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純愛事件簿

作者: 鬼の子

『鬼の子』シリーズ、第1作目!


〜事件の謎・・・、解決します〜




人の心もまた闇。純愛の中に、見えない事件を追い求める主人公。ごく普通の日常の中にある、どこにでも、誰にでもあるようなストーリー。



真っ暗な闇の中ーーー。


暫くすると、小さな光が遠くのほうで、チカッ、チカッと光ったような気がした。

そのうち、それが気のせいではなかった事が分かる頃には、赤い点が段々と大きくなっていく。

赤い点は大きくなるにつれて、チカッチカッと輝きを増しだして、闇の中で、その存在がハッキリとしていった。

大きくなっていくように見えたのは、徐々にこちらへと近づいてきているからだと分かった。

やがて、目の前まで近づいてきたかと思うと、それは勢いよく、向こうへと遠ざかって行ってしまった。パトカーのサイレンだった。けたたましい音とともに、目的地へと急行していく。事件だ!

そう!そのパトカーが向かう先の事件は、どこかの知らない事件だろうけど。


それよりも、僕自身に事件が起こっていたのだ!日付で言えば、おそらく今日起こった事件で・・・・・。でも事件なのだが、警察には通報していない。通報するどころか、その事に驚き動揺を隠せずにいた。

僕の名前は、織部 直行。24歳。職業は、警察官でも探偵でもなく、ただの料理人見習い。そんなプロフィール紹介よりも、今はもっと大事な事があった。何よりも重要な事なのだ。

僕にとっての事件。パトカーが走り去っていった後、再び静まり返り、辺りの草むらから微かに聞こえてくる虫の鳴き声だけ聞こえている闇の中に、僕は潜んでいた。真相が分かり、この事件は今夜、解決できるかもしれない。


僕には、三年間も付き合っている彼女がいた。三年間も付き合ってきたのに、月日が経てば経つほど、分からない事が出てくる。謎とも言える理不尽な出来事、不自然な雰囲気。それが、まるでワンコインずつ貯金するかのように、積もり積もってきたのだ。そのせいで、眠れない日もあった。このモヤモヤとした不安感を今日こそ、解決したいのだ。

つまり、彼女が嘘をついているか否か。

僕が疑いを持ちだしたのは、いつからだろう。彼女の事を、嘘なんてつかない清純な女性だと思っていたのに、僕と会う為に両親すら騙した時だろうか。いや、携帯電話に、僕以外の男性の電話番号が何件か登録してあった事実を知った時だろうか。それとも、前の職場の、僕の知らない男友達と飲み会している事を知った時だろうか。


彼女の名前は、村瀬 奈美。24歳。職業、看護師。奈美とは、合コンで知り合い、付き合うようになった。アパートで一人暮らししている。出会った頃は、お互いに好感を持ち、毎日連絡を取り合い、仕事が遅くなっても少しの時間すら惜しんで会っていたものだ。もちろん、同じ日に休みをとり、出掛けたりもした。しかし、いつからなのか、少しずつ少しずつ、二人の歯車が噛み合わなくなってきたのを感じていた。

奈美は、最初の頃、デートの待ち合わせ場所に、少し早目に辿り着いたりしていたが、いつしか5分10分と待ち合わせに遅れるようになり、そのうち、ドタキャンするようになってきた。理由は色々あって、頭痛が激しくて行けないとか、仕事場でのレポート提出が間に合いそうにないから、とか・・・・。

そして電話にも、なかなか出なくなってきた。理由は、これも色々あって、職場の友人と大事な話していたとか、あるいは仕事の疲労で、眠ってしまっていた、とか。また、お互いの誕生日やクリスマスなど、イベント事は必ず二人で過ごしていたが、そのうち、忙しいとか、急に夜勤をしなくてはならなくなった、とかの理由で、全くなくなってしまった。

それでも、僕が彼女のアパートに行って、一緒に過ごす時間を作っていたが、その時でも奈美は、レポートを書いていたり、仕事場の友人から電話がかかって、一時間以上も話していたりしたのだ。

僕は、そんなに勘が鋭いほうではないが、それでも流石に、この幾つかの不信な点は、気になってくる。明らかに、おかしいのだ。奈美の住んでいるアパートから、車で15分程離れた所に、奈美の実家があるのだが、それでも、

