始まり
ずーっと続けてきた事がある。
長く長く続いて、気がついたらいつから続けてきたかすらわからなくなっていた。
続けたくて続けたのか、仕方なく続けていたのか。
そらすらももうわからない…
華原花音。
それが私の名前。
よく笑って元気いっぱいで、みんなを笑顔にしてくれる可愛い女の子と言われていた。
なのに、今は…
「花音ちゃん!」
>ん?
「ん?じゃないの!何してんのさー」
>なんだろね?
「もー。そんなだからダメなんだよ!」
>…(ダメって言われてもねぇ…)
>で?何?
「とりあえず、そっからでてきなさい!!」
>えぇー!!
ドタバタ・ガタガタ…ビリッ…
「イヤァァァァァァ!!」
「うるさぁーーーい!!」
叫び声と怒鳴り声が大音量で響くとある部屋の一角。
そこには見るも無残になった段ボールの残骸が転がっている。
そう、花音は段ボールから出ることを嫌がり、話すのも嫌がり、引きこもりを実施していた。
なぜ段ボールか…それは狭いところが落ち着くとかではなく、そこに段ボールがあって入ったら思ったより居心地がいいことに気づいてしまったから。らしい。
なんにせよ…
「花音ちゃん!外に行くよ!」
「…」
「睨まない!そんな行きたくないって顔しても今日でしょ!」
「あぁ…そっか」
思い出したって顔をして悲しく笑った彼女はその特殊な身体を動かし始めた。