表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/78

第15話 思い出・パリパリ・かき揚げ蕎麦(後編)

中編からの続きです。

 ☀☀☀


「今日もごちそうさま……じゃあ、また明日ね」

「お粗末様です。また、明日」


 片付けを終え、しばし氷彗と話したら、また研究の再開だ。

 うららは休憩室の廊下で、氷彗を見送った。


 その背中を見て、半日前のオープンキャンパスを思い出した。


 ☀☀☀


「……おそらく、彼の妹さんのことでしょう」


 オープンキャンパスのお昼時。

 学生会館の壁際で、うららは田宮の答えを聞いた。


「妹さん、ですか? もしかして、その方も研究者とか?」


「えぇ、そうです……雨晴水星さん。バックグラウンドは違いますけど、僕たちと同じく研究対象は生体高分子でした。塔山さんも、どこかの学会誌で名前を見かけたのかもしれませんね」

「なるほど……」


 その可能性はありそうだ。


「教授は、その水星さんに会ったことは?」

「えぇ、講演会で何度か。非常に興味深い分子ガストロノミーの仕事をしてました」


「分子、ガストロノミー?」

「聞いたことありませんか? ざっくり説明すると、分子論に基づいた調理科学ですよ」


 調理科学——

 その言葉に息を飲む。

 パズルのピースが、綺麗にはまった気がした。


 確信めいたものを感じて、うららは好奇心ままにさらに尋ねた。


「それで、その方は今どこで研究してるんです?」

「…………」

「教授?」


「…………本当、残念な出来事でした」

「え?」


 歪な会話のつながりと重苦しい声のトーンに、うららは嫌な予感を覚えた。

 瞬間、ジワリと冷や汗が手の平に滲んで、鼓動が落ち着かなくなる。

 

 うららは固唾を飲み込んだ。


「もう、三年ほど前になりますね。海外の招待講演のために乗った飛行機が、事故に遭って……亡くなられたんですよ」


 田宮の答えに、次々とパズルのピースが綺麗にはまっていく。


 その結果、浮かびあがったのは謎を解いた爽快感でもなんでもない。

 どうしようもなく、やるせなく悲しい想いだけだった。

今回はここまでです。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