「どうしても一人暮らしに憧れていたので、思いきってアパートを借りた。」

と言っていた。

因みに、僕の家から奈美のアパートまでは、車でどんなに急いだとしても、一時間はかかった。つまり、すぐに行ける距離ではないのだ。また僕のほうは、実家で両親と暮らしているので、なるべく迷惑をかけないようにやっていきたい。

僕と奈美は、お互い車を所有しているが、それ程金銭的に余裕などないので、軽自動車に乗っている。これで充分、遠出もできるし、電車の終電を心配する必要もない。


ところで、今現在の僕はというと、街灯もない暗闇で、草むらにしゃがみ込み、ある場所にじっと目を凝らしていた。

ある場所とは、ここから約100メートル程の所にある、奈美の住んでいるアパートだ。奈美のアパートは、二階建ての小さな建物で、彼女はその一階に部屋を借りていた。その玄関を出た、すぐ前が駐車場になっていて、僕の居るこの位置から、奈美の車も、玄関も、リビングの窓もハッキリ見えた。これは、張り込み捜査だと思った。テレビでも何度か見た事がある。焦ってはいけない。時間との忍耐力勝負だ。何かが動き出すまでは・・・。


さて、彼女奈美には、まだまだ不可解な謎が存在した。それはまず、アパートの鍵の事。当然の事だが、アパートの本鍵を奈美が所持していた。それに付属しているスペアキーを僕に渡してくれた。そして、もう一つスペアキーがあったが、それは彼女の母へ渡していた。と、ここまでなら不可解はないが、奈美は更にもう一つ、別にスペアキーを作成し、しばらくシューズ棚の上に置いていた。彼女曰く、本鍵を失くした時の為のスペアキーらしい。しかし、いつの間にか、このスペアキーが失くなっていたのだ。

他にも、疑問に思う事がある。何度か僕が気を利かせて、彼女の家のゴミ捨てをした事があったのだが・・・。そのゴミを袋に集め、最後に袋口を結ぶ時、ふと違和感を覚えたのだ。一人暮らしにしては、ゴミの量が多すぎる。廃棄物であるし、臭いもあるので、流石に中身を出して詳しく調べる気にはならなかったが。チラリと見た限りでは、何故かコンビニ弁当の空箱が3つ4つあったり。まあ、3日間続けて奈美本人が食べた物だ、と言ってしまえば、それもそうかと思ってしまう。あるいは、僕と会っていない日に、女性友達を家に呼んで一緒に弁当を食べたと言っても、理由が通る。ハッキリとはしない、グレーな疑惑だ。僕が気にしすぎているのかもしれない。

そして、一番気になっていた疑惑が、奈美は絶対に僕に携帯電話を見せてくれない事だ。これは、付き合い始めた時から、ずっとの状況だ。お互い慣れてきた頃、ふとしたタイミングで僕が聞いてみた事がある。奈美の携帯を見ても良いか、と。もちろん、僕の携帯は見て良いと付け加えた。すると奈美は、凄く不信な顔になって、

「直行は、彼女の携帯とかを見るタイプなんだあ。そうなんだあ。人の携帯を見るなんて信じられないよ。」

と強く言われた。僕は予想外の返答だった事と、できるだけソフトに話して、気軽に携帯を見せてもらうつもりだったのでショックを受け、すぐに引き下がった。まるで、僕のほうが悪い事をしたかのような気持ちになった。奈美が携帯を僕に見せないと言ったが、それでも、例えばテーブルに置き忘れている携帯を僕が取ってあげて奈美に渡す程度は、何ら支障はなかったし、時々、奈美のほうから、

「これ、見て見て〜」

と、嬉しそうに、自分の携帯の画像を僕に見せたりはするのだ。これを分析してみると、奈美の言う通り、携帯を見るなんて、見る側がプライバシーを犯している行為になると思うし、彼女自身は、何も悪い事はしていない、という事になってしまう。僕としては、モヤモヤとしたグレーな疑惑だ。


このような、幾つかの理由があり、奈美への様々な疑惑の真相を一気に解決する方法を心の奥底で考えていた僕に、今日そのチャンスが訪れたのだ。これを逃す事はない、と思った。

