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第0話-前編

別サイトで公開中の作品です。

サクサクっと読める短編のつもりです。

▽お題サイト【確かに恋だった】様より拝借してます。

(最終話のあとがきで使用お題記載しています。)

 遥か昔、妖精と契りを交わし、その力を得て種を確立したエインセルという者たちがいた。

 その者たちは魔力を持ち、皆等しく聡明で美しく、老いを知らぬ長寿であった。


 この世界にいる数多存在する人間とは、恐ろしく時の流れが違うため交わることは無いはずだった。



 彼らの多くは選民思想で自らの血を穢すことを嫌う。その為、人間と交わったものは死罪に値し、その血が流れる子もまたその対象だった。


 しかし生き延びる者たちもいる。

 混血児である彼らもまた、魔力を持ち長寿である。ただ、人間と同じように育ち暮らすわけにはいかなかった。


 混血児差別の中で誕生する魔術師をめぐる抗争が至る所で起きていた。



 * * *



 昔語りをしよう。

 とある国に仕える魔術師である私は双子の姉妹の捨て子を保護した。歳はまだ5歳で自分の息子とほとんど変わらない幼い子供だった。


 二人とも美しい金髪と深い碧の瞳を持ち、要するにエインセルの混血児の中でも美しかった。故に混血児狩りに遭っていた所を保護したのだ。


 姉がクロエ、妹がエリーゼという。

 ベイルというファミリーネームを持っていた。


 息子のリヒトと共に、王子のウィリアムと遊び相手になった。


 息子は第一世代混血児ではない為、魔力は持つものの本格的な魔術習得には至らなく、剣術の才があったのか冒険者を夢見てはウィリアムと一緒に腕を磨いていた。


 双子は所謂天才で、魔術師としての才能は群を抜いていた。姉のクロエは攻撃系、妹のエリーゼは回復系の魔術に秀で、互いを補うように急成長していった。



「師匠、リヒトがまた泣いた」



 双子が10歳を過ぎたころ。クロエは私を「師匠」と呼ぶ。


 どうやら魔力の性質と似ているのか少々お転婆であるが、座学に関しては凄まじいほどの実力を発揮するのだ。知識は同い年の子供の比ではなく、大人のそれを優に超える。



「違う。クロエが泣かした」

「ウィルは黙ってて!」

「ダメでしょうクロエ。ほらリヒトも泣かないで」

「な、泣いてないっ!」

「うっ…」



 妹のエリーゼには弱いようだ。これまた魔力の性質に似たのか、おっとりとしたエリーゼ。しかし彼女も芯が強く、時に有無を言わさない雰囲気で周りを諭している。

 息子のリヒトは双子より2歳上だがクロエと気質が似ているのかよく喧嘩をし、口で負けていた。決して手を上げない優しい子だ。(手合わせでは全力である。多分息子はエリーゼのことが好きだ。


 ウィリアム王子はリヒトと同い年で、冷静で人一倍気遣い屋だ。国王の資質を生まれながらにして持っている。とても賢く、魔術のことになると学者肌のような一面を見せるクロエの話にもついていける。


 そんな子供達の成長を微笑ましく見守るのも束の間。


私は殉職した。






 増える混血児の差別社会の中、魔術師に寛大で数が多いこの国に白羽の矢が立ったのだろう。貴重な魔術や技術に関するデータを守ってその魔術師は命を落とした。


 双子が13歳になったある日。


 戦争を終わらせるために城から魔術師の息子と娘3人が旅立った。自国の国王の使者を担ったり、または独自で動いては、世界のために奔走していた。


 3人の名が至る所で聞こえるようになり数年後ウィリアムが国王となった時、事態は思わぬ形で終焉を迎える。


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