表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放(する側)勇者  作者: 睦月色
11/21

2人目(7)

ひたすらに剣を振るう。


とにかく敵を抜けさせてはならない。しかし、流石に数が多い。


俺たちから逃げるように出鱈目な駆け方で、牛に似た魔獣が数体脇を抜けてしまった。


しまった! と思った直後、牛たちの角が一本増えた。


いや、そうではない。


アヤチによる狙撃だ。


全て頭部に命中させた精度もさることながら、同時に放ったとすら思える連射速度、視野の広さ、素晴らしい腕前だ。


これだけの腕前が有れば、混戦になったところで誤射の心配もないだろう。


さて、そろそろ後続に控える魔族たちとの交戦距離になる。


魔獣もろとも俺たちを攻撃してきたこともあったので、今回の指揮官は悠長なのか優しいのか、それとも他に策が有るのかは分からないが、まとめて相手にしない方が良い。


「そろそろ引くぞ、ぶっ放して距離を取れ! …………クン! 戻れ!」


鬼人のごとき活躍しているクンは、戦闘モードになると余計に言葉が通じなくなる。


指揮を二通りしなくてはいけないのは大変に億劫だ。


と、俺もクンに意識を向けてばかりはいられない。魔力剣にさらに魔力を込めて、下がりながら山なりに投擲する。


炸裂し、衝撃波とともに魔力が残った剣の破片が辺りを襲った。お手軽な手りゅう弾といったところか。


こんな使い方を教えてくれたのは、他でもないジャンである。まぁ、役には立っているが、正直おっかない。


リアもリッターも、広範囲の技を使ってから順調に退避できそうだ。


クンも素直に俺の方についてきている。


魔獣を追いかけてくる先からアヤチが抑えてくれており、距離を空けることが出来た。これなら魔法も矢もなんだって存分に打ち込めるだろう。


「頼むぞ! イレーツ!」


俺たちの部隊、最後の一人、それが海賊のイレーツである。


何故ここまで出番が無かったかと言えば―――。


「全砲門撃てーーーっ!」


彼女の背後には巨大な船の群れが浮かんでいた。


それが大砲を放ちながら、そのまま魔獣の方へ飛んでいくと最後には魔獣を押しつぶしていく。


これが彼女の能力である。


海賊船を複数召喚し、なおかつ自分の思うがままに操れる。だから普通では有り得ない横向きに進むだとか、空を飛ぶだとかが可能なのだ。


これに関しては、ジャンもお手上げで、そもそも魔法ではないらしい。そういった現象でそういったことが出来る、と納得した方が良いとも言われた。


そんなとんでもない能力も弱点がある。


呼び出す規模に応じた時間が必要になることだ。


例えば、船の必需品であるロープくらいなら、瞬時に無数に召喚できる。が、今回のように船団となると、今の今まで時間がかかってしまった。


いざとなればこの船団で壁を作ることも可能だろう。


今回のように何かを守る際には、大変有用な能力だ。


野宿の時には家代わりに使ったりもしたし。


ちなみに、本人が消そうと思えば、船は跡形もなく消える。反対に言えば、そう思わなければ、ずっと残ってしまうのだ。



ここまでお読みいただきありがとうございます。


よろしければポイントやレビューなどなさっていただきますと、大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