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噂によるとどうやら彼はクズらしい。(web版)  作者: 紺野
噂によるとどうやら彼と彼女は
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クズと手紙。







親愛なるステラ



ステラ、お久しぶりね。

元気にしているかしら。


貴方、ついにあの粘着質な男に捕まってしまったそうね。

なんだ、結局元通りじゃないのと大笑いしたわ。


馬鹿みたいに壮大な回り道をして、本当に貴方は馬鹿だわ。

わたくしたちが始めてしまったことだけれど。



最初から最後まで、あの男に踊らされているみたいで吐き気がするわ。

あのいけすかない男………あら、今は貴方の夫だったわね。失礼。


大丈夫よ、あなたを泣かせるようなことがあればわたくしたちも、貴方の可愛い弟も黙ってはいないわ。

もし、嫌なことがあったらあんな気色悪い男なんて捨ててこちらにお逃げなさい。

わたくしは、いつでも待っているわ。


……そうそう、わたくしに似て可愛い男の子が2人と、お腹の中に今もうひとりいるの。


貴方が出産する頃には間に合わないかもしれないけれど、落ち着いたら必ず伺うわね。


久しぶりにアイシャとエレナも呼んで皆でお茶会でも開きましょうか。

さすがに妻を閉じ込めはしていないでしょう?

さすがのあの男もそこまで腐ってはいないでしょう?


………いや、でも有り得なくもないかしら、あの男、おかしかったものね。

あら、今は貴方の夫だったわね……失礼。






ああ、長くなってしまったけれどとにかく、ご結婚おめでとう。

それから、ご出産おめでとう(もう、この手紙が届く頃にはきっと産まれているわよね?)。


貴方の赤ちゃんに会うのが楽しみだわ。



ステラ、あなた今幸せ?幸せだといいのだけれど。

わたしの大切なステラ。

あなたは愛に満ち溢れた幸せな人生を送るべきよ。



旦那様(別にあの男でなくてもいいのだけれど)にもう死ぬほど愛されて馬鹿みたいに大口開けて笑って過ごすといいわ。

あの辛い日々を耐え抜いたんですもの、ええ、その権利はあるはずよ。




それから、ご存知?

ネイトフィールでは市民の間で王家から廃嫡されたクズ王子と貴族令嬢の噛み合わないすれ違いの恋愛物語が流行しているらしいわ。

わたくしも読んでみたのだけれど、もう、どちらもバカすぎてやきもきするの。

お互いに自分の気持ちに全然気が付かないのよ?焦れったくてついつい一日で読んでしまったわ。

おかげで寝不足になって夫に心配されてしまったの。



気が向いたら貴方も読んでみたらいかが?






最後になるけれど、


恐らく、多分、きっと、わたくしの知っている彼ならそうだと思うのだけれど。

いや、本当にそうだとしたら大分軽蔑するけれど。


まあ、でも恐らくステラより先にこの手紙を読んでいるだろう貴方。


馬鹿ね、今もまだこんなことしているの?引くわ、引きまくるわ、ドン引きよ。最低、本当にクズだわ。


エルレイン・ヴァルドルフ・フォン・ネイトフィール


貴方が今までステラを護るためにしてきたことは大方聞いたわ。

彼女の全てを知り尽くしておかないと不安になるのも分からなくはなくなくない……。

いや、やっぱり、分からないわ。



ステラを信じてあげて。彼女を閉じ込めないで。

あの子は割と逞しいのよ?

貴方も知っているでしょう、殿下。


護られるだけのお人形には絶対にしないで頂戴。

お願い。ステラは感情に溢れた普通のただの女の子よ。そうさせてあげて。




あ、この手紙は捨ててしまっていいわよ。どうせ読んでいるんでしょ?


ステラにはきちんと別に送るから、これ以降はもうこんな真似しないで。

でないと、あのうさぎの皮を被った弟にせっかく苦労して捕まえた奥さんを取られても知らないわよ。



読んでいないならいないで、ステラに今までのことがバレて軽蔑されるがいいわ。





わたくしが言いたいことはそれだけ。



あ、そうだったわ。


殿下、あの子を、幸せにしてあげてくださいね。

よろしく、お願いします。




フローラ






「………ふぅ」


「おや、王様誰からの手紙だったんですかあ?」



「トルネオ、いい加減その呼び名はやめろ…。誤解されるだろう」



「失礼、ルーファス公爵。………で、誰からだったんです?」



「………別に、誰でもない」


「そうですか?顔色悪いですよ?今にも吐きそうな顔してますけどー?」



「…………なんでもない」





黒髪の青年は手紙を重ねて折り破り捨てた。

妻に送られてきた手紙をチェックしてしまうのは癖のようなものであった。指摘されて漸く自分でも気がついた。





結局、彼はその後半年後に訪れる妻の親友により今までの洗いざらいを吐露され最愛の妻に激怒されまるで、ゴミを見るかのような目で見られた。


その上、最愛の妻と最愛の息子が領地の一番端にひと月引きこもってしまうという惨事を味わう羽目になる。




けれど、彼はまだそれを知らない。









噂によると彼はクズらしい‹完›









終わりました!今まで本当に長い間お付き合いいただきありがとうございました(´;ω;`)

長くなりそうだったので途中いろいろすっとばしてしまいましたが……。

ようやく番外がかける……!

というわけで、もしよろしければ、これからの番外もよろしくお願いします。

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