そのチャンスというのは、これまでにも何度かあったはずだが、僕自身が奈美を疑いたくない、信じたい、という気持ちが強かった事と、これが疑惑を一気に解決する事になるチャンスだなんて、思いもしなかった事で、これまで行動に移さなかったのだ。しかし、それも限界だ。僕の我慢が限界にきたところに、この機会を与えられた。そのチャンスとは・・・・。


いつもと同じように、僕は今日の夕方、奈美に電話した。会って夕食に誘ってみたんだ。すると、彼女の返事は、職場で研修会があり、そのレポートを今日中に仕上げて提出しなくてはならないから、

「会えない。」

との事だった。そう言われると僕も仕方なく、また次回という事で、

「無理しないように。」

とだけ伝えて電話を切ったのだ。こんなパターンは決して珍しくない。職場でのレポート提出は大切な事だし、僕が彼女の代わりに書いてあげられるものでもない。それは充分、分かっているつもりだった。しかし、今日は何故か、いつもと違った。電話を切った後、奈美の事が頭から離れず、どうしても落ち着かないのだ。心臓が高鳴り、頭の中がいつもより、熱くなっていた。それで、もう一度、奈美に電話を掛け直そうと、番号を発信する時点で、やめた。僕は、電話をテーブルに置いた。ほんの数分、その場でじっとしていたが、急に何かを思いついたように、慌ただしく動き始める。つけていたテレビの電源を切り、テーブルに置いていた携帯電話と、車の鍵を取った。そして、クローゼットの中のケースから何かを取り出した。調理師の専門学校に通っていた時に買った、包丁だった。それを隠し持ち、自分の部屋を出た。ちょうど玄関を出て行くところで、母親が気がついたのだろう。僕に声をかけてきた。

「直行、どこか出掛けるの?夕食は?」

僕は、それに対して返事もせず、家を出て行った。車に乗り、ちょうど混み合う時間帯の中を奈美のアパート目指して・・・・。

どんなふうにして、運転してきたのか覚えていないが、奈美のアパートの近くに着いた頃には、もう時計は19時50分になろうとしていた。いつもより時間がかかったようだ。奈美のアパートの近くには、公園があり、そのスペースがちょっとした空き地になっていた。そこに車を駐車すると、僕はゆっくりと歩いて行き、近くの草むらで立ち止まった。辺りはもう、すっかり真っ暗で、この辺りは裏通りに位置する為、静かで街灯も少なく、尚更暗く感じた。この位置から、奈美のアパートがよく見えた。それから草むらに、しゃがみ込み、じっと様子を伺う。こんな事して、どれくらい時間が経ったのだろう。


それから、少し経った時の事。奈美のアパートとは反対の方角に、自動販売機があり、そこでドリンクを買う人がいた。その人は、僕に気がつかず、買ったドリンクを持って、立ち去って行った。また僕は、静かな闇とともに、身を潜める事になる。奈美のアパートを見つめる。薄暗い、玄関ドア。駐車場に停まっている奈美の車。リビングの窓。奈美は、あのアパートにいるのだろう。今、何しているのかな? レポートを必死に書いているのか? そもそも、そんなに大変な内容のレポートなのだろうか? 僕は、看護師の仕事を知らないから。きっと大変で難しい内容を勉強しているのだろう。責任ある仕事だから。また僕は、暗闇の中で、一人張り込み捜査を続けていくのだ、と思い直した時、突然、奈美のアパートの玄関が開いた。勢いよく飛び出し、駐車場まで駆けていく一人の影がある。その駐車場は薄暗くて、ハッキリとは見えないが、背格好と髪の形などから、おそらく奈美だと分かった。奈美は、自分の車に行き、何かを取り出したようだ。車内に置いていた必要な荷物を取った、という感じだろう。それを持って、またすぐにアパートへ駆け戻って行った。この事で、一つの事実が確定した。僕がここに到着してから、確かに奈美の車は駐車場に停まっていたが、果たしてアパートの中に奈美がいるか、どうかは確定できていなかった。だが、その不安は解消されたわけだ。今、車に取りに行った荷物は、レポートを仕上げる為の資料か何かだろうか?どちらにしろ、奈美の在宅を確認だけできて、僕はまた、闇の中で時を待つ事になるのだ。


