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追放(する側)勇者  作者: 睦月色
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『英雄事業の業務縮小につき、賃金予算の減額、支援金の減額、支給品の停止、経費計上項目の変更(別紙参照)を行います。

つきましては人員整理をお願い致します。』


魔王軍の拠点を奪い、消耗し切った体で宿屋に戻ると、こんな書状が俺に届けられていた。


王家の蝋印が施された封筒、その中の数枚の書類には一枚一枚に国王と大臣それぞれの印鑑と署名まで施されている。


そのことから冗談ではないことが分かったが、頭が理解をしてくれない。


一体何を言っているのだろう?



◇◇◇



俺―――ブレイブ・パーソンは勇者である。


元の名前は、佐々木一郎。


しがない会社員の三十六歳が、遅めの昼食をファミレスで摂っているところに、ブレーキとアクセルを踏み間違えた電気自動車が突っ込んできてそのまま一生を終える。


そして、俺が勇者に目覚めたのはブレイブ・パーソンとして生きてきた十八歳の頃で、その時に前世の記憶が蘇った。


それと魔王が侵攻を開始したのはほぼ同時のことで、国が俺を発見するまでに多くの領土や兵士が失われた。


と、そんな余裕がない状態だったので、国王は俺に少数精鋭部隊での魔王討伐を行えと命令を下す。


王家に代々伝わる聖剣と、国から選定された仲間たちを与えられ――――――なんてことはなかった。


優秀な人材は軒並み防衛線に駆り出されるか、要人の警護に回っている。


そのため、俺に割く人手はないのだと。いや、マジでふざけんな。


代わりに、といってはなんだが俺を含め、勇者御一行様には一人ひとり旅の路銀が支給される。

書類の送付や次の旅先を伝えなければならないなどの手続きをしなければならないが、金がある程度安定しているのはありがたかった。


さらに人数に応じた回復薬や松明、矢といった消耗品、部隊の運営目的の支援金が届けられる。


ちなみに、拠点となる宿屋や領主に預けておくシステムだ。


脱線ついでに言うと、届かないこともある。


最前線で戦いっているのだから略奪や事故、なんだったら横領も有り得る話だ。


他の兵士たちはもっと苦しんでいるだろうと考えると、そんな不運も我慢できた。ガチギレしたけども。



◇◇◇



とにかく、書類を全て読もう。


おおよそ半分に減らされた支援金。


消耗品に至っては回復薬のみ。


経費として認められるのは、宿代のみで、飲食や武器と防具の購入は一般兵士が持っているようなものだけ。


最後に、賃金予算について。


現在、俺を含めて八人の部隊だが、『段階的に減らしていき、最終的には四人まで減らせ』とお達しだ。


『段階的に』というのはせめてもの情けなのかもしれないが、半分に人員整理をしなければならない。


どうするべきか……全てを話してしまっていいものなのか、それとも俺個人が肩たたきを行った方がいいのだろうか?


ワークシェアリング? ボランティアワーク? それとも俺が雇用しちゃう?


現状を維持する為には、一体どうしたらベストなのだろうか?


そうして、俺の追放ライフが始まろうとしていた。

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