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「ちょっと待ってください、姉さん。姉さんはこの方々に嵌められて罪を背負わされたのではなかったのですか」
「あら、よくわかっているじゃない。アルテンリッヒさま」
依然と高圧的に嗤うフローラにリヒテンが顔を歪めたけれど、許してあげて、彼女はもともとこうなのよ。
「それでしたら、なぜ…」
こんなに仲睦まじく再会を喜んでいるのだと呟いたリヒテンににっこりと笑ったのはフローラとアイシャである。
わたしは深ーいため息をついてとりあえず来賓室にご案内するわと言った。
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「……つまり、こういうことですか?
御三方は姉さんとエルレイン殿下の婚約を破棄させるべく、殿下の想い人を利用してわざわざわかり易い嫌がらせを重ねそしてあの日全ての罪を姉さんに着せたと」
「そうよ、それも全部わたしに黙ってね」
「もうー!ステラ怒らないでようー」
「怒るに決まっているじゃない。あなたたち王族相手に何したか分かっているの?下手したら実家から除名の上、修道院送りよ」
「そのへんは上手くやるわよ。わたくしがいるのですもの。
というかわたくしたちがやったことなんて些細なことよ?嫌味を言ったり、虫を頭に乗せてみたり、ああ、1度だけドレスにワインをかけたことがあったわね。
それをあの恥知らずな馬鹿女が面白いくらい大袈裟に騒ぎ立てていただけよ」
「それでも殿下がそのまま信じてしまったらそういうことになるじゃない。
それにアイシャ!あなたあの日笑っていたでしょう?やるならきちんとやらないと、誰かに見られたら更にどんな言いがかりをつけられるか分からないわ」
「…本当よ。冷や冷やしたわ」
はぁとため息をついたフローラはあの日を思い出しているのか遠い目をしていた。
そんな大変な思いをしたのなら最初からやめておけばいいのに。
「ちょ、ちょっと待ってください。なぜわざわざそんなリスクを背負ってまでそんなことを?」
「だって、見ていられなかったのだもの。ステラとエルレイン殿下の婚約が正式に決まって3年、どんどん表情はなくなっていくしその代わりに貼り付けたような笑顔ばかり。」
フローラの言葉にリヒテンが目を見開いてバッと振り返る。
そうだったかしら?と思い起こしてみるがそんな自覚はない。
ただただ、日に日に王子の婚約者だということを思い知らされてどんどん近付いてくるような王妃への道がとにかく嫌で嫌で仕方がなかった。
「厳しかった婚約者候補としての王妃教育が時期王妃のためのものに変わってどんなレベルのものになるか……更には隙を見せられない重圧と周りのプレッシャーは想像に容易いですわ。
それはきっと同じく婚約者候補として育ってきた私たちだから分かることですね」
フローラについでゆっくりと語り出したエレナの言葉に涙がこみあげてきそうになって、誤魔化すように紅茶を飲んだ。
「いやー本当に地獄のような10年間だったわね」
あなたは私たちより1年短いじゃない。とフローラに突っ込まれるアイシャはそうだったかしら?と首をかしげた。
10年、つまり、彼女たちと出会って一緒に王妃教育に励み、婚約者が決まりそれから学園での生活が3年、もうかれこれ13年の付き合いになるのかと感慨深くもなる。
3歳の頃わけも分からず両親に連れられた王城の茶会で2人の侯爵令嬢に引き合わされたのがはじめでフローレンス・メイトローブとエレナ・ロデットにはそこで出会った。
それから毎日のように王城へと上がりわけも分からぬままにひたすら3人で勉強をしたりレッスン漬けの毎日。
「わたくし達はこんやくしゃこうほというものらしいわ」
「そうなの?だからこんなことしなくてはいけないの?」
「ステラ、知らなかったの?」
「うん?誰の?…ああ、でもお父様がいっていたかもしれないわ」
「だいにおうじのエルレイン殿下よ」
「そうなの?」
「ステラ興味無いの?」
「フローラと、エレナは興味あるの」
「「いいえ」」
ある時フローラとエレナと交わした会話でまだ見ぬ第2王子を少し可哀想だとも思ったものだ。
それから1年後ペティグリー侯爵家のアイシャが私達に加わった。
一つ年下の天真爛漫な彼女は問題をそれはそれは起こしまくったけれど、わたしたち3人は妹のように可愛がった(フローラはかなりスパルタだった)。