家族会議(1)
さあ、これからどうしようか。
ルカは部屋に戻りながら考えていると、途中で息を切らした父親に呼び止められる。
連れて行かれた先には母親とマリーがそろっており、席に座るように促された。
呼ばれたメイドが家族用にお茶を用意するが、ルカの分は用意されていない。
それはいつものことだった。
食事は用意されるものの、食後のお茶はルカに出されない。
妾の子供には必要ないだろうと、下に見られているからだ。
いつもであればルカは甘んじて受け入れていた。
家族もそれが当たり前になっているから、父親が話し始めようとする。
だが、ルカは口を開いた。
「私のお茶がないようですが」
もうその状況を受け入れない。
二度とそんな人生は送らないと決めたから。
普段ルカをさげすんでいるメイドが、信じられない目で見ている。
ルカはそのメイドに向かって、真正面からもう一度言った。
「私のお茶が無いの。あなた、目が悪かったのかしら?」
いつもとは雰囲気が違うことはわかっているが、それがなんなのかはわかっていないメイドは、あからさまにおもしろくない顔をルカに向ける。
だが、自分が動かないと家族会議が始まらないことだけは察して、手早くお茶がセットされた。
ようやく場が整った時、父親が口を開いた。
「おまえはどういうつもりだ?」
言葉少なで何を聞いているのかは具体的に言わない。
前であれば、意図をくみ取ろうと必死に返答し、その様が無様なのか使用人からも笑われていた。
だが、もうそんなことはうんざりだ。
ルカはにこりと微笑んで聞き返す。
「どういうつもりとは?質問の意図がわかりません」
自分の意に添わないことに、気分を害したのだろう。
父親は激高する。
「我が家の力をなぜ奪ったのかと聞いている!」
ルカは冷静に答えた。
「奪ったのではありません。始祖が私を選んだので、それに答えたまでです」
黙っていたマリーが心底わからないという表情で言った。
「何を言ってらっしゃるの?あれはこの家を相続する私の物。魔法陣の中にいて、継承の宝石を持っていたのは私なのに・・・・・・」
だご、マリーの言葉は続かなかった。
「物、とは失礼ですね」
ルカの背後でぶわりと闇が広がった。
闇は塊り、人形になり、そして中から先ほどの青年が出てきた。