれ」


さて、ここまで敵を減らせば、国の兵士たちだけでここを抑えられるだろう。


少数精鋭部隊の本領を見せる時が来たのだ。

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