この真相を探るべく張り込み捜査は、奈美がシロかクロなのか、ハッキリさせるべき行動であるが、まるでストーカーのような、決して合法的手段とは言えない。しかし、疑問や不安を募らせてきた僕にとって、結果がどちらにせよ、早く楽になりたい、という解決方法には妥当手段だったのである。ただ測り知り得ないのは、その結果が10分後に判明するのか、10時間後なのかが分からない事であった。結果が出るまで、身を潜めている間の心理としては、いつ発表されるとも分からない合格発表を待つような、不安と期待が入り混じった、心の鼓動が続いていく状態だった。

ふと、そんな合間に油断とも言える、心の休憩をした時に、突然暗闇の先から、ライトがこちらの方向に照らされた。車だ。300メートル程も先から、車がこちらに向かってくる。あの距離では、おそらく僕の姿は確認できていないだろう。僕は、すぐに草むらに、しゃがみ込んで身を隠した。その車は、側を通り過ぎて、向こうのほうへ行ってしまった。通りすがりの車のようだ。ここは、車通りが少ないが、時々、この道を通り過ぎる車があるのだ。

再び、静かな時間が訪れる。辺りは、アパートや住宅があるが、外に出ている人もなく、また騒ぎ声や物音さえもしない環境。草むらで虫の鳴き声がし時々、風が吹いて、何事もない安堵な雰囲気を僕に伝えてくる。

僕は本当に、奈美の事を愛しているのだ。だが、前にどこかで聞いた事がある。ある時、愛とは恐ろしいモノだ、と。何故なら、愛はある時、憎しみへとも変貌する事があるのだ。愛と憎しみは、コインの表と裏。今、思えば奈美は僕の事をどう思っていたのだろう。その答えは、見つかるのだろうか?

色々な想いを巡らせながら、ふと携帯電話を見た。もうすぐ22時30分になろうとしている。

僕が、ふぅ、と溜め息を一つついた時、また明るいライトが照らされた。向こうから車がやってくる。僕はまた、段取り良く身を潜めた。その車は段々と近付いてきて、今度は通り過ぎずに、奈美のアパートの駐車場に入り、停まった。同じアパートの住人だろうか?

闇から静かに覗いていると、その主は車から降りてきて、落ち着いた足取りで歩いて行く。そして何と、奈美の玄関を開けて、躊躇なく中に入って行ったのだ。驚きと衝撃で、僕の心臓は激しく走り回り始めた。状況をすぐに理解できない。どういう事だ? あれは誰だ? 動揺する頭の中で、先程のシーンを思い出し、考察してみる。あの駐車場は、暗くて顔までは見えなかったが、確かに男性だった。体格は、やや太り気味で、大きく見えた。年齢までは分からない。その男性が奈美のアパートへと入って行ったのだ。しかも、じっと見ていたから間違いないが、あの男は鍵を使わず、玄関ドアだけをすっと開けて中に入って行ったのだ。つまり、玄関ドアは鍵がかかっておらず、あらかじめ開いていた。奈美が開けておいたのだ。という事は、あの男が、来る事は分かっていた事になる。

やっと、ここまでは頭の中で整理できた。それでも、別の疑問と不安が荒波のように押し寄せてきた。頭の中は熱いのに、背中が妙に寒く感じたのだ。僕は闇に潜んだまま、疑問がグルグルと駆け巡り、それとともに何度も先程の、男が車から降りてきて奈美のアパートに入って行くシーンが繰り返し、再生されていた。どうするか? 奈美は今日、レポートを仕上げるのに忙しくて、僕とも会えなかったんじゃないのか?

なのに、あの男は誰だ? どういう事なんだ?


