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噂によるとどうやら彼はクズらしい。(web版)  作者: 紺野
噂によるとどうやら彼はクズらしい
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感想、ブックマークいつもありがとうございます!

楽しく読ませていただいております(´;ω;`)


お返事についてですが、ネタバレを含んでしまいそうな為完結するまで控えさせていただこうと思います(;_;)申し訳ございません。


拙い文章ですが変わらず見守ってくださると嬉しいです。

これからもよろしくお願い致します。


「そうか」


短くそう言って微笑んだエル様は目が合うと照れくさそうに瞳を逸らした。


「エル様、ありがとうございます」


「…いや、すまぬ、説教くさくなってしまったな。

ジークによく言われるのだ、説教くさいとか、堅いとか、口調が老人みたく偉そうとか面白味がないとか…」


げんなりしながらばつが悪そうにそういう彼についつい吹き出して笑ってしまった。

確かに、その通りかもしれない。

両手で顔を隠して笑いをどうにか収める。


「御免なさい、ジーク様ったらそんなことおっしゃいますの?」


「あ、ああ。…あとはそうだな伝え方が足りないとか、肝心な言葉が足りないとか。

俺も最近自覚したのでな、直そうとは思っているのだがこれがなかなかに難しい。」


「ふふ、ではわたくしとおなじですわね。

まさか、エル様とこんなことを話す日が来るとは思いませんでしたわ」


「俺もだ。そもそも貴方と普通に会話が出来るとは思っていなかった」


「あら、どうしてですか?わたくし達は婚約者でしたわ」



わたくしは嫌われていたようですけれど、その言葉はどうにか飲み込んだけれど、それでもエル様は笑を消した。


随分と長い間、立場的にはとても近い位置にいた事は確か。

中身はどうであれ。



わたしは特になんとも思っていないがこの話題は不味かったかもしれない。

やってしまったと思ったけれどもうあとの祭りだ。


エル様はふぅと短く息を吐いて伏せてあったアメジストをどうにか上げた。


「婚約破棄の件であるが、ジークはしきりに貴方に謝るべきだと言う。

貴方を深く傷つけたことは承知している。大変な迷惑をかけたこともな。

だからこそ、貴方は俺を憎むべきだ、と俺は思う。

俺は貴方に謝罪はできない。許されるべきではない」



だから、すまない。


と謝られた。


ん?結局、なぜか謝られた、謝れないからすまない、と。


一瞬謝れないってなんだっけ、とゲシュタルト崩壊を起こしかけたけれど、どうにか頭を回転させて言葉を理解をするには至った。


エル様の言っていることの意味は分かるようで分からないけれど。


憎むとか、憎まないとか、傷つけたとか、許す、許さないとか、いったい何を言っているのかしら。



そもそも、わたしは正直なんとも思っていないのだけれど。


あの役目から解き放たれて今の生活があって感謝はすれど、憎む?そもそも、あなたのことを好きでも嫌いでもなかったし、その座に執着もない。

許す?何を。


「あの、え、エル様?何を仰っているのか意味が」



というか、エル様もまさかわたしがエル様を好きとか婚約者でいたかったとか思っているわけない、と思う。

あれ?もしかしたら、なにか勘違いを?

そんな素振りも態度も1度だってした覚えはない。


「分かっている、俺の勝手に貴方が付き合う義理はないのだから、理解などせずともよい」


いや、あの、本当に意味がわかりません。


「憎かろう俺にこんな近くにこられて迷惑だろうとは分かっているのだがこうする他なかった。今の俺は地位も財も人望もなにも持たないからな。

しかし領主となった以上民にはできるだけのことをしたい」



エル様、待ってください。

本当に本当に意味がわかりません。

なんの話をしているのかよく分からないです。



その後「あの、わたくし本当になんとも…」思ってないですと続けようとしたところでエル様はなぜか遠い目をして頼む、言わないでくれと言った。


いえ、お願いだから言わせてくださいませ。


なにかとんでもなく話がこんがらがっている気がしてならないのです。



エル様はどうやらわたしが思っていた、わたしの知っているエルレイン殿下とは少し違うらしい。

もしかしたら、彼もまたわたしと同じく求められる王子様を演じていたのだろうか。


いやいや、それにしてもわけがわからなすぎる。


いつも世話になってすまない、失礼する、といつもと変わらず完璧な礼をして去る彼に唖然としたまま礼を返した。

クロードに連れられて邸を出る彼を見送りもしなかったが今回は許して欲しい。



わたしは人生ではじてエルレイン・ヴァルドルフ・フォン・ネイトフィールと、エルレイン・ハーディストという人物について考え始めた。


長いこと近くにいたはずのエルレインという人間がどういう人なのかわたしは全く知らなかったらしい。


数日後、久しぶりにイゾルテへ帰ってきたリヒテンにわたしは待ってましたとばかりに飛びつくことになる。






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