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夜空と星  作者: 小田桐
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〜読書の理由〜


「こんにちわ、早川さん」


 退屈な土曜日の午後、学校が終わり図書館へと足を運んでいた。

 最初は読書感想文のために通った図書館だったけど、いつの間にか習慣みたいなものになっていた。もちろん、習慣にするのには理由がある。


「こんにちわ、雨夜くん」


 夏休みの終わりに本を薦めてくれたお姉さん、早川咲樹さんに逢うために。

 彼女は僕よりと年上で高校生。学校の図書室で本を読むこともあれば図書館に来て本を借りることもあるらしい。

 彼女に会いたいから図書館に通っている。


「最近よく逢うね。本でも読むようになったの?」


「ええ、本ぐらい読めるようにならないと恥ずかしいですから」


 読書感想文の評価はさんざんだった。

 咲樹さんはちゃんと感想を書いた上で中学生らしい本を読めと言われたのに、俺の場合は、背伸びせず読みやすい本を読めと言われたのだ。

 正直、悔しいかった。


「どんな本がおすすめですか?」


「そうだね・・・」


 そう言って咲樹さんは読みやすそうな小説を持ってきてくれる。

 最初は薄い本を薦められてちょっとイヤだったけど、最近はそれなりの厚さのある本を持ってきてくれるようになっていた。


「ちょっと古いけど面白いよ」


 咲樹さんから渡された本は感動を誘うようなストーリーの本、涙もろい俺はきっと泣くな。

 でも、いろいろ本を読んできたけどそういうのは嫌いじゃなかった。


「面白そうです、これ借りることにしますね」


 咲樹さん目当てで通うようになった図書館だったが、咲樹さんがいない日は適当に本を借り家でそれを読むようになっていた。

 咲樹さんと会えたら少しお話しして帰る。

 もちろん、勉強だってたまにしていた。受験生だったんだし。





 冷房が効いているといっても夏は暑い。

 のどが渇いたのでジュースでも飲むことにした。

 でも、その前に。


「ジュースでも飲まない?」


 勉強中の佐織に声をかける。


「うん、いいよ」


 俺と佐織はジュースの自販機が置いてあるホールに移動してそれぞれジュースを飲んだ。俺は缶コーヒー、佐織はオレンジジュースを。


「ジュンくんって図書館によく来るの?」


「たまにかな」


 昔は通っていたのに今はあまり図書館に来なくなっていた。

 必要が無くなったから、俺は今、咲樹さんと同じ高校に通っている。

 図書館に通わずに図書室に通うようになっていた。

 星子と逢う前は日課のように図書室で本を読んでいたぐらいだ。


「さて、読書の続きでもしてくるかな」


「うん、私も勉強の続きしてくるね」


 俺たちは二人して元のテーブルに戻った。


「ねぇ、ジュンくん。帰りは一緒に帰ろう」


「いいよ」


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