気がつくと、僕はゆっくりと歩き出していた。そして、まるでこの闇に溶け込むようにして、存在を消していた。歩いて向かった先は、奈美のアパートだった。僕のズボンの左右ポケットには、車の鍵と携帯電話が入っていたが、右手には持ってきた調理包丁が握られていた。この不思議な感覚は何だろう。僕の存在は、まるで闇と同化するかのように静かで冷たく、気配を感じさせないのに、体の中は火山のマグマのように煮えたぎっていた。今、奈美のアパートの玄関前に立っている。僕は玄関ドアの前に座り込み、ドアの真ん中辺りにある郵便受け口に、片耳を近づけた。ゴクリと飲み込んだ唾の音が、何よりも大きな音に聞こえた。心臓もドクドクと鼓動を伝えてくる。指で、ゆっくりと音を立てずに、郵便受け口を押して開けていった。家の中の明かりが見えたが、この位置からは家の中までは見えなかった。郵便受け口から最大限の情報を入手しようと、そのスペースから中を見渡してみたが、玄関にある男性の靴だけが、やっと見えた。話し声がせず、沈黙が続いていると思ったら、やっと笑い声があった。その声は、僕の知っている奈美の声。そして、見知らぬ男の声だった。僕は闇の中で、耳だけの存在になってみたが、その会話の内容は、聞き取れなかった。でも、楽しそうな奈美の話し声だった。

僕は、奈美を愛している。本当に、奈美の事を愛している。純粋に、愛しているのだ。でも、時として愛は憎しみに変わる。それは、純粋な憎しみなのか。

僕の中の何かが、弾けた。玄関のドアノブを回すと、開いている事が分かった。そのまま、鍵をかけてなかったようだ。不用心だな・・・・・・・・。







真っ暗な闇の中ーーー。

暫くすると、小さな光が遠くのほうで、チカッ、チカッと光ったような気がした。そのうち、それが気のせいではなかった事が分かる頃には、赤い点が段々、大きくなっていく。赤い点は大きくなるにつれて、チカッ、チカッと輝きを増しだして、闇の中で、その存在がハッキリとしていく。大きくなっていくように見えたのは、徐々にこちらへと近づいてきてる事だったのだと分かった。やがて、目の前まで近づいてきたかと思うと、それは僕の前で止まった。パトカーだった。そこに、じっと立ち尽くしている僕は、顔と衣服が血塗れだったのだ。まるで、放心状態の眼差しで、抜け殻のようだった。何かを達成した後なのだろうか?

手には、赤い血塗れになった調理包丁を持ったまま・・・・・・・・・・。






いかがでしたか?

この作品は、『事件簿』という作品名である事から、単純に探偵が事件を解決していく物語と連想させていますが、読むとそうでない事が分かったと思います。

また、警察や探偵が登場するわけではなく、一般市民である主人公が、その事件、謎に迫ります。この事で、大事件のような非日常的方向性から、より現実の身近な事に着手しました。そして、主人公自身が、読み手の目線となり、見て感じて考える感覚をよりリアルに伝えられるアングルに視点を置いています。

この物語は、ふとした事から、誰しも起こり得そうな、また身近で起こり得そうな、ストーリーを展開しています。

また誰しも経験がある事と思いますが、生きていく中で、全てがハッキリし、全て白黒の結論が出るなんて事はないと思います。その事をこの主人公は、純愛を通して、追求していきますが、所々謎を残したまま、エンディングを迎えてしまいます。

その事で、読む人それぞれに思った事や想像する事があり、あえて結局という部分を幾つか濁す筋書きに仕上げました。主人公になって物語の中に入り込み、そして終わった後も、色々な事をそれぞれで推理して頂けたらな、と思います。


読んだ後の感想・評価・レビューなどなど、コメント頂けましたら、大変有り難いです!

これからも、色々な作品を掲載していこうと思いますので、どうか『鬼の子』シリーズをよろしくお願い致します!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 事件の詳細が描かれていないのが逆に現実的で奇妙な感じがしました。その他の描写は細かく描かれていて、作品の世界に入り込みやすかったです。始まりと終わりがシンクロしているのが面白く、私好みの小…
[良い点] 最初と最後の構成。 [気になる点] パトカーのサイレンをチカッチカッと表現していたところ。パトカーを連想できず、前後をまた読み返した。 [一言] 第2弾もみたい。
[良い点] 始めと終わりがつながるという、そして次回もしそうなことを暗示しているような私の好きなタイプの映画のような作品でした。サイレンの音、色、その場の空気…まるでうえからみているようでした。その描…
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