表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヌケガラ

蝉のヌケガラが木の枝に止まってた


まるで


生きているままのような姿で



蝉はせっかく殻を破っても


すぐに命が終わってしまう



でも


この世にある命に


意味のないものはいないんだろう



生まれて何日目だったのか


ヒヨドリがその何日目かの蝉を咥えていた



「他の命の長い虫にしてあげなよ」



そんな残酷なことを呟いていた



長さが関係あるのかな


長く生きられるモノであっても


もしかしたら何日目かもしれないのに



誰だったらよくて


誰だったらだめなんて


そんなことあるわけないのに




ふとそんなことを考えたら



私のヌケガラが


そこにあった



大きな大きな


人間の形をした


ヌケガラ



ああ


私、そっちに行っちゃったの?


ヌケガラを揺さぶったよ


戻ってきて


戻ってきてよ


って



でも


違った


前の自分を脱ぎ捨てたんだ



それは


何時間、何日、何週間、何カ月、何年


生きた自分かわからないけれど


さよなら


それまでの自分


って


脱いだんだった



だから


戻ってこなくって


いいんだった




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